FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第四十六話 青春まんなかストライク

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 月曜日。冬休み前の半日授業期間に入っていたため、奈緒とウィップスの四人は一度帰宅してお昼を食べてからまた学校に集まって、個人練に励むことになっていた。
 奈緒が、北千束駅で待ち合わせをした杏奈とともに戸越公園駅に到着すると、たまたま違う車両に乗り合わせていたウィップスと合流して、学校に向かう。
 書道教室に入るなり、後ろに向かって振り返りもせず、開口一番魚子が言った。
「成瀬、持ってきた?」
「なにを?」
「なにをって、やりたい歌」
「あっ、忘れた」
「なんだよ、しょうがないなぁ。明日忘れるなよ。もし忘れたら、もうあたし知らないからね。先生の選曲だけでいくから」 
 今日一日不機嫌そうにムスッとしていた杏奈が最後に入って来て、扉を閉めると同時に振り返って声をかける。
「そういえば、日曜日、なんか露出高かったんだって? やめてよ、務君が困っていたでしょ」
 待ってましたとばかりに、魚子が大きくて乾いた声をあげる。
「あはははは、照れちゃってかわいいんだから。そのうちあたしらの中で誰かに落ちちゃったりして」
「バカじゃないの。そんなこと考えている暇があったら、交流会に向けて追い込みかけなさいよ」
 かおりが、白いフルジップのパーカーを仰ぐようにはだけさせて、ブレザーとワイシャツを少し脱いでブラの白いストラップを露出させ、肩を左右交互に上と下へアイソレーションしながら、三歩フロートして、妖艶に笑む。
「いいね、いいね、三人で追い詰めてみよっか? エッチな感じに」暖乃が合いの手を入れる。
「なに言っているの? 務君は生徒会があるし、青学[青嶂学院大学]目指しているんだから、勉強で忙しいの。そういうことにかまけている暇はないんだから、他でやってよね」
 杏奈が突き放すが、気にも留めずに魚子が笑う。
「将来有望じゃん、今のうちに唾つけとこっかな」
「ほんと、本気で迫らなきゃ」暖乃が言い添えた。




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