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ミラ!
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依頼書によれば、街を少し離れた場所に廃墟があり、そこを住処にしているらしい。
そして、ホブゴブリンのいる所には手下としてゴブリンが必ずいる。ホブゴブリン討伐の依頼には必ず、複数のゴブリンが付いてくるのだ。
指定されている廃墟についは俺たちは木の陰に隠れ様子を伺う。廃墟の周りには見張りらしきゴブリンが見えるだけで三匹。多分、他にもいるだろうし中にはもっと多くのゴブリンがいる事は間違いない。俺たちは気づかれないよう静かに近づき、中のゴブリンバレないよう一匹ずつ殺していく。背後から俺とネロ、ソーゴが同時に首を跳ねる。そんな感じで、外のゴブリン達を片付けていく。
一匹、また一匹と何度やっても慣れない肉を切り裂き骨を砕く癇癪を手に残しながら俺たちは廃墟の中へ入って行く。
物陰に隠れながら様子を伺うと、あちらこちらにゴブリンが徘徊している。やはり、外よりも圧倒的にに多い。少なくとも十匹はいる。これほどのゴブリン相手にするのは初めてだ。頭にかつての失敗がよぎり俺は息を呑む。外同様、背後から気付かれないよう一撃で首をはね殺していく。だが、上手くら行かない。他のゴブリンにすぐに見つかり、仲間を呼び、襲いかかってくる。
俺たちは陣形を取りゴブリン達を迎え撃つ。
多少数が多く浮き足立つが、俺たちは声を掛け合い陣形を整え、向かってくるゴブリンを一匹ずつ倒していった。
そんな俺たちに嫌な音が聞こえてくる。
ドス、ドス、ドス、ドス……。
重量を感じさせる鈍い音。
「来たか」
その音が誰の音かはすぐに分かる。一際大きな緑色の巨体。斧を片手に巨体を揺らし近付いてくる。
二メートルくらいだろう。だが目の前にやって来たそいつは、それ以上に大きく感じた。
デカ!
ホブゴブリンが振り上げた斧を振り下ろす。本当に不用意だった。普通のゴブリンの攻撃を受け止めるように剣で守ると、ブンと音を立てたそれはクロの剣を弾き飛ばした。
「なっ!」
何とか剣は放さなかったが、身体は仰け反りたたらを踏む。
バカおもいじゃねぇか!
身体全身に電気が走った様な衝撃が残り、手が震えた。
「みんな!こいつの攻撃はまともに受けない様にしろ!」
このままでは剣を触れないくろは一度下がり、ミラに治癒を頼む。
ネロとソーゴが何とか食い止めてはいるが、徐々に息は荒くなり、どんどん陣形が崩れていく。
「ヤバイ!」
クロはすぐに戻り、ネロとソーゴのサポートに入る。クロが戻った頃にはネロとソーゴはすでに肩で息をし、深手ではないが、いくつもかすり傷を負っていた。
……血。
仲間から流れる血。それが目に入った瞬間、頭に『死』という言葉が浮かんだ。
何やってんだっけ……俺。
突然、催眠術が解けた様に恐怖が押し寄せて来た。
「何してんだ!」
急に動きを止めるクロにソーゴが大声で叫んだ。恐怖は消えていないが、その声にハッとしたクロは一度引く事を支持する。
アリスとレーナが魔法で応戦し、廃墟から出た。
だがゴブリン達をはそう容易く逃してはくれない。
「クソ!」
背後から飛んでくる矢にヒヤヒヤし、冷や汗をかく俺はそこにミラがいない事に気づく。
「ちょ待て!ミラどこ行った?」
そう言った直後、自分達に矢が飛んできていない事に気づく。
振り向くと、負って来ていたゴブリンは別方向に走っている。そしてその先には背中を光らせるミラがいた。
これは推測だが、恐らく注意を引く様な神術を使っているのだろう。
「何やってんだよあいつ!」
行動の理由はわかる。だが、思考が理解出来ない。今すぐにも街へ戻って布団にくるまりたいと思っているこのタイミングでこの行動。怒りが込み上げ、舌打ちをする。
もういいか。見なかった事にしようかな。
そんな事をつい思ってしまう。このまま放っておけば確実にミラはゴブリンに殺される。ミラの死を見逃してもいいと思うほどに恐怖し、どうでもよくなっていた。
そんなクロをアリスが不安そうに見つめる。
「……。」
俺にすがる様な目。言葉にしなくてもわかる。「助けてあげて」と俺に訴えかけている。
やめろ!そんな目で見るな
そう俺は思うが、アリスだけじゃないネロにレーナも同じ視線を向ける。
わかった。わかったからそんな目で見るな!
「お前ら先に行け!」
俺は仲間を先に街へ帰し、一人でミラを助けに行く。ここ最近一番大きな溜息を吐いた。普通に走っては間に合わない。クロは身体を強化し、ゴブリンに気づかれないように後を追いかけた。
「あいつら、死んだな」
街に向かうネロ達。ソーゴがボソッと呟いた。
「ちょっとソーゴ何言ってるの!」
「だってそうだろ。まぁ、あいつが見捨てたら一人は生きて帰ってくるだろうけどよ」
「そんなの……」
レーナは何も言えなかった。みんな分かっているんだ。二人が戻ってくるのは無理だという事。六人で撤退しているのに二人でどうにかできるわけがない。
でも、それでも、ミラを放っておきたくはない。だからクロに頼った。決めたわけではないが、パーティーを仕切、リーダー的ポジションになっていたクロに。
「お兄ちゃんは帰ってきます」
小さな声で呟くアリスにみんなが視線を向ける。
「お兄ちゃんは絶対一緒に帰ってきます」
涙を溜め、強く言い放つアリス、その姿にソーゴ達は話すのをやめ、再び歩き出した。
息を荒げてゴブリンから逃げていたミラはその間、昔の事を思い出していた。
天使族に生まれ十年。
思い出すと出てくるのは罵声の言葉だけだった。
「なんで出来ないんだよ!」
一番初めに耳に残った言葉。
出来てあまり前のことが出来ない。
「なんで出来ないんだよ!」
私だって知りたい。なんで私は出来ないの?
毎日の様に私は出来るよう練習した。だが、一向に上達はしなかった。
天使族の中でもそれなり良い一族家系に生まれた私は人並み以上に出来なくてらならなかった。
三年前くらいか、父上、母上、兄上、姉上、はないも言わなくなった。そして、弟、妹までもがバカにするようになった。
獣でも見るように私を見る両親。何かあれば暴力を振るう兄姉。
それでもいつか。いつか出来るようになれば、いつかは認めてくれると信じていた。
だがある日、兄上が私のところへ来た。
「付いて来い」
と、私に告げた。
一瞬、期待をした。もしかして認めてくれたのかと。
でも、そうでは無かった。
私はボロボロの服のまま馬車に乗せられ、ある場所に連れていかれた。
そこはオークション会場だった。
「お前、もう要らないってよ。人間の家畜として死ね」
私は突然連れていかれたオークション会場で天使としての死刑宣告を受けた。
「ま、待ってくださいお兄様!もう少しだけ、もう少しだけ時間をください!絶対に出来るようになってみせますから、だから!」
ミラは兄の足にしがみ付き泣きすがった。
「お兄様とか呼ぶんじゃねぇよ。お前もう終わってんだよ。お前が俺たちの為に出来ることは事は何も無い。黙って死んどけクズやろう」
そう言いミラを振り払い立ち去った。
兄の後ろ姿を思い出していると、腕に痛みが走った。
「うっ…」
場所はよくわからない。随分走っような気がする。力尽き膝をつくミラをゴブリン達が取り囲む。
あ、そうか……。
ゴブリンが打った矢の痛みでようやく我に帰る。
ご主人様たち、ちゃんと逃げたかな。……何でもいいや
にじり寄ってくるホブゴブリンがミラ殺さんと斧を振り上げる。ミラはそれをぼんやり見つめる。
これで……終われる。
そう思った時、大量の水がホブゴブリンを襲った。そしてミラの目の前には、最近よく見るシルエットがあった。
「間に合ったか」
息を荒げて、最近よく聞く声。
何で……ここに。
ミラの頭の中をその言葉を埋め尽くした。居るはずのない人が目の前いた事実が身体を硬直させる。
あー。間に合ったのはいいけど、どうしよう。
何とか間に合ったクロはこの現状から逃げる方法が思いつかないでいた。
後ろは壁で行き止まり、前はゴブリン達で行き止まり。この状態に困惑していた。今のクロにコイツらを一層出来るだけの魔法を使うことはできない。
色々な依頼をこなしある程度は最初に比べて上達はしているが、どの魔法も殺傷性が無い。せいぜい攻撃の妨害が関の山。最悪の状況だ。
絶対これ終わったら引きこもってやる!
恐怖に苛まれ、逃げ出したい気持ちが込み上げてくる。だが、この状態、シチュエーションになって再び、アニメの偽善者主人公になろうと思う。
数々のアニメや漫画を見てきたクロは、その情報と今までの経験を元に少し思考を巡らせる。
コイツら、無能じゃ無いよな……試してみるか。いざとなったら能力使えばいいか。しょうがないよな。
少しヤケになっているクロはとある行動に出た。
一瞬、その場の空気が変わる。突然だ。クロは驚愕の表情を浮かべた。身体を硬直させ、何か恐ろしいものを見つけたかのように、ゴブリン達の後方のある一点を見つめる。
クロの表情の変化にゴブリン達の全員が反応した。そしてクロは、ゴブリン達が反応したのを確認すると手を軽く震わせ、ゆっくり手を動かした。
クロはゆっくり、そしてスーッと手を震わせた状態で、ゴブリン達の後方、見つめる一点を指差した。
ゴブリン達は全員、吸い寄せられるように指をさした先に目を向けた。
だが、そこには何も無かった。
何も無いことを確認したゴブリン達は再びクロ達の方へ視線を向ける。だが、そこにクロとミラの姿はなかった。
雄叫びをあげ、騒ぎ立てるゴブリンは怒りながらクロ達を探し始めた。
そして、ホブゴブリンのいる所には手下としてゴブリンが必ずいる。ホブゴブリン討伐の依頼には必ず、複数のゴブリンが付いてくるのだ。
指定されている廃墟についは俺たちは木の陰に隠れ様子を伺う。廃墟の周りには見張りらしきゴブリンが見えるだけで三匹。多分、他にもいるだろうし中にはもっと多くのゴブリンがいる事は間違いない。俺たちは気づかれないよう静かに近づき、中のゴブリンバレないよう一匹ずつ殺していく。背後から俺とネロ、ソーゴが同時に首を跳ねる。そんな感じで、外のゴブリン達を片付けていく。
一匹、また一匹と何度やっても慣れない肉を切り裂き骨を砕く癇癪を手に残しながら俺たちは廃墟の中へ入って行く。
物陰に隠れながら様子を伺うと、あちらこちらにゴブリンが徘徊している。やはり、外よりも圧倒的にに多い。少なくとも十匹はいる。これほどのゴブリン相手にするのは初めてだ。頭にかつての失敗がよぎり俺は息を呑む。外同様、背後から気付かれないよう一撃で首をはね殺していく。だが、上手くら行かない。他のゴブリンにすぐに見つかり、仲間を呼び、襲いかかってくる。
俺たちは陣形を取りゴブリン達を迎え撃つ。
多少数が多く浮き足立つが、俺たちは声を掛け合い陣形を整え、向かってくるゴブリンを一匹ずつ倒していった。
そんな俺たちに嫌な音が聞こえてくる。
ドス、ドス、ドス、ドス……。
重量を感じさせる鈍い音。
「来たか」
その音が誰の音かはすぐに分かる。一際大きな緑色の巨体。斧を片手に巨体を揺らし近付いてくる。
二メートルくらいだろう。だが目の前にやって来たそいつは、それ以上に大きく感じた。
デカ!
ホブゴブリンが振り上げた斧を振り下ろす。本当に不用意だった。普通のゴブリンの攻撃を受け止めるように剣で守ると、ブンと音を立てたそれはクロの剣を弾き飛ばした。
「なっ!」
何とか剣は放さなかったが、身体は仰け反りたたらを踏む。
バカおもいじゃねぇか!
身体全身に電気が走った様な衝撃が残り、手が震えた。
「みんな!こいつの攻撃はまともに受けない様にしろ!」
このままでは剣を触れないくろは一度下がり、ミラに治癒を頼む。
ネロとソーゴが何とか食い止めてはいるが、徐々に息は荒くなり、どんどん陣形が崩れていく。
「ヤバイ!」
クロはすぐに戻り、ネロとソーゴのサポートに入る。クロが戻った頃にはネロとソーゴはすでに肩で息をし、深手ではないが、いくつもかすり傷を負っていた。
……血。
仲間から流れる血。それが目に入った瞬間、頭に『死』という言葉が浮かんだ。
何やってんだっけ……俺。
突然、催眠術が解けた様に恐怖が押し寄せて来た。
「何してんだ!」
急に動きを止めるクロにソーゴが大声で叫んだ。恐怖は消えていないが、その声にハッとしたクロは一度引く事を支持する。
アリスとレーナが魔法で応戦し、廃墟から出た。
だがゴブリン達をはそう容易く逃してはくれない。
「クソ!」
背後から飛んでくる矢にヒヤヒヤし、冷や汗をかく俺はそこにミラがいない事に気づく。
「ちょ待て!ミラどこ行った?」
そう言った直後、自分達に矢が飛んできていない事に気づく。
振り向くと、負って来ていたゴブリンは別方向に走っている。そしてその先には背中を光らせるミラがいた。
これは推測だが、恐らく注意を引く様な神術を使っているのだろう。
「何やってんだよあいつ!」
行動の理由はわかる。だが、思考が理解出来ない。今すぐにも街へ戻って布団にくるまりたいと思っているこのタイミングでこの行動。怒りが込み上げ、舌打ちをする。
もういいか。見なかった事にしようかな。
そんな事をつい思ってしまう。このまま放っておけば確実にミラはゴブリンに殺される。ミラの死を見逃してもいいと思うほどに恐怖し、どうでもよくなっていた。
そんなクロをアリスが不安そうに見つめる。
「……。」
俺にすがる様な目。言葉にしなくてもわかる。「助けてあげて」と俺に訴えかけている。
やめろ!そんな目で見るな
そう俺は思うが、アリスだけじゃないネロにレーナも同じ視線を向ける。
わかった。わかったからそんな目で見るな!
「お前ら先に行け!」
俺は仲間を先に街へ帰し、一人でミラを助けに行く。ここ最近一番大きな溜息を吐いた。普通に走っては間に合わない。クロは身体を強化し、ゴブリンに気づかれないように後を追いかけた。
「あいつら、死んだな」
街に向かうネロ達。ソーゴがボソッと呟いた。
「ちょっとソーゴ何言ってるの!」
「だってそうだろ。まぁ、あいつが見捨てたら一人は生きて帰ってくるだろうけどよ」
「そんなの……」
レーナは何も言えなかった。みんな分かっているんだ。二人が戻ってくるのは無理だという事。六人で撤退しているのに二人でどうにかできるわけがない。
でも、それでも、ミラを放っておきたくはない。だからクロに頼った。決めたわけではないが、パーティーを仕切、リーダー的ポジションになっていたクロに。
「お兄ちゃんは帰ってきます」
小さな声で呟くアリスにみんなが視線を向ける。
「お兄ちゃんは絶対一緒に帰ってきます」
涙を溜め、強く言い放つアリス、その姿にソーゴ達は話すのをやめ、再び歩き出した。
息を荒げてゴブリンから逃げていたミラはその間、昔の事を思い出していた。
天使族に生まれ十年。
思い出すと出てくるのは罵声の言葉だけだった。
「なんで出来ないんだよ!」
一番初めに耳に残った言葉。
出来てあまり前のことが出来ない。
「なんで出来ないんだよ!」
私だって知りたい。なんで私は出来ないの?
毎日の様に私は出来るよう練習した。だが、一向に上達はしなかった。
天使族の中でもそれなり良い一族家系に生まれた私は人並み以上に出来なくてらならなかった。
三年前くらいか、父上、母上、兄上、姉上、はないも言わなくなった。そして、弟、妹までもがバカにするようになった。
獣でも見るように私を見る両親。何かあれば暴力を振るう兄姉。
それでもいつか。いつか出来るようになれば、いつかは認めてくれると信じていた。
だがある日、兄上が私のところへ来た。
「付いて来い」
と、私に告げた。
一瞬、期待をした。もしかして認めてくれたのかと。
でも、そうでは無かった。
私はボロボロの服のまま馬車に乗せられ、ある場所に連れていかれた。
そこはオークション会場だった。
「お前、もう要らないってよ。人間の家畜として死ね」
私は突然連れていかれたオークション会場で天使としての死刑宣告を受けた。
「ま、待ってくださいお兄様!もう少しだけ、もう少しだけ時間をください!絶対に出来るようになってみせますから、だから!」
ミラは兄の足にしがみ付き泣きすがった。
「お兄様とか呼ぶんじゃねぇよ。お前もう終わってんだよ。お前が俺たちの為に出来ることは事は何も無い。黙って死んどけクズやろう」
そう言いミラを振り払い立ち去った。
兄の後ろ姿を思い出していると、腕に痛みが走った。
「うっ…」
場所はよくわからない。随分走っような気がする。力尽き膝をつくミラをゴブリン達が取り囲む。
あ、そうか……。
ゴブリンが打った矢の痛みでようやく我に帰る。
ご主人様たち、ちゃんと逃げたかな。……何でもいいや
にじり寄ってくるホブゴブリンがミラ殺さんと斧を振り上げる。ミラはそれをぼんやり見つめる。
これで……終われる。
そう思った時、大量の水がホブゴブリンを襲った。そしてミラの目の前には、最近よく見るシルエットがあった。
「間に合ったか」
息を荒げて、最近よく聞く声。
何で……ここに。
ミラの頭の中をその言葉を埋め尽くした。居るはずのない人が目の前いた事実が身体を硬直させる。
あー。間に合ったのはいいけど、どうしよう。
何とか間に合ったクロはこの現状から逃げる方法が思いつかないでいた。
後ろは壁で行き止まり、前はゴブリン達で行き止まり。この状態に困惑していた。今のクロにコイツらを一層出来るだけの魔法を使うことはできない。
色々な依頼をこなしある程度は最初に比べて上達はしているが、どの魔法も殺傷性が無い。せいぜい攻撃の妨害が関の山。最悪の状況だ。
絶対これ終わったら引きこもってやる!
恐怖に苛まれ、逃げ出したい気持ちが込み上げてくる。だが、この状態、シチュエーションになって再び、アニメの偽善者主人公になろうと思う。
数々のアニメや漫画を見てきたクロは、その情報と今までの経験を元に少し思考を巡らせる。
コイツら、無能じゃ無いよな……試してみるか。いざとなったら能力使えばいいか。しょうがないよな。
少しヤケになっているクロはとある行動に出た。
一瞬、その場の空気が変わる。突然だ。クロは驚愕の表情を浮かべた。身体を硬直させ、何か恐ろしいものを見つけたかのように、ゴブリン達の後方のある一点を見つめる。
クロの表情の変化にゴブリン達の全員が反応した。そしてクロは、ゴブリン達が反応したのを確認すると手を軽く震わせ、ゆっくり手を動かした。
クロはゆっくり、そしてスーッと手を震わせた状態で、ゴブリン達の後方、見つめる一点を指差した。
ゴブリン達は全員、吸い寄せられるように指をさした先に目を向けた。
だが、そこには何も無かった。
何も無いことを確認したゴブリン達は再びクロ達の方へ視線を向ける。だが、そこにクロとミラの姿はなかった。
雄叫びをあげ、騒ぎ立てるゴブリンは怒りながらクロ達を探し始めた。
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