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孤独

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「全く、これじゃ何のために部屋まで運んだのかわからないじゃないかい!」
「ご……ごめんなさい、あーちゃん……」
 翌朝になってパティはさらに体調を崩した。
 布団にも入らずに朝を迎えてしまい、完全に風邪を引いてしまったのだ。
 ポーションを使えばそれなりに具合は良くなるだろうが、ここまで酷くなるのは身体の疲れだけじゃないと言われ寝かされていた。
「今日はヴァルには休んでもらうから、何かあったら彼女に言うんだよ。
 ……まぁ、昨日は2度も出てきたってんだから、当分は心配ないだろうけどさ」

 どちらかというとマナの扱いは不得意なヴァル。
 彼女もまたコピー討伐は行っているが、どちらかというと成長してしまった方を担当している。
 パティはマナを感じ素早く対処し、それでも見逃したものをパティが片付けるという役割だ。
 力馬鹿、引きこもり、ケチ女、向こう見ず。
 そんな風に罵り合ったりする間柄ではあるが、なんてことはない魔界にいた時からの友である。
「わかった……それと……」
 シンはどうしているだろうか?
 今日もちゃんとギルドに顔を出して狩りにでも行っただろうか?
 魔族とは伝えていたが、あんな姿を見せるつもりはなかった。
 そんな心配をするパティだったが、何かを言う前にアビルマはパティの口に体温計を押し込んでしまう。
「何を悩んでるかは知らないけど、アンタは今病人なんだ。
 余計な心配せずに熱を下げることだけ考えときゃ良いんだよ!」
「で、でもっ」
「でももへったくれも無いよ。
 ちゃんと水分も摂って寝てるんさね」
 アビルマは何も聞こうとせずに部屋を出て行く。
 仕方なくパティは布団をグイッと引っ張り上げ、顔を埋める。
 顔くらい出しても良いだろうに。
 どうせみんな、自分で作ったポーションを飲んで元気なんだろうとか思っているに違いない。
 普段からそうやって振る舞ってきたんだから仕方ないじゃないか。
「面白くない……なぁ……」
 休めと言われても、これじゃ逆効果だ。
 暴れ回りたいし、魔道具も作りたい。
 教えたいことは山ほどあるし、今日はまたどこかでダンジョンでもできているかもしれないじゃないか……

 などと色々と考えてはいたのだが、パティはいつの間にかスヤスヤと眠りについていた。
 身体を動かしたいという気持ちはわかっていたアビルマだが、そうさせなかったのは動いていてもきっと何も解決しなかっただろうという想いからである。

 そんな頃、下の受付ではいつもより遅い時間にシンはやってきた。
 朝早くから一度は顔を出したものの、パティは寝ていると言われて出直すことにしたのだ。
『来るのならポーションの1つくらい持ってっておやりよ。
 手ぶらで来たんじゃパティがかわいそうじゃないかね』
 そんなことを言われたものだから、今度はちゃんと持ってきたのだ。
 どうしてか随分と遅くはなってしまったものの……
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