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7話
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滅びはある日突然やって来た。
王国に住む全ての人々に、守護神からの御告げが届いたのだ。
「やあ、初めまして。
私がこの国の守護神だ。
とても残念な話をしなければいけない。
私とこの国の建国王は絆を結んだが、その時の契約が破られた。
それでも、私は慈悲深いから、四年も待ってやった。
待ってやったのに、一向に契約を守ろうとしない。
さすがに私の慈悲も終わりだ。
この国の守護は失われた。
ちなみに契約を破ったのは、本物の聖女を追い出して偽りの聖女となった、ハルト公爵家令嬢レイナと、それを知っていて放置し続けたオットー国王だよ」
一方的な神からの通告だった。
多くの人が、しばらく何を言われたのか理解できないでした。
半信半疑で、完全に信じる事などできなかった。
いや、信じたくなかった。
だが、会う人すべてが同じお告げを聞いたと知り、幻覚や白昼夢ではないと悟り、恐怖と絶望に陥った。
誰の眼にもこの国の滅亡は明らかだった。
守護神を失った国には作物が実らないのだ。
そもそもこの世界はとても貧しい世界で、どれほど大地を耕そうと、実りが得られない、荒涼たる荒地しかない世界なのだ。
その荒地を豊かな大地に変えてくれるのは、神の力しかないのだ。
民は一斉に逃げ出した。
他国に逃げられるだけの財貨を持つ民は、それをまとめて逃げ出した。
持たざる者は、盗賊になった。
生き残るために、弱者から情け容赦なく奪った。
だが中には元凶であるレイナとリンド王家を攻撃するモノも現れた。
少しでも頭の回るの者は、荒地に戻る国で争っても無意味だと分かっている。
だが中には思いっきり勘違いしている者もいて、守護神を怒らせたレイナとリンド王家に報復すれば、守護神と絆を結べると思い込む馬鹿が意外と多いのだ。
まあ、守護神がレイナとリンド王家を名指しして、そうなるように誘導していた。
リンド王国は生き地獄と化した。
レイナとハルト公爵家は族滅した。
口にできないような残虐な方法で皆殺しにされた。
オットー国王とリンド王家も同じだった。
三年を待たずに旧リンド王国領は荒地に戻り、全く生き物のいない死の地となったが、その頃ユリアとケヴィンは。
「ユリア様。
アムロ様は私がお世話させていただきます」
「お願いしますね。
私はケイトにお乳をあげます」
守護神は女性の姿を変えていた。
女性姿でユリアの側にいた。
ユリアとケヴィンは、行くところ行くところで貧民に頼られ、いつの間にか千人を越える奴隷を養わなければいけないようになっていた。
まあ、それほどの人数になる前に、傭兵団を設立して、奴隷達が自ら金を稼げるようにしていた。
守護神はそれを見守りつつ、いつかユリアが絆になる気になってくれるのを気長に待っていた。
王国に住む全ての人々に、守護神からの御告げが届いたのだ。
「やあ、初めまして。
私がこの国の守護神だ。
とても残念な話をしなければいけない。
私とこの国の建国王は絆を結んだが、その時の契約が破られた。
それでも、私は慈悲深いから、四年も待ってやった。
待ってやったのに、一向に契約を守ろうとしない。
さすがに私の慈悲も終わりだ。
この国の守護は失われた。
ちなみに契約を破ったのは、本物の聖女を追い出して偽りの聖女となった、ハルト公爵家令嬢レイナと、それを知っていて放置し続けたオットー国王だよ」
一方的な神からの通告だった。
多くの人が、しばらく何を言われたのか理解できないでした。
半信半疑で、完全に信じる事などできなかった。
いや、信じたくなかった。
だが、会う人すべてが同じお告げを聞いたと知り、幻覚や白昼夢ではないと悟り、恐怖と絶望に陥った。
誰の眼にもこの国の滅亡は明らかだった。
守護神を失った国には作物が実らないのだ。
そもそもこの世界はとても貧しい世界で、どれほど大地を耕そうと、実りが得られない、荒涼たる荒地しかない世界なのだ。
その荒地を豊かな大地に変えてくれるのは、神の力しかないのだ。
民は一斉に逃げ出した。
他国に逃げられるだけの財貨を持つ民は、それをまとめて逃げ出した。
持たざる者は、盗賊になった。
生き残るために、弱者から情け容赦なく奪った。
だが中には元凶であるレイナとリンド王家を攻撃するモノも現れた。
少しでも頭の回るの者は、荒地に戻る国で争っても無意味だと分かっている。
だが中には思いっきり勘違いしている者もいて、守護神を怒らせたレイナとリンド王家に報復すれば、守護神と絆を結べると思い込む馬鹿が意外と多いのだ。
まあ、守護神がレイナとリンド王家を名指しして、そうなるように誘導していた。
リンド王国は生き地獄と化した。
レイナとハルト公爵家は族滅した。
口にできないような残虐な方法で皆殺しにされた。
オットー国王とリンド王家も同じだった。
三年を待たずに旧リンド王国領は荒地に戻り、全く生き物のいない死の地となったが、その頃ユリアとケヴィンは。
「ユリア様。
アムロ様は私がお世話させていただきます」
「お願いしますね。
私はケイトにお乳をあげます」
守護神は女性の姿を変えていた。
女性姿でユリアの側にいた。
ユリアとケヴィンは、行くところ行くところで貧民に頼られ、いつの間にか千人を越える奴隷を養わなければいけないようになっていた。
まあ、それほどの人数になる前に、傭兵団を設立して、奴隷達が自ら金を稼げるようにしていた。
守護神はそれを見守りつつ、いつかユリアが絆になる気になってくれるのを気長に待っていた。
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感想ありがとうございます。
そもそも疑問だが国外追放した時点で移り住んだ隣国の国籍になった以上はその国の法律に適応される筈です。何で既に国籍が違う国にわざわざ騎士だからと言って出頭する必要無い筈です。そもそも逃げる必要も無い筈です。
既に他国に居るのであって他国で攻撃すれば国際問題になるのですから。ましてや自国民の妊婦の子供を流そうとした時点で王族だろうと目撃者や証人がいる以上は罪には問えないし引き渡す事もしないでしょう。
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感想ありがとうございます。
それを言いだすと、この手のジャンルは成立しません。
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