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第9話追放4日目2

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「ウェルズ侯爵、よく来てくれた。
 貴君を本日ただいま衛将軍に任じる。
 娘のミア嬢と力を合わせて余の護衛を頼む」

「大体の事は娘から聞いております。
 身命を賭して陛下を御守りいたします」

 五将軍家で唯一無役だった、ウェルズ侯爵マックス卿が、まだ学生ながら卓越した剣技で騎士長の役目を受けている、娘のミアと一緒に急ぎやって来た。
 王国各地で色々な悪しき事実が判明して、戦傷で隠居したウェルズ侯爵であろうと、無役に置いておくことはできない惨状となっていたのだ。

 ウェルズ侯爵も学園の現状を娘から聞いていて、内心不安に思っていたのだ。
 だから呼び出しを受ける前から、無駄になる事を願いながら、体調を整え何時でも現役復帰できるようにしていたが、残念ながら現実となってしまった。

 ウェルズ侯爵が呼び出されたのは、車騎将軍を拝命している、バークレー侯爵トーマス卿の長男ローガンが、父親から預かっている台所領で悪政を敷いていたのが判明したからだった。

 バークレー侯爵は、全軍騎兵の部隊を率いて、愚息ローガンが治めていた領地に急行している。
 驃騎将軍ポウィス侯爵セオの時と同じだが、今回は太陽神殿が選んだ聖女メグがこの場にいない。
 何かの手段で大神官ルーカスの状況を伝え、対抗策を講じる隙を与えない事が大切だと、オリバー国王は考えていた。

 一方驃騎将軍ポウィス侯爵セオ卿は、太陽神殿と対決すべく準備を整えていた。
 証拠は十分ではなかったが、被害を受けた税額金額は明らかであり、売り払われた領民の名簿も急ぎ作成している。
 それを証拠に、太陽神殿の被害補償を要求するのだ。
 特に売り払われた領民が無事に帰ってこなかった場合は、千金万金を積まれても許さず、太陽神殿を攻撃する予定だった。

 だが太陽神殿も手をこまねいてみていたわけではない。
 大神官ルーカスを先頭に、善後策を講じていた。
 近隣諸国の太陽神殿に使者を送り、王家に対抗しようとしていた。
 以前からルーカスが金をばら撒いて味方を増やしていたため、近隣諸国の太陽神殿上層部はルーカスの味方をしようとしていた。

 だが近隣諸国の王家は、オリバー国王の恥も外聞も捨てた真摯な訴えに心を動かされていた。
 自国も太陽神殿に侵食されているかもしれないと、疑念を抱いた。
 近隣諸国の王達は、自国の若者達が聖女に魅了され、教会に王家が飲み込まれていないかを確認するために、信頼する斥候団を国内各地に放った。
 特に太陽神殿には有能な斥候を送り込み、神殿の不正を暴き出し、神殿による国政介入を牽制する好機だととらえていた。
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