3 / 5
2話
しおりを挟む
「その通りです。
私はユリア姫から頼まれて助けに来ました。
だから信じてついてきて欲しいのです」
「……すまない。
まだ信じきれない。
それに、ここには魔力を封じる結界が張り巡らされている。
それに併せて、私を閉じ込めるための結界も張り巡らされている。
しかも私は、この塔に一年も閉じ込められ、食事の量もギリギリに抑えられ、餓えと運動不足で体力が落ちている。
とてもではないが、塔を伝って降りる事はできない」
「ですが、少しは信じてくださったのですよね?」
「ああ、信じたいと思ってはいる」
「だったら近づいていいですか?
顔を会わせて話した方が、互いの本心が伝わると思うのです」
「……分かった。
だが一メートル以上は近づかないでくれ」
「分かりました」
やっと塔にしがみついている状態から中に入れました。
塔にしがみついているというのは、結構しんどいのです。
高い塔ですから、強い風に体温と体力を奪われますし、指も痛みます。
塔に入って休憩しないと、降りる時に危険なのです。
臭い!
臭すぎます!
一年もこの塔に閉じ込められているのです。
入浴どころか、身体を拭くこともできなかったのでしょう。
皮膚病になっているかもしれません。
ああ、糞尿の処理もあるのですね。
食事の時に一緒に回収するのなら、奇麗に洗ったオマルを使えるのでしょうが、この様子なら、桶に排泄してそれを窓から捨てているようです。
一年使い続けたと思われる糞尿用の桶からも、強烈な臭気が感じられます。
可哀想だとは思いますが、この状態のイェルク様を抱いて塔を降りるのは、絶対に嫌ですね。
「おい!
顔を会わせてと言いながら、覆面をしたままではないか!
さっさと覆面を取れ!」
「それはできません。
私は陰に生きるモノです。
顔を見せたら直ぐに殺されてしまいます。
だから眼を見てください。
眼を見れば本性が分かります」
「く!
好き勝手言いやがって。
まあ、いい。
それで、何を話し合うのだ?」
「逃げる準備です。
私は結界を破る準備をしてきます。
イェルク様は、運動をして体力の回復を図ってください。
それと髪を切り髭を剃ってください。
身体を清めて逃げる準備をしてください」
「無理を言うな!
さっきも言っただろうが!
このガリガリの体を見よ!
最低限の食事しか与えられないのだ。
水も最低限しか与えられないのだ。
身を清める事など不可能だ!」
そう言われたので、私は魔法袋から必要だと思われるモノを全て取り出しました。
魔法袋から出しても長期常温で保存できる酒類、ナッツ、チーズ、燻製肉、干肉、堅パン、糒、果物、白パン、水をだしました。
そして色々と打ち合わせて、一旦塔を後にして拠点に戻りました。
私はユリア姫から頼まれて助けに来ました。
だから信じてついてきて欲しいのです」
「……すまない。
まだ信じきれない。
それに、ここには魔力を封じる結界が張り巡らされている。
それに併せて、私を閉じ込めるための結界も張り巡らされている。
しかも私は、この塔に一年も閉じ込められ、食事の量もギリギリに抑えられ、餓えと運動不足で体力が落ちている。
とてもではないが、塔を伝って降りる事はできない」
「ですが、少しは信じてくださったのですよね?」
「ああ、信じたいと思ってはいる」
「だったら近づいていいですか?
顔を会わせて話した方が、互いの本心が伝わると思うのです」
「……分かった。
だが一メートル以上は近づかないでくれ」
「分かりました」
やっと塔にしがみついている状態から中に入れました。
塔にしがみついているというのは、結構しんどいのです。
高い塔ですから、強い風に体温と体力を奪われますし、指も痛みます。
塔に入って休憩しないと、降りる時に危険なのです。
臭い!
臭すぎます!
一年もこの塔に閉じ込められているのです。
入浴どころか、身体を拭くこともできなかったのでしょう。
皮膚病になっているかもしれません。
ああ、糞尿の処理もあるのですね。
食事の時に一緒に回収するのなら、奇麗に洗ったオマルを使えるのでしょうが、この様子なら、桶に排泄してそれを窓から捨てているようです。
一年使い続けたと思われる糞尿用の桶からも、強烈な臭気が感じられます。
可哀想だとは思いますが、この状態のイェルク様を抱いて塔を降りるのは、絶対に嫌ですね。
「おい!
顔を会わせてと言いながら、覆面をしたままではないか!
さっさと覆面を取れ!」
「それはできません。
私は陰に生きるモノです。
顔を見せたら直ぐに殺されてしまいます。
だから眼を見てください。
眼を見れば本性が分かります」
「く!
好き勝手言いやがって。
まあ、いい。
それで、何を話し合うのだ?」
「逃げる準備です。
私は結界を破る準備をしてきます。
イェルク様は、運動をして体力の回復を図ってください。
それと髪を切り髭を剃ってください。
身体を清めて逃げる準備をしてください」
「無理を言うな!
さっきも言っただろうが!
このガリガリの体を見よ!
最低限の食事しか与えられないのだ。
水も最低限しか与えられないのだ。
身を清める事など不可能だ!」
そう言われたので、私は魔法袋から必要だと思われるモノを全て取り出しました。
魔法袋から出しても長期常温で保存できる酒類、ナッツ、チーズ、燻製肉、干肉、堅パン、糒、果物、白パン、水をだしました。
そして色々と打ち合わせて、一旦塔を後にして拠点に戻りました。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる!
前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。
「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。
一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……?
これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です
ワイちゃん
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる