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after story3

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「お腹、いたい、」
フーフーと荒い息を吐く敦は崩れるようにしゃがみこんでしまう。
「処理しないの?」
「できない、おさまんない、…」
「抜いちゃった方が早いと思うけど…」
「っ、ん、やだ、できない、」
「俺がやろうか?」
ゆるりと顔を上げ、潤んだ目元でフルフルと首を横に振る。
「やだ、こわい、から、俺のからだ、へん、」
「誰だってなることだよ。ね?」
「分かってるけどぉ、」
怖い、嫌だを何度も繰り返し、とうとう泣き出してしまう。どうしたものかと考えるけれど、やっぱり発散させる以上にいい案が思い浮かばない。
「でもさ、抜かないとおしっこも出来ないよ?ずっとお腹痛いままでいいの?」
「っ、やだ、」
「すぐ終わるから、ね?」
涙を流しながらも弱く首を縦に振った敦を便器に座らせ、スウェットに手をかける。
「気分悪くない?」
「んん、でもっ、」
引き攣った呼吸で怖い、怖いと繰り返す。ギュッと目を瞑って、立ち上がったソコをおさめようと必死で押さえて。可哀想で仕方ない。でも、このままだと膀胱にも悪いだろうし、苦しい状態から早く解放してやりたい。
「大丈夫。俺の腕掴んでな」
ガクガクと震えた冷たい手を俺の腕に誘導すると、強く握られる。
「っひ、」
「怖い?」
ズボンの中のモノを握ると、より一層体が強張る。
「ごめ、なさ、ごめん、なさい、」
何に対して謝っているのか、何となく分かる。実際少し傷ついた。前は嬉しそうに抱きついてきたり、そういう行為も全て受け入れてくれたのにって。大切な人に拒絶されるって結構心にくる。でも、もっとしんどいのは敦だ。植え付けられたトラウマはそう簡単に払拭できるものではない。
 このまま無理やり扱いたら、もっと深い傷を負わせてしまうかもしれない。それならば。
「…あーつー、一緒にしようか」
背中を軽く叩いて落ち着けるように促しながら、そう聞く。
「…いっしょに…?」
「うん、俺と一緒にやろう」
ゆっくりと時間をかけて乗り越えればいい。
一個ずつ出来ることを増やしていけば良い。




「わ…」
樹の性器、久しぶりに見た。便器に座っている俺の上に乗っかって、自然と太ももが広げられる。無意識に足をもじもじとさせていたからか、足を開くと漏れそうになって落ち着かない。
「んっ、ぁふっ」
「おしっこ辛いね。お腹大丈夫?」
優しく腫れ物に触れるように、下腹を撫でられるとまた、放尿の瞬間みたいに太ももが震えて、でも出せなくてもどかしい。
「敦にこれ、触ってほしいな」
「ぇ、」
「嫌だったら無理しないで」
「やじゃない、」
「ん。お願いします」
震える手で恐る恐る樹のモノを握る。ここで拒絶なんてしたくなくて、引き攣る呼吸を止めてにぎにぎと揉んだ。
「っ、んっ、そうそうっ、上手、」
体を支えるようにして背中を叩いて落ち着かせてくれて、耳元で耐えるような熱い息が当たる。みるみるうちに大きくなった性器は、いつの間にか俺と同じように上を向いた形となった。
「っ、ありがと」
「っ、いつきの、かたい、」
「俺の、気持ち悪い?」
「ううん、」
「そうだね。これは誰にでも起こること。わかる?」
「ん…」
「オナニーを定期的にしないと今みたいにおちんちん苦しくなるの」
「んん…ぁっ、」
諭すように、じっとりと目を見ながら、ゆっくりと。
「怖いかな?これはダメなことかな?」
「ちがう…」
「ん、そうだね。だから大丈夫」
クチュクチュとローションを手で擦り合わせる音がする。
熱くて硬くなっているソコに人肌に温まりきらなかった液体が纏わりつく。
「っひ、んんっ、」
気持ちいい。おしっこしたい。出したい。全部全部出して楽になりたい。
「っふ、ぁ、ああっ、ぁん、」
漏れる、俺の声。止めることが出来なくて、口に力が入らなくて涎までもが出てくる始末。
「やだっ、ごめ、なさいっ、ごめ、なしゃい、」
誰に対して謝っているんだろう。自分でもわからない。でも、気持ちよさを感じるたび、罪悪感に苛まれてしまう。
「今触ってるのは誰?」
「いつきっ、」
「ん。なら気持ちいいの、おかしいこと?」
「ちがうけどっ、でもっ、っひ、」
触っているのは樹なのに。何で怖くなってしまうんだろう。何で、思い出してしまうんだろう。
限界は早かった。樹のモノと俺のを束ねて上下に扱かれる。
「でっ、る、でりゅっ!!」
その瞬間、性器の先が大きく痙攣した。
「ァッ、~、」
びゅくっ!!

目の前がチカチカして、ぎゅっと樹のシャツを握りしめる。背中が大きく揺れて、力が抜けてしまって。
じゅぁあああああああ…
「ぁっ…」
萎えた性器から空気を読まずに出てくるおしっこ。座っている下は便器なのに、太ももに挟まって足を伝う。
「おっと…」
咄嗟に樹が便器の中に俺のモノをねじ込んで、太い水音が響きはじめた。
「っ~~…!!」
一気にお腹が軽くなる。やっと出せた、その解放感で何も考えられない。

しゃああああああああっ…ぢょろ、…
「…ぁれ…」
「ん?全部出た?」
「ぁ、う…」
急に止まったおしっこ。でもなぜか俺のお腹はまだ落ち着かない。
「着替えよっか。立てる?」
「ぁ、まって…」
「ん?」
「…んん…なんでもない…」
「どっかしんどいとかある?気持ち悪くない?」
「ん…へいき…」
まだ、出そう。お腹がズクリと疼く。でも、後でもう一回トイレに行けばいい。そう思って引かれた手に沿って脱衣所に向かった。


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