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【二十五】エルディアス侯爵家機密
しおりを挟む今日は、観劇に出かけた。
エルディアス侯爵にある劇場で公演があって、丁度春休みに入っていたグレイルと共に旅行で来ていたから、見に行った形だ。領民にも、私達の婚約は伝えられている。今年でグレイルも大学の四年生だ。来年の今頃には卒業していて、結婚式まで本当にすぐといった時期になる。私ももうすぐ二十四歳になる……二十三歳と九ヶ月までは、後本当に少しだ。現在、まだ私はエルディアス侯爵家機密は聞いていないが、少なくとも乙女ゲームのヒロインとグレイルが恋に落ちている気配は無い。ただ、マルスは無事に大学一年生になった。マルスの前でも、リズロット嬢はよく転倒していると聞いている。もし彼女がヒロインならば、現在のルートはフォルド第二王子殿下という事なのだろうかとも考えているが、定かではない。
城へと戻った私は、あてがわれている客間に入った。すると後ろから入ってきたグレイルが、施錠してからそっと私を抱きしめた。そうされるだけで、最近の私は赤面してしまう。ギュッと目を閉じたままで、私はグレイルの腕の中に収まっていた。
その後移動した先は寝台で、私は思わず瞳を潤ませた。
グレイルと二人きりになる時、最近では体を開かれる事が増えた。挿入こそ一度もされていないが、指や舌で翻弄されっぱなしである。
「ぁ……」
私のドレスを乱したグレイルが、左手で私の蕾に触れた。そして唇を近づけると、ごく優しく肉芽を舌先で刺激した。ゾクゾクゾクと、快楽が私の背筋を走り抜けていく。
「ぁ、ぁ、ぁ……」
優しい強さで陰核を刺激され、私は思わず両手でギュッとシーツを握った。熱いグレイルの舌で刺激される度に、私の体はびっしりと汗ばんでいく。
「ぁ、ンん――っ」
そのままあっさりと絶頂に導かれ、私の秘所からは愛液がトロリと溢れた。右手の指先で、その蜜を掬うようにしながら、グレイルが二本の指を、私の中へと差し込む。最初は一本しか入らなかった指も、今では私の体はだいぶ楽に受け入れられるようになってきた。骨ばったグレイルの指が、根元まで入る。その二本の指をゆっくりと抜き差ししながら、グレイルが私を見ている。
「好きだ、リリア」
「ぁ、ァ……ッ」
私は睫毛を震わせながら頷いた。グレイルが本当に私を愛してくれているのだと、もう十分理解しているつもりだ。私も好きだと告げようとした時、右奥の感じる場所を指先で刺激されて、私は喉を震わせた。長い期間をかけて絶頂に達する感覚を私に教え込んだグレイルは、何度も私の快感を穏やかに高めては、最近では夜通し私の全身を愛撫したりする。もどかしさを感じるほど焦らされる日もあれば、今日のように純粋に快楽を叩き込まれる日もあるが、私はどんなグレイルも嫌いじゃない。
「んぁ……ァぁ……っ、は」
二本の指の動きが激しさを増していき、感じる場所を散々刺激され、私は背を撓らせる。すると果てる直前で、一度指を引き抜いたグレイルが、香油を垂らしてから今度は三本の指を私の中に挿入した。
「ンっ、ッ……」
グレイルの指先が、私の内部を解すように動く。
「あ、ぁ……」
こうしてこの夜も、私は散々感じさせられて、快楽に浸った。
――そんなこんなで日々が流れていき、ついに私は、二十三歳と九か月となる日を迎えた。グレイルの希望で、二人きりで話をする事になった。元々の条件的にも、私にのみ開示するという話だったので、こちらに否は無い。
王都の郊外にあるエルディアス侯爵家の別宅へと招かれた私は、本日夜は使用人達も家を空けると聞いた。完全に、私とグレイルの二人きりである。レストランで食事を済ませてから馬車で別宅に向かった私達は、応接間へと向かった。
私は大学時代やメアリ様にならって、自分でお茶を用意する事も可能になったので、準備がしてあったティーセットを見てから、紅茶の用意をした。そのカップをグレイルの前に置くと、グレイルが礼を言って受け取った。
「今日が待ち遠しくもあり、怖くもあった」
私もまたカップを手にした時、静かにグレイルが述べた。まじまじとグレイルを見据えた私は、静かに伝える。
「何を聞いても、私はグレイルの事を嫌いになったりはしません」
「――クリソコーラ侯爵家機密に比べると拍子抜けする内容だと思うぞ。ただ、俺本人と受け入れる側にとっては、辛い場合がある」
グレイルはそう言ってから、紅茶を飲み込んだ後、深く吐息した。
「簡潔に言う」
「はい」
「俺のものは、というより、俺の一族の男子のものは――その、大きいんだ」
「?」
何がだろうか? 身長だろうか?
「悪い、回りくどいな。その……男根が巨大なんだ」
「……!」
真面目な顔でグレイルが言った。冗談には見えなかった。私は最初目を丸くしてから、瞬間的に赤面して俯いた。機密の種類は様々であるようだったが、全く想像していなかった。
「初夜では苦労させるかもしれない」
「……わ、私は、その……グレイルが好きなので、きっと愛せると思います……」
何を言っていいのか分からなかったが、必死でそう返した。
するとグレイルが吐息に笑みを載せた。
「有難う」
そう答えてから、グレイルが書類を取り出した。一瞥すれば、そこには結婚同意書があった。この世界でいうところの婚姻届けである。これに関しては、保護者のサインではなく、男性と女性のサインが必要となる。
「俺の分は署名してある」
「はい……」
万年筆をグレイルが置いた。私は静かにそれらを受け取り、この夜自分の名前を記入した。受け取ったグレイルは、私をじっと見る。
「結婚式の前に提出しても構わないか? 俺の卒業式の翌日には提出しておきたい」
「……グレイルの気持ちが変わらないのならば」
「俺の気持ちは変わらない」
このようにして、私達は国法的にも正式に、結婚の誓いをする事となった。
グレイルの卒業が待ち遠しい。結婚式の予定は、グレイルが卒業した後の初夏頃だ。私は春の生まれなので、二十四歳と少し経ってからとなる。そんな事を考えながらも、この夜も二人で寝台へと向かい、私は散々舌や指先で感じさせられたが、グレイルの陰茎を確認する事は無かった。
なお――グレイル達の卒業パーティーにおいて、リズロット嬢がユイレ様に『この悪女!』と言い放ったそうで、ユイレ様に対する非礼に激怒したエドワード殿下が、リズロット嬢を諫めなかったフォルド第二王子殿下にワインをかけるという事件が起きたらしい。これが乙女ゲームのシナリオだとすると、いよいよどんなゲームなのか私には理解不能としか言えないが、マルスからそれを聞いても、既にグレイルとの関係が請われるというような不安を抱く事も無かった。私個人は、平穏である。
こうして、私とグレイルの結婚式が近づいてきた。既にエルディアス侯爵家には、クリソコーラ侯爵家からの持参品も搬入済みであり、残るは式をはじめとした行事のみである。結婚同意書も、無事に提出されたそうだった。
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