癒しの聖女は愚かな王太子に隣国に売られてしまいました。今更守護神が疫病神と知らなかったと言っても戻りません。

克全

文字の大きさ
8 / 11

7話

しおりを挟む
「なんということだ!?
 聖女様をこのような眼に合わせいては、神々の加護を失ってしまうぞ!
 いそげ、急いでお助けするのだ!」

 バーン王太子の命令で、嫌々大商人や大貴族の屋敷を襲撃した近衛騎士隊長が、一転積極的に襲撃を指揮しだしました。
 最初に襲撃した大貴族の屋敷に、多くの聖女が捕えられ、筆舌に尽くし難い残虐な眼にあわされていたからです。
 近衛騎士隊長からすれば、貴族の風上にも置けない恥知らずな行為でしょう。

 私は最初名誉だけの問題だと思っていましたが、そうではありませんでした。
 大陸でも古い歴史を誇るソモンド王家には、他国や他の王家には伝わっていない、神々の性格や好みが伝わっていたのです。
 その中には、神々に選ばれた聖女に対する禁忌もあったのです。
 聖女を蔑ろにする国は、守護神に契約を解除されてしまうというのです。

 その話は、ソモンド王国ではよく知られていた事なのに、大貴族と大商人の中には、禁忌を破り自らを誇大に見せる事に満足する者がいたのです。
 今回バーン王太子が襲撃した大商人と大貴族は、そう言う愚か者達でした。
 この報告は、急ぎハリー国王に伝えられました。

 当然ですが、ハリー国王は大きな危機感を感じられたそうです。
 当然と言えば当然です。
 神々に選ばれた聖女に対する禁忌を知っていて、それを貴族や国民が破るのを放置する国王など、愚王としか表現のしようがありません。
 正直バーン王太子が王位を継いだ時が怖いですね。
 なにも考えず、悪意なく聖女を虐待するかもしれません。

 ですがそう考えると、糞ジョージを野放しにしているカーゾン王国が、アポロン神に見放されて先に滅びそうな気がします。
 それとも実際に聖女を虐待しなければ見捨てらえれないのでしょうか?
 現実に聖女を買って虐待していたこの国が見捨てられるのでしょうか?
 間に合ってくれていればいいのですが……

 まあ、少なくともバーン王太子の評判だけはよくなりました。
 競売場での凶暴な行動が、一転救国の英雄としての行動になりました。
 バーン王太子に配属されている、近衛騎士や近衛従士の私を見る眼が変わりましたが、今更彼らを信じる事などできません。

 そもそも、神々に選ばれた聖女に対する禁忌を知っていて、私達を買いに来たバーン王太子について来ていたのは、彼らなのです。
 今は正義感ぶっていますが、実際に暴君に命じられたら、聖女を購入する手先となっても平気だったのです。

 だから、私は私の信じる道を行きます。
 私より先に売られた聖女候補を助けるために、この国もバーン王太子も利用させてもらいます。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断罪予定の悪役令嬢ですが、王都でカフェを開いたら婚約者の王太子が常連になりました

由香
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付く。 このままでは一年後の夜会で婚約破棄され、断罪された上で国外追放されてしまう運命だ。 「――だったら、その前に稼げばいいわ!」 前世の記憶を頼りに、王都の裏通りで小さなカフェを開くことにしたエリザベート。 コーヒーやケーキは評判となり、店は少しずつ人気店へと成長していく。 そんなある日、店に一人の青年が現れる。 落ち着いた雰囲気のその客は、毎日のように通う常連になった。 しかし彼の正体は――なんと婚約者である王太子レオンハルトだった!? 破滅回避のために始めたカフェ経営が、やがて運命を変えていく。 これは、悪役令嬢が小さなカフェから幸せを掴む ほのぼのカフェ経営×溺愛ロマンスストーリー。

氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました

まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」 あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。 ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。 それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。 するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。 好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。 二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた

たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。 女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。 そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。 夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。 だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……? ※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません…… ※他サイト様にも掲載始めました!

処理中です...