8 / 11
7話
しおりを挟む
「ワッハハハハ!
どうした、どうした。
このていどの打撃で死んでいては、騎士など名乗れんぞ」
「ハリー。
どのような状態ですか?
聞こえてくる言葉からは、イーライ卿が圧倒されているように聞こえるのですが?
苦戦されてはいませんか?」
とても心配です。
国境には近衛騎士に次ぐ勇猛な騎士が駐屯しています。
騎士には見習の従騎士がつけられています。
騎士の下には徒士が配属されていますが、勇猛を超えて乱暴といえるような者たちが多く、国境を越える者に無理難題を吹っかけているという噂がありました。
「……何の心配もありません。
刺客を撃退した時にも人間離れした働きでしたが、今目の前で行われている戦いは、とても人間の仕業とは思えません」
「いったいどのように戦われているのですか?!」
「あ~、そうですね。
グレイブを縦横無尽に振り回しておられます。
私でも使いこなせるとは断言できないような、長大なグレイブです。
刃の部分が二メートル、柄の部分が二メートルもあります。
攻め寄せる騎士や徒士を全く寄せ付けません。
鎧どころか、盾を構えていても一刀両断にされています。
イーライ卿と戦うことになったら、よほどうまく受け流さないけません」
イーライ卿の戦いぶりが眼に浮かぶようです。
殺されている騎士や徒士の姿は見たくないですが、イーライ卿の雄姿は直接見たいと思ってしまいます。
「お~い、もう大丈夫だ。
城門を叩き破るぞ」
「どうなっているのですか?」
「信じられません……
こんな短時間に討ってでてきた騎士と徒士を全滅させました。
私が見知っている名の知れた騎士や徒士もいたのに。
誰一人一合いも打ち合うことなく、受けた槍やハルバードごと一刀両断です。
人質にして身代金を手に入れようともしません。
イーライ卿は騎士の常識では測れません!」
「私達の常識は捨てた方がいいですね。
考えるのもやめた方がよさそうです。
イーライ卿の御国では、イーライ卿が普通なのかもしれません。
私達は国王の魔の手から逃れる事だけを考えましょう」
ドッーン!
「城門を破ったぞぉ!
あまり離れない方がいい。
早く追いつけぇ!」
「アバ!
急いでください。
今までより近くにいるようにしてください」
「御嬢様!
それはあまりに危険でございます。
確かにイーライ卿はよく戦ってくれています。
ですが無暗に信じるのは危険です」
私が新たな指示を出したら、エスメが諫言してくれます。
エスメはまだイーライ卿を信じられないようです。
私を大切に思ってくれての事ですから、感謝しています。
ですが今は危急の時です。
信じられると思った直感を大切にすべきでしょう。
「ありがとう、エスメ。
私を心から大切に思い、心配してくれているのね。
命懸けでついて来てくれているのだものね。
でも、アバとハリーが言うように、今は一人でも多くの助けが必要だわ。
私はイーライ卿を信じることにしました。
だからね、身勝手なお願いだけど、エスメも私と一緒にイーライ卿を信じて、命を懸けてくれない?」
どうした、どうした。
このていどの打撃で死んでいては、騎士など名乗れんぞ」
「ハリー。
どのような状態ですか?
聞こえてくる言葉からは、イーライ卿が圧倒されているように聞こえるのですが?
苦戦されてはいませんか?」
とても心配です。
国境には近衛騎士に次ぐ勇猛な騎士が駐屯しています。
騎士には見習の従騎士がつけられています。
騎士の下には徒士が配属されていますが、勇猛を超えて乱暴といえるような者たちが多く、国境を越える者に無理難題を吹っかけているという噂がありました。
「……何の心配もありません。
刺客を撃退した時にも人間離れした働きでしたが、今目の前で行われている戦いは、とても人間の仕業とは思えません」
「いったいどのように戦われているのですか?!」
「あ~、そうですね。
グレイブを縦横無尽に振り回しておられます。
私でも使いこなせるとは断言できないような、長大なグレイブです。
刃の部分が二メートル、柄の部分が二メートルもあります。
攻め寄せる騎士や徒士を全く寄せ付けません。
鎧どころか、盾を構えていても一刀両断にされています。
イーライ卿と戦うことになったら、よほどうまく受け流さないけません」
イーライ卿の戦いぶりが眼に浮かぶようです。
殺されている騎士や徒士の姿は見たくないですが、イーライ卿の雄姿は直接見たいと思ってしまいます。
「お~い、もう大丈夫だ。
城門を叩き破るぞ」
「どうなっているのですか?」
「信じられません……
こんな短時間に討ってでてきた騎士と徒士を全滅させました。
私が見知っている名の知れた騎士や徒士もいたのに。
誰一人一合いも打ち合うことなく、受けた槍やハルバードごと一刀両断です。
人質にして身代金を手に入れようともしません。
イーライ卿は騎士の常識では測れません!」
「私達の常識は捨てた方がいいですね。
考えるのもやめた方がよさそうです。
イーライ卿の御国では、イーライ卿が普通なのかもしれません。
私達は国王の魔の手から逃れる事だけを考えましょう」
ドッーン!
「城門を破ったぞぉ!
あまり離れない方がいい。
早く追いつけぇ!」
「アバ!
急いでください。
今までより近くにいるようにしてください」
「御嬢様!
それはあまりに危険でございます。
確かにイーライ卿はよく戦ってくれています。
ですが無暗に信じるのは危険です」
私が新たな指示を出したら、エスメが諫言してくれます。
エスメはまだイーライ卿を信じられないようです。
私を大切に思ってくれての事ですから、感謝しています。
ですが今は危急の時です。
信じられると思った直感を大切にすべきでしょう。
「ありがとう、エスメ。
私を心から大切に思い、心配してくれているのね。
命懸けでついて来てくれているのだものね。
でも、アバとハリーが言うように、今は一人でも多くの助けが必要だわ。
私はイーライ卿を信じることにしました。
だからね、身勝手なお願いだけど、エスメも私と一緒にイーライ卿を信じて、命を懸けてくれない?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
401
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる