養父母に家族共々謀殺されましたが、死に戻れたので復讐します。

克全

文字の大きさ
27 / 52
第2章

26話

しおりを挟む
 テオ・メラ―は一兵も逃がす心算はなかった。
 時間はかかるだろうが、必ず根絶やしにする心算だった。
 装備を惜しんで逃げた者は、直ぐに追い付いて首を刎ねた。
 装備を捨て、少しでも身軽になって逃げた者も、テオ・メラ―の愛馬の駿足に捕まり、直ぐに後を追うことになった。

 馬を駆って逃げた者だけが、わずかに命脈を永らえた。
 だが、大魔境の中で主人であるテオ・メラ―と一緒に魔獣と戦っている軍馬は、駿足と体力を兼ね備えた名馬なのだ。
 傭兵団の馬が逃げ切れる事などない。

「ヒィィィィン」

 テオ・メラ―の愛馬が叫んだ途端、傭兵団の馬がその場で暴れ出した。
 馬の本能が、ボスに成るべき相手を悟らせたのだ。
 そのボスの命令に従い、背に乗せている傭兵達を振り落とそうとしたのだ。
 ごく一部の傭兵団幹部を除き、ほとんどの者が馬から振り落とされた。

「ヒィィィィン」

 落馬した傭兵達は、その場で今まで自分が乗っていた馬に踏み潰された。
 落馬した拍子に、ほとんどの傭兵が骨折か酷い打撲を負っていた。
 ろくに身動きが出来ない状態で、体重六〇〇kgから一〇〇〇kgの馬に踏み潰されて、身体中の骨が粉砕された。

 テオ・メラ―の槍にかかれば、一撃で殺してもらえただろうが、自分が乗っていた馬に踏み潰されたら、痛みに苦しみながら悶え死にする事になる。
 特に内臓を踏み潰された傭兵は、糞便が腹腔内に漏れ、内臓が腐り化膿してしまい、何日もの間、痛みにのたうち回って死ぬことになった。

 だが傭兵の中には、なかなか機転の利く者もいた。
 皆が逃げる方向はテオ・メラ―が追撃すると考え、貴族家や士族家の領民軍の中に紛れて逃げようとしたのだ。

「准男爵様。
 傭兵が逃げ込んできております」

「包み込んで叩き殺せ」

「宜しいのでございますか?」

「構わん。
 散々悪事を重ねてきたんだ。
 殺されて当然だ」

「しかしながら、この事が帝国に知られれば、我が家は潰されてしまうかもしれません」

「誰が帝国に知らせるのだ?
 我が家臣か?
 それとも領民か?」

「馬鹿な事を申しました。
 准男爵様の家臣や領民に、准男爵様を裏切る者など一人もおりません。
 では、早速叩き殺してまいります」

「他家の者には知られないようにな」

「心得ております」

 傭兵達はよほど憎まれていたのだろう。
 いや、傭兵達が虎の威を借りていた、帝国が憎まれていたのだろう。
 外様の貴族家や士族家の領民軍の中に紛れ込んだ傭兵は、誰一人生きてその中から出られなかった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

処理中です...