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12.続きまして次の問題です
「これ以上の問題が?」
(ライルおじ様はいつものんびりしておられるようにみえたのに、お父様は朝早くから夜遅くまでお仕事しておられた理由が初めて分かったかも)
「お二方の言動による問題点の確認と、お二方のやり方を身近で見ていたライルがいいとこ取りをしようとしてやらかし続けてきたところまでが今話していた内容ですね。で、現在持ち上がっている問題について話しましょうか」
壊れたスツールを避けて床に正座したエマーソンとスツールから降りて正座したランドルフが神妙な顔でケインを見上げた。
「ライルが終わったならデイビッドがしでかしたと言う事じゃな」
「デイビッドはさっき話に出ていたアンジー・ケレイブ様の一人娘キャサリン様と親密にしておられます」
「はあ?」「なんじゃそれは!」
「デイビッドはもうすぐ義妹になるキャサリン様を大切にしているだけと言ってますけど、それにしては距離も近すぎますしプレゼントや食事代などの金額も桁外れです。全ての費用をローゼンタールに払わせようとしますし、お店にキャサリン様を私だと誤解させる言動もあってとても迷惑しています」
アーシェはここ数ヶ月で起きたことを時系列に並べて説明した。
「今回は冤罪だと証明できたと思うんですけど、私が犯人だと思っている方はまだ残っておられます。それに、次に仕掛けられたら犯罪者にされてしまうかもしれませんから学園はお休みしています」
「なんて事だ! わしの大切な孫が冤罪⋯⋯身体検査だと」
「デイビッドの奴! 捕まえてワシがこの手でボコボコにしてやるわい」
「先日デイビッドが来たんですけどおかしな発言がいくつかあってお祖父様達に確認をしたいと思っています」
「なんじゃ? なんでも聞いてくれ」
「おお、ワシも全て話すと約束しよう」
「デイビッドはふたつの伯爵家の当主になってふたつの貿易会社を合併させて社長になると決まってると言っていました。
お祖父様達がされた約束を私が知らないだけでそう決まっているそうです。ローゼンタール伯爵家もキャンストル伯爵家もデイビッドのものになる。ザック兄様には伯爵家を継ぐ資格がないって言ってたのはどう言う意味ですか?」
「え、あ!」
ランドルフが気まずそうな顔でエマーソンに目配せした。
「全部話す言うたんはお前じゃ」
「実は⋯⋯ザックはキャンストルの血を引いておらんのじゃ。ライルの元妻と浮気相手の子だと分かるまではアーシェとザックの方が仲がいいから2人を婚約させようと言っておったんじゃ」
「⋯⋯それを知ったデイビッドがザック兄様には資格がないって言い出したんですね」
「恐らくそうじゃろうて。じゃが対外的にはザックはキャンストルの嫡男じゃからな、伯爵家を継がせることに変わりはない。デイビッドにはワシから話して聞かせよう」
「托卵されたのは間違いないんですか?」
眉間に皺を寄せて黙り込んでいたケインが突然割り込んできた。
「ああ、間違いない。何年も我が子だと思って育ててきたのにと言うてライルがひどく荒れておったからな。元妻は子供を置いて行方をくらましたからそのままになっておる」
「⋯⋯キャンストルの血を引いていないのはデイビッドの方ではありませんか?」
「いや、婚約の話が出た時ライルがハッキリと言っておった。政略結婚なのにキャンストルの血を受け継いでいないザックをローゼンタールに送るわけにはいかんとな」
「確認が必要ですがライルの性格はお二方より私の方が知っているかもしれません。ランドルフ殿の前でこのような言い方をするのは失礼かもしれませんが、ライルはそんな潔い決断のできる男じゃありません。
女嫌いになったと言い続けるくらい恨んでいる妻の浮気の証人を手元に残し、自分の血を受け継いだ子供を他家に養子に出すなんて彼の性格からしたら考えられませんね」
「⋯⋯まさか! そこまで腐ってはおるまいよ!」
「いや、わしも今まで聞き流しておったがケインの言う通りかもしれん。ライルの性格を抜きにしても⋯⋯ふたり子供がおってどちらかひとりを養子に出すとしたら血の繋がっておる方手元に残したいと思うはず」
「もうひとつ疑問があるんです。ふたつの貿易会社を合併させて社長になると言ってたのは『ミーレス貿易会社』と『ソルダート貿易会社』の事だと思うのでアンジー・ケレイブ様とライルおじ様が結婚すると言うお話は本当なのかなって思いますけど、今はまだローゼンタールが株の大半を持ちお父様が社長をしておられますからその考えがどこから出たのか⋯⋯。
で、もしかしたらこれもお祖父様達のお話が関係してくるんじゃないかと」
「うーん、ワシらの話⋯⋯ワシらの話のう」
首を傾げて悩んでいたエマーソンとランドルフだったが想像もつかないらしい。
「もしかしてですけど⋯⋯会社設立の際の資金についての借金が関係してませんかしら?」
「どう言う意味じゃ?」
「貿易会社設立の際の資本は公には折半となっていましたけれど実際は100パーセントローゼンタールの資金でしたよね」
「そうじゃ、ローゼンタールから金を借りてそれをまるまる資本にしてもろうた。それは全部返済できとるはずじゃが?」
「ええ、もちろんですわ。ただ、社交界では以前別の噂が流れていましたの。半々で資金を出し合って会社を設立したけれど、ローゼンタールは長年キャンストルから資金提供を受けていると」
「ああ、それは私も何度も言われているので知っています。結構根強い噂ですから今でもそれを信じている人はいますね」
「で、その噂を信じている方の中には『ならあの会社は実質キャンストルの物じゃないか』と仰る方がおられますの。その話を信じて今後の計画を練っているから簡単にキャンストルと縁を結べば会社を乗っ取れると考えているのかもしれませんわ」
(ライルおじ様はいつものんびりしておられるようにみえたのに、お父様は朝早くから夜遅くまでお仕事しておられた理由が初めて分かったかも)
「お二方の言動による問題点の確認と、お二方のやり方を身近で見ていたライルがいいとこ取りをしようとしてやらかし続けてきたところまでが今話していた内容ですね。で、現在持ち上がっている問題について話しましょうか」
壊れたスツールを避けて床に正座したエマーソンとスツールから降りて正座したランドルフが神妙な顔でケインを見上げた。
「ライルが終わったならデイビッドがしでかしたと言う事じゃな」
「デイビッドはさっき話に出ていたアンジー・ケレイブ様の一人娘キャサリン様と親密にしておられます」
「はあ?」「なんじゃそれは!」
「デイビッドはもうすぐ義妹になるキャサリン様を大切にしているだけと言ってますけど、それにしては距離も近すぎますしプレゼントや食事代などの金額も桁外れです。全ての費用をローゼンタールに払わせようとしますし、お店にキャサリン様を私だと誤解させる言動もあってとても迷惑しています」
アーシェはここ数ヶ月で起きたことを時系列に並べて説明した。
「今回は冤罪だと証明できたと思うんですけど、私が犯人だと思っている方はまだ残っておられます。それに、次に仕掛けられたら犯罪者にされてしまうかもしれませんから学園はお休みしています」
「なんて事だ! わしの大切な孫が冤罪⋯⋯身体検査だと」
「デイビッドの奴! 捕まえてワシがこの手でボコボコにしてやるわい」
「先日デイビッドが来たんですけどおかしな発言がいくつかあってお祖父様達に確認をしたいと思っています」
「なんじゃ? なんでも聞いてくれ」
「おお、ワシも全て話すと約束しよう」
「デイビッドはふたつの伯爵家の当主になってふたつの貿易会社を合併させて社長になると決まってると言っていました。
お祖父様達がされた約束を私が知らないだけでそう決まっているそうです。ローゼンタール伯爵家もキャンストル伯爵家もデイビッドのものになる。ザック兄様には伯爵家を継ぐ資格がないって言ってたのはどう言う意味ですか?」
「え、あ!」
ランドルフが気まずそうな顔でエマーソンに目配せした。
「全部話す言うたんはお前じゃ」
「実は⋯⋯ザックはキャンストルの血を引いておらんのじゃ。ライルの元妻と浮気相手の子だと分かるまではアーシェとザックの方が仲がいいから2人を婚約させようと言っておったんじゃ」
「⋯⋯それを知ったデイビッドがザック兄様には資格がないって言い出したんですね」
「恐らくそうじゃろうて。じゃが対外的にはザックはキャンストルの嫡男じゃからな、伯爵家を継がせることに変わりはない。デイビッドにはワシから話して聞かせよう」
「托卵されたのは間違いないんですか?」
眉間に皺を寄せて黙り込んでいたケインが突然割り込んできた。
「ああ、間違いない。何年も我が子だと思って育ててきたのにと言うてライルがひどく荒れておったからな。元妻は子供を置いて行方をくらましたからそのままになっておる」
「⋯⋯キャンストルの血を引いていないのはデイビッドの方ではありませんか?」
「いや、婚約の話が出た時ライルがハッキリと言っておった。政略結婚なのにキャンストルの血を受け継いでいないザックをローゼンタールに送るわけにはいかんとな」
「確認が必要ですがライルの性格はお二方より私の方が知っているかもしれません。ランドルフ殿の前でこのような言い方をするのは失礼かもしれませんが、ライルはそんな潔い決断のできる男じゃありません。
女嫌いになったと言い続けるくらい恨んでいる妻の浮気の証人を手元に残し、自分の血を受け継いだ子供を他家に養子に出すなんて彼の性格からしたら考えられませんね」
「⋯⋯まさか! そこまで腐ってはおるまいよ!」
「いや、わしも今まで聞き流しておったがケインの言う通りかもしれん。ライルの性格を抜きにしても⋯⋯ふたり子供がおってどちらかひとりを養子に出すとしたら血の繋がっておる方手元に残したいと思うはず」
「もうひとつ疑問があるんです。ふたつの貿易会社を合併させて社長になると言ってたのは『ミーレス貿易会社』と『ソルダート貿易会社』の事だと思うのでアンジー・ケレイブ様とライルおじ様が結婚すると言うお話は本当なのかなって思いますけど、今はまだローゼンタールが株の大半を持ちお父様が社長をしておられますからその考えがどこから出たのか⋯⋯。
で、もしかしたらこれもお祖父様達のお話が関係してくるんじゃないかと」
「うーん、ワシらの話⋯⋯ワシらの話のう」
首を傾げて悩んでいたエマーソンとランドルフだったが想像もつかないらしい。
「もしかしてですけど⋯⋯会社設立の際の資金についての借金が関係してませんかしら?」
「どう言う意味じゃ?」
「貿易会社設立の際の資本は公には折半となっていましたけれど実際は100パーセントローゼンタールの資金でしたよね」
「そうじゃ、ローゼンタールから金を借りてそれをまるまる資本にしてもろうた。それは全部返済できとるはずじゃが?」
「ええ、もちろんですわ。ただ、社交界では以前別の噂が流れていましたの。半々で資金を出し合って会社を設立したけれど、ローゼンタールは長年キャンストルから資金提供を受けていると」
「ああ、それは私も何度も言われているので知っています。結構根強い噂ですから今でもそれを信じている人はいますね」
「で、その噂を信じている方の中には『ならあの会社は実質キャンストルの物じゃないか』と仰る方がおられますの。その話を信じて今後の計画を練っているから簡単にキャンストルと縁を結べば会社を乗っ取れると考えているのかもしれませんわ」
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