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24.無意識に笑いをとり続けるふたり
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23話、ザッカリーについて少し追加致しました。
ーーーーーー
「会社言うのは面倒な書類仕事やら計算やらがいっぱいあるんじゃのう⋯⋯こりゃ、想像以上に婆さんに感謝せにゃならんわい」
「領地経営は愚痴を聞くのが仕事か思うほど次から次に問題が出てきおる⋯⋯墓から高笑いが聞こえてきそうじゃから今度花でも供えに行こうかのう」
「高笑いだけならええがのう、ミランダならマスケット銃を担いでるかもしれんで?」
ややこしい法律用語の並んだ書類から顔を上げたエマーソンがニヤリと笑った。
「ミランダは新し物好きじゃったから今ならミニエー銃を担いどるな。知っとるか? ミニエー弾を使うたミニエー銃の有効射程距離はマスケット銃の5倍じゃ。しかも最大で九百メートル飛ぶ⋯⋯つまり、ワシに逃げ場は残っとらん」
身振り手振りを交えて説明しながら目を輝かせたランドルフが何故か嬉しそうにサムズアップした。
「ミランダが好きそうじゃなあ。レティなら例のツヴァイハンダーじゃな。知っとるか? 骨董屋で見つけた言いよったがレティが振り回しとったのは完全復刻版の新⋯⋯」
「お祖父様達は随分余裕がありそうですね。なら、この資料の精査をお願いします」
「あ、ワシはちょっとトイレに⋯⋯」
「うう、わしも腹が⋯⋯」
「そう言えば、この後リリベル様⋯⋯」
「「やる! いやぁ、仕事は楽しいぞ!」」
「デイビッドの部屋はそのままにしてあるんだけど、帰ってきたらあまりの趣味の悪さに絶句するよね」
「その顔を見るためにもポックリ逝かんようにせんとなあ」
アーシェに『ポックリ逝く』と言われた衝撃からいまだに抜け出せないランドルフの肩をエマーソンが叩いた。
「安心せい、バ◯は長生きじゃと言うじゃろ? お前は後百年は生きるぞ。長年一緒におるわしが保証してやる」
「ぬかせ! ワシが百年ならお前は二百年じゃ!」
「それだけ長生きして下さるなら⋯⋯これ、会社の規定集なんですけど見直しをお願いしようかな。雑談する余裕もおありのようだし」
「「あ、や⋯⋯その、なあ?」」
『ザッカリーは元々真面目で頭も良いから、安心して会社を任せられる。穏やかで堅実なところは父親譲りだから少し時間がかかっても確実に成し遂げるタイプだな。家族と縁を切っていた10年分なんてすぐに取り返すだろう』
『お義父様達のような破天荒な方にはザッカリーの静かな威圧が最適ですわ。強く押すと反発して逃げ道を探しはじめる方達ですけど、やんわり頼まれるとどんな事でもイエスと言ってしまわれますからね』
能天気に事件の基礎を作り続けてきた爺さんズへのお仕置きは生涯続く予定。
『誰よりも反省していただかなくてはならないおふたりですからね』
楽しそうに鉄扇を手にしたリリベルの背後に母親の影を見たケインが背筋を正した。
(うちの繁栄は女性陣の強さのお陰だな)
冷や汗を垂らしたケインは『父上のようにはならない!』と気持ちを新たにした。
領地の管理を任せているランド・スチュワードと連絡を取り合いつつ今後の予定を話し合っている頃社交界に新情報が流れ、ローゼンタール伯爵家への非難が漸く終結した。
『ローゼンタール伯爵家は一度も援助など受けておられなかったって』
『キャンストル伯爵家の方が会社設立時にローゼンタール伯爵家から借入を行っていたんですって』
『アーシェ様の件は全てケレイブ子爵家の仕組んだ冤罪だったなんて!』
『キャンストル伯爵家が資金繰りに困った時、会社の株を市場価格で買い取ってあげたって』
『キャンストル伯爵は『ソルダート貿易会社』と繋がってて⋯⋯』
「この会社には今のところクライアントがいないから営業部門は不要だが、中長期の投資計画や戦略を練る運用部門もバックオフィス業務も自分達でこなすから結構ハードだよ」
「入社希望の方達はどうされましたの?」
ローゼンタールが新会社設立に動いていると噂されてすぐ多くの家から招待状と釣書が届きはじめた。
経営に参加したい者や家族や親族の就職を希望する者が鈴なりで、アーシェとの婚約を絡めてくる者は数えきれないほど。
「二度とアーシェに政略結婚は薦めないから婚約なんて言い出した奴らは全員却下だよ」
ケインの言葉でアーシェはずっと言いたいと思っていたことがあったのを思い出した。
「お父様に言いたいことがあったのを忘れてました!」
「⋯⋯なんだろうなあ、すごく嫌な予感がしてきたんだが」
ケインがチラッとリリベルを見ると笑いが堪えられない口元を慌てて扇子で隠していた。
「お父様はデイビッドが領地経営の勉強から逃げ出した時とか『アーシェの邪魔をしなければいい』とか『無理そうだな、仕方ない』と仰っておられましたよね」
「う~ん。そうだったかな」
「ええ、仰っておられましたわねえ。わたくしも何度も聞いておりますわ」
女性ふたりから届く冷ややかな空気でケインの顔が青褪めていった。
「あれって、お母様を馬鹿にしているのと同じ事ですよね」
「ええ~、そんな事はないよ~。なあ、リリ⋯⋯」
ビュン! ザン⋯⋯
ケインの真横をすり抜けた短剣が壁に突き刺さった。
「私が爵位を継ぐならお父様の立場になります。で、私と結婚する相手はお母様と同じ立場になるんじゃないですか?」
「⋯⋯あ! そ、それは考えてなかった。すまん、リリベル。無神経な言葉だった、二度と言わないと約束するよ」
深々と頭を下げたケインの前でリリベルとアーシェがハイタッチしていた。
安心したアーシェが部屋に戻るとケインとリリベルは新しいワインを開けてのんびりと話を続けた。
「設立する会社の業務内容も知らず経営に参加したいとか就職したいなんて仄めかす奴らは全員断るつもりなんだ。招待状の中には優秀な人もいたから時期を見て縁があれば声をかけるかもしれないが当分は遠慮だな」
「安心しましたわ、あれほど悪評を立てて騒ぎ立てていた方達とは当分距離を置きたいと思っておりましたの」
「最後まで冷静だった人と手のひらを返した人⋯⋯選別できたお陰で今後の付き合いがやりやすくなった。好き勝手言ってた奴等が一番悔しがるのは隣で美味そうなケーキを食べることだからね」
会社の繁栄に関わらせず一切の協力もしないのがケニスのなりの『ざまぁ』だと言う。
「学園を卒業したらアーシェの行動範囲は一気に広がりますものね。それに合わせて他国へ移住するのも楽しそうですわ」
成功を掲げて他国へ移住する『ざまぁ』もあるとリリベルは言った。
「嫁入り先について行くつもりかい? その頃にはふたりでのんびりしたかったんだけどなあ」
「ケインはどこにいてもどんな時でもご自身の時間を作る才能がおありですもの⋯⋯言葉の通じない国だったとしても大丈夫ですわ」
そんな話が両親の間で交わされているとは知らないアーシェはもうすぐはじまる新学期の準備に追われていた。
(新学期早々試験があるって忘れてた~!)
「アーシェのあの迫力はリリベル仕込みかもしれんぞ?」
「いや、それはマズい⋯⋯ローゼンタールの伝統にはしとうないからのう⋯⋯それにしてもアーシェに会いたいのう。あの花が開くような可愛らしい笑顔が恋しゅうてならんのじゃが、なんぞ方法はないかのう」
「ワシに作戦があるんじゃが聞き⋯⋯」
「ランドルフお祖父様とエマーソンお祖父様! お仕事中ですよ」
「へ~い」「ほ~い」
ランドルフとエマーソンの掛け合いが『ミーレス貿易会社』の風物詩になる頃には、2人の手綱をしっかりと引き締めつつ勤勉に仕事をするザッカリーへの批判も少しずつ減っていった。
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「会社言うのは面倒な書類仕事やら計算やらがいっぱいあるんじゃのう⋯⋯こりゃ、想像以上に婆さんに感謝せにゃならんわい」
「領地経営は愚痴を聞くのが仕事か思うほど次から次に問題が出てきおる⋯⋯墓から高笑いが聞こえてきそうじゃから今度花でも供えに行こうかのう」
「高笑いだけならええがのう、ミランダならマスケット銃を担いでるかもしれんで?」
ややこしい法律用語の並んだ書類から顔を上げたエマーソンがニヤリと笑った。
「ミランダは新し物好きじゃったから今ならミニエー銃を担いどるな。知っとるか? ミニエー弾を使うたミニエー銃の有効射程距離はマスケット銃の5倍じゃ。しかも最大で九百メートル飛ぶ⋯⋯つまり、ワシに逃げ場は残っとらん」
身振り手振りを交えて説明しながら目を輝かせたランドルフが何故か嬉しそうにサムズアップした。
「ミランダが好きそうじゃなあ。レティなら例のツヴァイハンダーじゃな。知っとるか? 骨董屋で見つけた言いよったがレティが振り回しとったのは完全復刻版の新⋯⋯」
「お祖父様達は随分余裕がありそうですね。なら、この資料の精査をお願いします」
「あ、ワシはちょっとトイレに⋯⋯」
「うう、わしも腹が⋯⋯」
「そう言えば、この後リリベル様⋯⋯」
「「やる! いやぁ、仕事は楽しいぞ!」」
「デイビッドの部屋はそのままにしてあるんだけど、帰ってきたらあまりの趣味の悪さに絶句するよね」
「その顔を見るためにもポックリ逝かんようにせんとなあ」
アーシェに『ポックリ逝く』と言われた衝撃からいまだに抜け出せないランドルフの肩をエマーソンが叩いた。
「安心せい、バ◯は長生きじゃと言うじゃろ? お前は後百年は生きるぞ。長年一緒におるわしが保証してやる」
「ぬかせ! ワシが百年ならお前は二百年じゃ!」
「それだけ長生きして下さるなら⋯⋯これ、会社の規定集なんですけど見直しをお願いしようかな。雑談する余裕もおありのようだし」
「「あ、や⋯⋯その、なあ?」」
『ザッカリーは元々真面目で頭も良いから、安心して会社を任せられる。穏やかで堅実なところは父親譲りだから少し時間がかかっても確実に成し遂げるタイプだな。家族と縁を切っていた10年分なんてすぐに取り返すだろう』
『お義父様達のような破天荒な方にはザッカリーの静かな威圧が最適ですわ。強く押すと反発して逃げ道を探しはじめる方達ですけど、やんわり頼まれるとどんな事でもイエスと言ってしまわれますからね』
能天気に事件の基礎を作り続けてきた爺さんズへのお仕置きは生涯続く予定。
『誰よりも反省していただかなくてはならないおふたりですからね』
楽しそうに鉄扇を手にしたリリベルの背後に母親の影を見たケインが背筋を正した。
(うちの繁栄は女性陣の強さのお陰だな)
冷や汗を垂らしたケインは『父上のようにはならない!』と気持ちを新たにした。
領地の管理を任せているランド・スチュワードと連絡を取り合いつつ今後の予定を話し合っている頃社交界に新情報が流れ、ローゼンタール伯爵家への非難が漸く終結した。
『ローゼンタール伯爵家は一度も援助など受けておられなかったって』
『キャンストル伯爵家の方が会社設立時にローゼンタール伯爵家から借入を行っていたんですって』
『アーシェ様の件は全てケレイブ子爵家の仕組んだ冤罪だったなんて!』
『キャンストル伯爵家が資金繰りに困った時、会社の株を市場価格で買い取ってあげたって』
『キャンストル伯爵は『ソルダート貿易会社』と繋がってて⋯⋯』
「この会社には今のところクライアントがいないから営業部門は不要だが、中長期の投資計画や戦略を練る運用部門もバックオフィス業務も自分達でこなすから結構ハードだよ」
「入社希望の方達はどうされましたの?」
ローゼンタールが新会社設立に動いていると噂されてすぐ多くの家から招待状と釣書が届きはじめた。
経営に参加したい者や家族や親族の就職を希望する者が鈴なりで、アーシェとの婚約を絡めてくる者は数えきれないほど。
「二度とアーシェに政略結婚は薦めないから婚約なんて言い出した奴らは全員却下だよ」
ケインの言葉でアーシェはずっと言いたいと思っていたことがあったのを思い出した。
「お父様に言いたいことがあったのを忘れてました!」
「⋯⋯なんだろうなあ、すごく嫌な予感がしてきたんだが」
ケインがチラッとリリベルを見ると笑いが堪えられない口元を慌てて扇子で隠していた。
「お父様はデイビッドが領地経営の勉強から逃げ出した時とか『アーシェの邪魔をしなければいい』とか『無理そうだな、仕方ない』と仰っておられましたよね」
「う~ん。そうだったかな」
「ええ、仰っておられましたわねえ。わたくしも何度も聞いておりますわ」
女性ふたりから届く冷ややかな空気でケインの顔が青褪めていった。
「あれって、お母様を馬鹿にしているのと同じ事ですよね」
「ええ~、そんな事はないよ~。なあ、リリ⋯⋯」
ビュン! ザン⋯⋯
ケインの真横をすり抜けた短剣が壁に突き刺さった。
「私が爵位を継ぐならお父様の立場になります。で、私と結婚する相手はお母様と同じ立場になるんじゃないですか?」
「⋯⋯あ! そ、それは考えてなかった。すまん、リリベル。無神経な言葉だった、二度と言わないと約束するよ」
深々と頭を下げたケインの前でリリベルとアーシェがハイタッチしていた。
安心したアーシェが部屋に戻るとケインとリリベルは新しいワインを開けてのんびりと話を続けた。
「設立する会社の業務内容も知らず経営に参加したいとか就職したいなんて仄めかす奴らは全員断るつもりなんだ。招待状の中には優秀な人もいたから時期を見て縁があれば声をかけるかもしれないが当分は遠慮だな」
「安心しましたわ、あれほど悪評を立てて騒ぎ立てていた方達とは当分距離を置きたいと思っておりましたの」
「最後まで冷静だった人と手のひらを返した人⋯⋯選別できたお陰で今後の付き合いがやりやすくなった。好き勝手言ってた奴等が一番悔しがるのは隣で美味そうなケーキを食べることだからね」
会社の繁栄に関わらせず一切の協力もしないのがケニスのなりの『ざまぁ』だと言う。
「学園を卒業したらアーシェの行動範囲は一気に広がりますものね。それに合わせて他国へ移住するのも楽しそうですわ」
成功を掲げて他国へ移住する『ざまぁ』もあるとリリベルは言った。
「嫁入り先について行くつもりかい? その頃にはふたりでのんびりしたかったんだけどなあ」
「ケインはどこにいてもどんな時でもご自身の時間を作る才能がおありですもの⋯⋯言葉の通じない国だったとしても大丈夫ですわ」
そんな話が両親の間で交わされているとは知らないアーシェはもうすぐはじまる新学期の準備に追われていた。
(新学期早々試験があるって忘れてた~!)
「アーシェのあの迫力はリリベル仕込みかもしれんぞ?」
「いや、それはマズい⋯⋯ローゼンタールの伝統にはしとうないからのう⋯⋯それにしてもアーシェに会いたいのう。あの花が開くような可愛らしい笑顔が恋しゅうてならんのじゃが、なんぞ方法はないかのう」
「ワシに作戦があるんじゃが聞き⋯⋯」
「ランドルフお祖父様とエマーソンお祖父様! お仕事中ですよ」
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