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第二章「セントエクリーガ城下町」

第四十三話「傑物」

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 俺はノアの後ろに続いて運動場を後にし、階段を上って4階に戻る。

 そして先程飛び降りた窓の手前の部屋に案内された。


 俺が少し息を切らしているのに対してノアは平然とした顔をしている。

 ノアのペースで階段を上ったことを少し後悔しながらも扉の近くにあった椅子に腰を下ろした。

 トレバーさんから説明を受けた地下の部屋とは違い、こちらはかなりこじんまりとしている。

「よいしょ」
「それで……トレバーからは1~10まで説明しろと言われたが、どこまで説明された?」

 そう言いながらノアも近くにあった椅子に腰を掛けた。

 1~10までということは先程の説明は何だったのだろうか……
 0~1までを説明してくれたのか?

 とりあえず、俺はノアに先程の説明を要約しながら手短に説明した。


「な・る・ほ・ど……」
「あの野郎、やっぱりやりやがったか……」
「お前のレベルがνになってたから嫌な予感がしてたが……」
「自分の部署に来させたくないからって説明しないのはなしだろ……」

 ノアはボソボソと呟きながら呆れ顔で苦笑いをしている。

「お前トレバーから自己紹介もされてないだろ?」

 俺はノアに向かって大きく頷いた。

 たしかにトレバーさんからは自己紹介をされていない気がする。

「あいつが自己紹介しないなら、俺が代わりにしてやるか……」

 ノアはトレバーさんのことをざっくりと俺に説明してくれた。


 まず、俺はトレバーさんから1階から4階までの部署について説明されたが、その他に地下にトレバーさんが所属する情報機関本部があるらしい。

 ノアは『トレバーさんは俺のレベルが測れない事から面倒になる事を予期して説明しなかったんだろう』と笑いながら説明してくれた。
 このような事は今までも何度もあったことに加え、社員の7割ぐらいはトレバーさんの名前さえも知らないことには驚いた。

 そしてなぜ俺のレベルがνですんなり認められたかというと、トレバーさんがレゼンタック情報機関、本部長補佐の役についているからだという。
 つまり、トレバーさんはレゼンタックの情報ならばいくらでも操作し、誤魔化せる立場にある。

 見た目の若さの割にめちゃくちゃ偉く、そしてめちゃくちゃ歪んでいる人だった。


 ちなみにトレバーさんはノアの一つ後輩だ。

「まったく……まぁ、トレバーって人間はなかなか扱いが難しいが、仲良くしてやってくれ!」
「あいつは誰よりも物知りで、気に入った奴には優しくするから、お前にとっても損はない!!」
「そもそも、お前みたいなやつは何か素質を感じられなきゃトレバーに門前払いをされるから、嫌われてる訳ではないと思うぞ!!」

 ノアは満面の笑みを浮かべながらトレバーさんについて教えてくれた。

 きっとノアとトレバーは先輩後輩以上の仲なのだろう。

「努力するよ」

 俺は苦笑いを浮かべながら答える。

 正直、昨日の今日で友達を作る気持ちにはなれないが、あまり思い詰めない方がいいのかもしれない……


「それで……5大ステータスの事だったか……」

 ノアは立ち上がり、小さなホワイトボードに5つの丸と、その下に生える木の根のような物を書き始めた。
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