飢食は雪で満たされる

音央とお

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週明けになって雪乃は登校してきた。見た目は元気そうで、病気などではなかったことが窺い知れる。
申し訳なさそうに綾に頭を下げてた。

「心配かけてごめんね。ちょっと連絡が取れない場所にいて……」
「元気なら良かったよ!」
「ありがとう」

にこっと口角を上げて雪乃は笑う。

「雪乃ちゃんが~、雪乃ちゃんが~って、コイツ煩かったんだよ」と山田が告げ口をした。裏切り者と言いながら、綾はその頬を抓った。

「本当にごめんね。……あの、これからもこんな風に休んだり、連絡が取れないこともあると思うんだ。でも、全然心配しないで。家庭の事情でそういう時があるだけだから」
「そうなんだね」

笑顔で言われれば、綾は胸を撫で下ろしたようだ。
「これからは心配しすぎないでいるね」と返している。

「良かったな」と意味深な笑みを山田から向けられる直。
返事はないが、その視線は微笑みを絶やさない雪乃に向けられている。

いつもどおりのポーカーフェイスで頬杖をつく。
その中指の爪をガリガリと砕くようなに噛んでいたのは――誰にも届いていない。


*   *   *


休み時間になると雪乃がスマホをチェックしている時間が増えた。今も電話をしてくると言って、教室から消えている。

直の席の周りに山田と綾は集まった。
窓際のため、教室の隅ともいえる場所だ。

「彼氏できたのかな」と綾が独りごちる。
それを拾ってしまい、綾と直の顔を交互に見る山田。

「笑顔が増えたし、付き合い始めって連絡が増えるでしょう?」
「まあ、言われてみれば。でも、それだと直の気持ちは……」

言葉尻が小さくなる。
気を遣われた、当の本人は冷めた目をしながら、窓の外を見ている。
今日は小雨で薄暗く、穏やかそうに見えてやっかいな天気だ。地面は、土がぐちゃぐちゃになっている。


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