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征夷大将軍
第233話:一八四七年・オマーン海上帝国
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イギリス本土上陸作戦は焦らずじっくり行われた。
味方の損害を抑えるために時間をかけて大攻勢の準備をしていた。
そのため年が変わってしまったが、当然の事だった。
だがその間にも世界の情勢は動いている。
各地で着々と徳川家が世界を指導するための準備を進めている。
その一つがオマーン海上帝国に対する裏工作だった。
オマーン海上帝国はパキスタンやイランの沿岸部から、アラビア半島のアラブ首長国連邦からイエメンまでの沿岸部をこえ、アフリカ大陸はジブチからマラウイ共和国の沿岸部まで支配下に置いている巨大海洋帝国なのだ。
オマーン海上帝国の崩壊は、現在王位に就いているサイード大王が没した後で、弟のバルガッシュ・ビン・サイードが、父の死を知らない兄のマージド・ビン・サイードを追い落としてザンジバルの宮殿と砦を奪おうとした事にはじまる。
マージド・ビン・サイードはバルガッシュ・ビン・サイードの野望を阻止するも、今度はマージド・ビン・サイードが長男で後継者のスワイニー・ビン・サイードに独立を宣言したのだ。
インド洋が兄弟の争いで戦闘状態になる事を恐れた、イギリス領インド帝国の英領インド総督チャールズ・カニングが仲介する事で、スワイニー・ビン・サイードがマスカット・オマーン・スルターン国を継承し、マージド・ビン・サイードがザンジバル・スルターン国を継承することにした。
俺の生まれ育った時代には、さらに多くの国に分裂してしまっていた。
これがオマーン海上帝国を潰すためのイギリスの謀略だった可能性もある。
だがこの世界では、イギリス本土は徳川家に占領される直前だ。
イギリス領インド帝国も俺の手で必ず叩き潰してやる。
だからマージド・ビン・サイードとスワイニー・ビン・サイードの争いを仲介する者がいなくなってしまう。
それにどうせ多くの国に分裂してしまうのだ。
徳川家に都合がいいように分裂させても大して胸は痛まない。
サイード大王にはスワイニー、トゥルキー、マージド、バルガッシュ、ハリーファ一世、アリー一世、ムハンマドという子女がいる。
まあ、名前は俺の記憶にあるモノだから、死した後の名前だろう。
スワイニーとマージド以外の五人にも建国させてオマーン海上帝国の力を削ぐ。
いや、各地の部族ごとに小国を独立させた方が徳川家のためになるだろう。
良心が痛まないように、できるだけ内戦を防いで民が死なないように誘導する。
俺の記憶ではサイード大王が死ぬのは九年後の一八五六年だ。
それまでにやれるだけの事をやろう。
支配者の事よりも民が幸せになるための準備をするのだ。
味方の損害を抑えるために時間をかけて大攻勢の準備をしていた。
そのため年が変わってしまったが、当然の事だった。
だがその間にも世界の情勢は動いている。
各地で着々と徳川家が世界を指導するための準備を進めている。
その一つがオマーン海上帝国に対する裏工作だった。
オマーン海上帝国はパキスタンやイランの沿岸部から、アラビア半島のアラブ首長国連邦からイエメンまでの沿岸部をこえ、アフリカ大陸はジブチからマラウイ共和国の沿岸部まで支配下に置いている巨大海洋帝国なのだ。
オマーン海上帝国の崩壊は、現在王位に就いているサイード大王が没した後で、弟のバルガッシュ・ビン・サイードが、父の死を知らない兄のマージド・ビン・サイードを追い落としてザンジバルの宮殿と砦を奪おうとした事にはじまる。
マージド・ビン・サイードはバルガッシュ・ビン・サイードの野望を阻止するも、今度はマージド・ビン・サイードが長男で後継者のスワイニー・ビン・サイードに独立を宣言したのだ。
インド洋が兄弟の争いで戦闘状態になる事を恐れた、イギリス領インド帝国の英領インド総督チャールズ・カニングが仲介する事で、スワイニー・ビン・サイードがマスカット・オマーン・スルターン国を継承し、マージド・ビン・サイードがザンジバル・スルターン国を継承することにした。
俺の生まれ育った時代には、さらに多くの国に分裂してしまっていた。
これがオマーン海上帝国を潰すためのイギリスの謀略だった可能性もある。
だがこの世界では、イギリス本土は徳川家に占領される直前だ。
イギリス領インド帝国も俺の手で必ず叩き潰してやる。
だからマージド・ビン・サイードとスワイニー・ビン・サイードの争いを仲介する者がいなくなってしまう。
それにどうせ多くの国に分裂してしまうのだ。
徳川家に都合がいいように分裂させても大して胸は痛まない。
サイード大王にはスワイニー、トゥルキー、マージド、バルガッシュ、ハリーファ一世、アリー一世、ムハンマドという子女がいる。
まあ、名前は俺の記憶にあるモノだから、死した後の名前だろう。
スワイニーとマージド以外の五人にも建国させてオマーン海上帝国の力を削ぐ。
いや、各地の部族ごとに小国を独立させた方が徳川家のためになるだろう。
良心が痛まないように、できるだけ内戦を防いで民が死なないように誘導する。
俺の記憶ではサイード大王が死ぬのは九年後の一八五六年だ。
それまでにやれるだけの事をやろう。
支配者の事よりも民が幸せになるための準備をするのだ。
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