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3話
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「酔っぱらいの与太話だ。
話半分で聞いてろ」
「おい、おい、おい、親父。
これから色々面白い話になるんじゃないか。
途中で邪魔するなら、もう二度とこの店に来ないぞ」
「うちより安くてうまい店があるのなら、そこに行けばいい」
「ちぇ!
なあ、姉ちゃんは続きを聞きたいよな?」
酒場の親父さんが、酔っぱらいの話を切ってくれました。
最初から聞く相手を間違っていたようです。
最初は口の軽そうな酔っぱらいから話を聞いて、店全体に話を広げて、色々な話を集めて、総合的に判断しようと思っていたのです。
一番色々な話を耳にしている酒場の親父さんから聞けるのなら、それが一番です。
それに、隙あらば私の身体に触ろうとする酔っぱらいに、そろそろ切れかけていたので、丁度いいでしょう。
「残り二杯のエールを、この兄さんにお願い。
親父さんは色々話を聞いていそうね。
話を聞かせてくれるの?」
「ああ、たくさん食べてくれるのなら、知っている事は全部話してやるよ」
私は酒場の親父さんと話ながら、今も私を触ろうとしている酔っぱらいから離れ、親父さんが視線で指示してくれた、カウンターの端の席に座った。
ここなら親父さんの眼が行き届いて、女でも安心して飲めるのでしょう。
親父さんは厳つい顔とは違って、優しい心根のようです。
「じゃあ、食べ物をじゃんじゃん出してくれるかな。
こう見えて大食いなのよ」
親父さんの視線がチラッと腰の方に向きます。
私が魔法袋を持っているか確かめたのでしょう。
口で確認しないのは、魔法袋のような高価なアイテムを持っていると店の客に知られると、私が襲われると危惧してくれたのでしょう。
そういう客もこの店にいるという事ですね。
気をつけないといけません。
「さっきの男が話していた、エイル神の聖女ルシアがふしだらな行いをして、国から逃げ出したという話が下町に流れているのは本当だ。
面白おかしく尾鰭がついて、多くの国に広まっているのも本当だ。
だが、おかしいと思う者も少なくない。
特にエイル神との契約を解除した直後に、一度襲ってきたヨトゥン神と直ぐに契約したというのが、なんとも胡散臭いと、国のかじ取りをするような有能な貴族達は疑っている」
「へえ、そうなんだ。
確かに胡散臭い話だよね。
親父さんは、なぜそんな不利な契約に乗り換えたのか分かる?」
そう探りを入れた私に、とても酒場の親父とは思えない鋭い視線向けてきた。
私にはそよ風のように心地よい殺気の視線ですが、普通の人間、いえ、まだ未熟な冒険者や兵士だったら小便をちびるような殺気ですね。
この親父、絶対にただ者ではありません。
話半分で聞いてろ」
「おい、おい、おい、親父。
これから色々面白い話になるんじゃないか。
途中で邪魔するなら、もう二度とこの店に来ないぞ」
「うちより安くてうまい店があるのなら、そこに行けばいい」
「ちぇ!
なあ、姉ちゃんは続きを聞きたいよな?」
酒場の親父さんが、酔っぱらいの話を切ってくれました。
最初から聞く相手を間違っていたようです。
最初は口の軽そうな酔っぱらいから話を聞いて、店全体に話を広げて、色々な話を集めて、総合的に判断しようと思っていたのです。
一番色々な話を耳にしている酒場の親父さんから聞けるのなら、それが一番です。
それに、隙あらば私の身体に触ろうとする酔っぱらいに、そろそろ切れかけていたので、丁度いいでしょう。
「残り二杯のエールを、この兄さんにお願い。
親父さんは色々話を聞いていそうね。
話を聞かせてくれるの?」
「ああ、たくさん食べてくれるのなら、知っている事は全部話してやるよ」
私は酒場の親父さんと話ながら、今も私を触ろうとしている酔っぱらいから離れ、親父さんが視線で指示してくれた、カウンターの端の席に座った。
ここなら親父さんの眼が行き届いて、女でも安心して飲めるのでしょう。
親父さんは厳つい顔とは違って、優しい心根のようです。
「じゃあ、食べ物をじゃんじゃん出してくれるかな。
こう見えて大食いなのよ」
親父さんの視線がチラッと腰の方に向きます。
私が魔法袋を持っているか確かめたのでしょう。
口で確認しないのは、魔法袋のような高価なアイテムを持っていると店の客に知られると、私が襲われると危惧してくれたのでしょう。
そういう客もこの店にいるという事ですね。
気をつけないといけません。
「さっきの男が話していた、エイル神の聖女ルシアがふしだらな行いをして、国から逃げ出したという話が下町に流れているのは本当だ。
面白おかしく尾鰭がついて、多くの国に広まっているのも本当だ。
だが、おかしいと思う者も少なくない。
特にエイル神との契約を解除した直後に、一度襲ってきたヨトゥン神と直ぐに契約したというのが、なんとも胡散臭いと、国のかじ取りをするような有能な貴族達は疑っている」
「へえ、そうなんだ。
確かに胡散臭い話だよね。
親父さんは、なぜそんな不利な契約に乗り換えたのか分かる?」
そう探りを入れた私に、とても酒場の親父とは思えない鋭い視線向けてきた。
私にはそよ風のように心地よい殺気の視線ですが、普通の人間、いえ、まだ未熟な冒険者や兵士だったら小便をちびるような殺気ですね。
この親父、絶対にただ者ではありません。
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