魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

細川晴元の乱入

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1540年5月5日『京・御所上空』種子島大弐時堯・12歳

「お待ち下さいませ!」

「俺は右京大夫だ、京の治安は俺が担っているんだ!」

「しかしここは御所内でございますぞ!」

「それがどうした!」

「これ以上の乱暴狼藉をなさるようなら、衛門府の役目として取り押さえますぞ!」

 九条屋敷で作った端午の節句料理を運んで空を飛んでいると、眼下で数百と数千の武士同士が争っている!

「なにごとだ!」

 料理を運ぶとんでもなく巨大な特別製籠を片手で持ちながら、高度を下げて争っている2つのグループを一喝した。

「これはこれは右近衛権中将様、この野蛮人が無理矢理御所内に侵入しようとしているのです」

「何を言う! 俺は右京大夫として京の治安をまかされておる! 御所内に不逞の輩が侵入したのと訴えを受けて検めに参ったのだ!」

 どうやらこいつは従四位下右京大夫・細川晴元のようだ。俺が京の端午節会を仕切ることを聞いて、邪魔をして面目を潰そうとしているようだが、しかしこいつは馬鹿なのだろうか?

 これだけ巨大な荷物を持ち、宙に浮かんでいる俺を見て恐怖を感じないとは、どこか常識が狂っているとしか考えられない。そばに付き従っている将兵の中には、恐怖に顔を歪めワナワナと震えている者すらいる。

「馬鹿者! 余は従三位・参議・大宰大弐・右近衛権中将・左衛門督の鷹司時堯である! これ以上御所内で乱暴狼藉する様なら、右近衛権中将と左衛門督の責任としてこの場で成敗いたすぞ!」

 今回は種子島家ではなく、養嗣子となった五摂家・鷹司家の名前で押し通す。その方が波風を立てずに位押しでこの場を納められるかもしれない。

「黙れ黙れ黙れ! 鷹司家の家名を騙る不埒者め! 従四位下右京大夫として、いや幕府管領・山城守護として空を飛び廻る妖を討つ! みなの者矢を射よ!」

 おっと、そう言う事か!

 俺を妖と断じて、京に仇なす存在として討つつもりだったか!

 仁平年間に、近衛天皇を悩ませた鵺(ぬえ)を退治した源頼政様に比べてはいけないが、それでも空を飛び怪力を披露する俺に立ち向かう勇気は大したものだ。もしかしたら単なる馬鹿で、恐怖を感じる事すら出来ないのかもしれないが。

 「みな城門を閉めて御所の警備を固めよ!」

 俺が無敵の強さを誇っているのを知っている衛門府の将兵は、急ぎ陽明門の中に入って、御所内に細川管領軍が攻め込めないように護りを固める体制を築いた。

細川晴元
第17代細川京兆家当主・第34代室町幕府管領。山城・摂津・丹波守護
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