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玖
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『今はハル様の拘束魔法が掛かっているのでできませんが、マーレン様程の魔力持ちなら、訓練さえすればコントロールは可能だと思います。』
「本当ですか!?」
マーレン様は、本当に嬉しそうな顔をしている。
それから、ノアから、ノアから見て感じたマーレンの魔力についての話を聞いた後、いくつかの訓練の説明をされ、どれがマーレン様の魔力と合うのか、一つ一つ試していこう─と言う事になった。
「特にヴィーは問題無いとは思うけど、ヴィーの魔力もそこそこ大きいから、ついでにヴィーも一緒に訓練しておこうか?」
『そうですね。いざと言う時に、自分の魔力をコントロールする事は大事ですから。』
「それじゃあ……ヴィオラ嬢、数日の間だけど、宜しくお願いします。」
「はい。こちらこそ、宜しくお願いします。」
こうして、リュウさんとノアに言われて、私もマーレン様と一緒に訓練をする事になった。
とは言え、マーレン様は合同訓練で来ている為、次の日は勿論、朝から───お祖父様達からタップリと特訓を受けている。
隣国から来ているのは30人程。訓練初日には、その全員が昼過ぎには……倒れていた。そして、今日は4日目。今のところ、まだ20人程が動けている。その中でも目が行くのが──
「今日のマーレン様は、動きが良いね。」
「あ、お母様もそう思う?」
そう。昨日迄のマーレン様も、副団長らしく他の騎士達よりも動きが良かったけど、今日は更に動きが良いのだ。
「きっと、ハルの拘束魔法のお陰で、無駄な魔力消費が無くなったからだろうな。」
「なるほど。でも…やっぱり一番良い動きをしてるのは───」
「お父様よね!」
「お父様だね!」
私とお母様の声がハモった。
そう。今日はお祖父様に言われて、お父様が隣国側の騎士として訓練を受けているのだ。
ー何故隣国側?とは、敢えて訊かなかったけどー
兎に角、お父様の動きは別格だった。「え?踊ってる?」みたいな感じで流れるような動きなのに、全く無駄が無い。隣国の騎士では、パルヴァンの騎士に勝る人はいなかったけど、お父様はパルヴァンの騎士を次々と伸していった。ティモスさんとは互角─と言ったところだろうか?お兄様の動きも、お父様に似ていて綺麗だな─と思う。王城での訓練中、見学しているご令嬢達からは、黄色い声援を受けているそうだ。
そして、訓練はお昼になり休憩とランチタイムになった。ランチと言っても、このままパルヴァンの森で野営形式の食事だ。
私とお母様も騎士達と同じ様に地べたに座り込み食べていると、マーレン様がやって来た。
「ハル殿、拘束魔法を掛けていただき、本当にありがとうございます。昨日から調子が良くて…それに、ノア殿にも話をつけていただいて、何か…お礼ができれば良いのですが…」
「それなら良かったです。お礼なんて気にしないで下さい。拘束魔法も、今日には切れてしまいますから、後は自身の力で頑張って下さいね。」
「はい。本当にありがとうございました。ヴィオラ嬢、また訓練の時は宜しく頼みます。」
改めてお礼を言うと、マーレン様はまた元の場所へと戻って行った。
「本当に、マーレン様って見た目とは真逆な人だね。」
真面目と言うか…可愛らしいと言うか……
「グレン様もそうだけど、昔、私を助けてくれた人も…とってもイカツイ顔をしてたから、怖い顔の人程安心してた時期があって…。お父様に初めて会った時は、逆に恐怖心しかなかったのを思い出したわ。ふふっ。」
「恐怖心!?」
ー何故恐怖心??え?お父様って、誰が見てもイケメンだよね?ー
あ、そう言えば…昔、お父様は何かやらかしたんだっけ?まぁ…今がラブラブで仲良しなら問題無いけど…
ー私も、マーレン様と仲良くできるかなぁ?ー
「…………」
“仲良く”
「────ん?」
「さぁ、午後からも頑張ろう!」
「え?あ、はい!頑張ります!」
何かを考え掛けたところでお母様から声が掛かり、その思考が頭から完全に抜けてしまい、私はそのまま午後の見学─訓練へと意識を集中させた。
「サクラ、男の人が可愛く見えるのは…何で?」
「ヴィー、急に来て何を言ってるの?」
「ヴィー、いらっしゃい。今…パルヴァンで合同訓練中じゃなかった?」
ここは、ウォーランド王国の王都にある王城。その王城内にある、王女─サクラのプライベートルーム。そこにはサクラだけではなく、サクラの母であり王妃でもあるミヤも居た。そこへ、先触れの手紙を出した後、ヴィオラが転移してやって来たのだ。
「お母様に相談しようと思ったのだけど、今日はお父様がパルヴァンに来ているから……」
「「──あぁ…なるほどね。」」
「それは…邪魔できないわね。それで?さっきの質問の意味は…何?」
サクラに促されて、私は自分の考えを纏めながらサクラとミヤ様に話をした。
「つまり、11歳のヴィーが、25歳の強面の男の人が可愛く見えるのは─何故か?って事ね?」
「うん。」
「そんなの…答えは簡単じゃない?」
「そうなの!?」
「ヴィーが、その人に対して少なからず好意を持っているって事よ。」
ーマジですか!?ー
「本当ですか!?」
マーレン様は、本当に嬉しそうな顔をしている。
それから、ノアから、ノアから見て感じたマーレンの魔力についての話を聞いた後、いくつかの訓練の説明をされ、どれがマーレン様の魔力と合うのか、一つ一つ試していこう─と言う事になった。
「特にヴィーは問題無いとは思うけど、ヴィーの魔力もそこそこ大きいから、ついでにヴィーも一緒に訓練しておこうか?」
『そうですね。いざと言う時に、自分の魔力をコントロールする事は大事ですから。』
「それじゃあ……ヴィオラ嬢、数日の間だけど、宜しくお願いします。」
「はい。こちらこそ、宜しくお願いします。」
こうして、リュウさんとノアに言われて、私もマーレン様と一緒に訓練をする事になった。
とは言え、マーレン様は合同訓練で来ている為、次の日は勿論、朝から───お祖父様達からタップリと特訓を受けている。
隣国から来ているのは30人程。訓練初日には、その全員が昼過ぎには……倒れていた。そして、今日は4日目。今のところ、まだ20人程が動けている。その中でも目が行くのが──
「今日のマーレン様は、動きが良いね。」
「あ、お母様もそう思う?」
そう。昨日迄のマーレン様も、副団長らしく他の騎士達よりも動きが良かったけど、今日は更に動きが良いのだ。
「きっと、ハルの拘束魔法のお陰で、無駄な魔力消費が無くなったからだろうな。」
「なるほど。でも…やっぱり一番良い動きをしてるのは───」
「お父様よね!」
「お父様だね!」
私とお母様の声がハモった。
そう。今日はお祖父様に言われて、お父様が隣国側の騎士として訓練を受けているのだ。
ー何故隣国側?とは、敢えて訊かなかったけどー
兎に角、お父様の動きは別格だった。「え?踊ってる?」みたいな感じで流れるような動きなのに、全く無駄が無い。隣国の騎士では、パルヴァンの騎士に勝る人はいなかったけど、お父様はパルヴァンの騎士を次々と伸していった。ティモスさんとは互角─と言ったところだろうか?お兄様の動きも、お父様に似ていて綺麗だな─と思う。王城での訓練中、見学しているご令嬢達からは、黄色い声援を受けているそうだ。
そして、訓練はお昼になり休憩とランチタイムになった。ランチと言っても、このままパルヴァンの森で野営形式の食事だ。
私とお母様も騎士達と同じ様に地べたに座り込み食べていると、マーレン様がやって来た。
「ハル殿、拘束魔法を掛けていただき、本当にありがとうございます。昨日から調子が良くて…それに、ノア殿にも話をつけていただいて、何か…お礼ができれば良いのですが…」
「それなら良かったです。お礼なんて気にしないで下さい。拘束魔法も、今日には切れてしまいますから、後は自身の力で頑張って下さいね。」
「はい。本当にありがとうございました。ヴィオラ嬢、また訓練の時は宜しく頼みます。」
改めてお礼を言うと、マーレン様はまた元の場所へと戻って行った。
「本当に、マーレン様って見た目とは真逆な人だね。」
真面目と言うか…可愛らしいと言うか……
「グレン様もそうだけど、昔、私を助けてくれた人も…とってもイカツイ顔をしてたから、怖い顔の人程安心してた時期があって…。お父様に初めて会った時は、逆に恐怖心しかなかったのを思い出したわ。ふふっ。」
「恐怖心!?」
ー何故恐怖心??え?お父様って、誰が見てもイケメンだよね?ー
あ、そう言えば…昔、お父様は何かやらかしたんだっけ?まぁ…今がラブラブで仲良しなら問題無いけど…
ー私も、マーレン様と仲良くできるかなぁ?ー
「…………」
“仲良く”
「────ん?」
「さぁ、午後からも頑張ろう!」
「え?あ、はい!頑張ります!」
何かを考え掛けたところでお母様から声が掛かり、その思考が頭から完全に抜けてしまい、私はそのまま午後の見学─訓練へと意識を集中させた。
「サクラ、男の人が可愛く見えるのは…何で?」
「ヴィー、急に来て何を言ってるの?」
「ヴィー、いらっしゃい。今…パルヴァンで合同訓練中じゃなかった?」
ここは、ウォーランド王国の王都にある王城。その王城内にある、王女─サクラのプライベートルーム。そこにはサクラだけではなく、サクラの母であり王妃でもあるミヤも居た。そこへ、先触れの手紙を出した後、ヴィオラが転移してやって来たのだ。
「お母様に相談しようと思ったのだけど、今日はお父様がパルヴァンに来ているから……」
「「──あぁ…なるほどね。」」
「それは…邪魔できないわね。それで?さっきの質問の意味は…何?」
サクラに促されて、私は自分の考えを纏めながらサクラとミヤ様に話をした。
「つまり、11歳のヴィーが、25歳の強面の男の人が可愛く見えるのは─何故か?って事ね?」
「うん。」
「そんなの…答えは簡単じゃない?」
「そうなの!?」
「ヴィーが、その人に対して少なからず好意を持っているって事よ。」
ーマジですか!?ー
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