FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🎀

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「せっかく奈緒がしたいっていうんだし――」南が頼むように言葉をかけた。
「分かってるよ、いい考えがある。全部やるの。ちょうどいいじゃん、あたしたちのダンスの発表の場でもあるんだしさ。まさか本番中に止めたりはしないでしょ」
「でもどうやって?」
「簡単だよ、実行委員会に一曲加えたディスク渡せばいいだけなんだからさ」そう言って奈緒を見る。「家に帰れば分かるの?」
「うん、お母さんのファミコンにある」
「なんだよそれ」
「パソコンじゃない?」
 務の意訳を受けて、魚子の声が弾む。
「それなら話は早い。メモリかCDにコピーすればいいだけじゃん」
「手伝う」南が腰に手を据えて言った。
「部外者は引っ込んでて。これはあたしらの秘密だから」
 撥ね退ける魚子に呼応して、奈緒が言った。
「秘密だから」そして、バンビが睨むような可愛い目をいがぐりに向ける。
「わたしそういう扱いですか? でも練習どうするの? わたしら見てるんだから、バレバレじゃん。わたし許さないよ、これを理由に監視解除するの」
 魚子がそっけなく答えた。
「いいよ練習しなくて。どうせこいつ左足でバウンズしながら、片手動かすだけでしょ。なんなら創作ダンスでもしなよ。体操クラブなんだから。そういうこともするクラブでしょ」
 奈緒は下唇を押し上げて、意を決した眼差しを魚子に向けて堂々と深く頷く。
「テレビ来るかもよ」
 ふと南が呟くと、すぐさま奈緒が反応した。
「あっ、お化粧しなきゃ」
「ほざくなよ」魚子が顔をしかめる。「誰もお前なんか見に来ないよ」
 この子は即座に魚子を見やって、モズによってはやにえにされたバッタのように動かなくなった。
 会話が途切れて、三人がちりじりに練習に戻ると、奈緒もしょんぼり練習に戻る。だが、俄然やる気の出た様子を見せて、いつもにもましてバウンスの練習に励んだ。





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