元聖女、追跡中。

克全

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第2章

16話

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「ありがとうございます、オリビア様!」

「大丈夫ですか?
 どこも痛くありませんか?」

「大丈夫です!
 どこも何もありません!」

 オリビアは最後の男の治療を終えた。
 失明までした者や、四肢の動きが悪くなっていた者もいた。
 だがそんな重傷者でも、魔術巻物を三枚四枚使えば、完全に元に戻せた。
 流石に年齢からくる自然な衰えは治せないが、病気が原因のモノは完全に癒すことができた。

「ではこれからの事を話しましょう。
 皆の病は完全に癒えました。
 だから無理にここにいる必要はありません。
 故郷に戻りたい人は戻ってくれて大丈夫です。
 家までは天馬が連れて行ってくれます。
 帰りたい人は名乗り出てください」

「オリビア様!
 私達を見捨てられるのですか!
 私達に帰れと言われるのですか!」

「そんなことは言いませんよ。
 故郷に大切な家族を残してきた方もおられるでしょ?
 父母兄弟に会いたいのではありませんか?
 妻や夫、子供達が心配ではありませんか?
 そんな方は帰っていいというだけですよ。
 残りたい方はずっとここにいて構いませんよ」

「置いてください。
 どうかここに置いてください!
 親も兄妹も、私を忌み嫌って家から追い出したんです。
 もう帰るところなんてありません」

「そうです、オリビア様。
 妻は新しい男を作って、そいつに私を家から追い出させました。
 子供達の事は気になりますが……」

「そうですか。
 だったら子供達の様子だけでも見てきてはどうですか?
 新しい父親に子供達が虐待されているかもしれません。
 もし虐待されているようなら、ここに連れてきてあげてください。
 幸せに暮らしているのなら、そのままにしてあげてくださいね。
 いえ、そのままにしておくのです。
 これは命令ですよ」

「はい!
 そうさせていただきます!」

 オリビアは一人一人に確認した。
 周りを気にして本音を言えない者がいるかもしれない。
 だがオリビアが認め、その理由まで語ったら、誰も逆らえない。
 いや、心から納得する。
 だがそれだけではなかった。

「では故郷に戻る人にお願いがあります。
 余った食材を売ってきてください。
 これからも病の人は未開地に追いやられます。
 いえ、貴方達が完治したのを知れば、望んでやってきます。
 これからも沢山の魔獣を狩って魔術巻物を創らないといけません。
 ですが、それだけの魔獣を狩れば、肉がどうしても余るのです。
 魔獣であっても、命を粗末にはできません。
 だから売ってきて欲しいのです」

 オリビアは信念に従って魔獣肉の販売に踏み切った。
 その担い手に病が完治した者達を選んだ。
 だがそれが、多くの病人を未開地に誘うことになった。
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