✖️✖️の薬を作ったら牢に入れられました。ここで薬を作れ? それは嫌かなー。って事でさよならします

との

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アルスター侯爵家

114.ミリアとカリストーの共通点

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「えー、ルカやらしー。カリストーのを見たんだ・・すっけべー。やっぱ消し炭にしちゃおーよ」

 真っ赤な顔のルカに向けてディーが枝を振るとルカがキラキラとした光に包まれた。

(そうか、あの光って効果はないんだ)

 ガンツが枝につけたのはただのエフェクト効果。可愛がっているディーを楽しませるだけに高価な素材を使ってガンツが考案したある意味無駄な高等技術だった。

「態とじゃねえ、変身が解けたら何も着てなかったんだからな。不可抗力だ! 俺は悪くねえ!」

「気にせずとも良い。アルテミス様も穢れた者と仰せになられたしな」

 暗い顔で口元を歪めたカリストーをミリアが抱きしめた。

「ルカ、最低」「ルカさん酷い」

「俺は何にも言ってねえぞ。カリストーは綺麗だった。自信持っていい、すんごく綺麗・・ごふっ」

 ドン、ガラガラガシャン。ミリアが風魔法でルカを吹き飛ばし壁に激突した。

「くそ、いってえ。はぁ、部屋で剣の手入れしてくる」

 ぶつけた頭を摩りながらルカが居間から出て行き、その後ろからヴァンがついて行った。



 困惑しているカリストーをソファに座らせてミリアがエリクサーを取り出した。マントを広げて左腕の切り口にゆっくりとエリクサーをかけていく。

「本当は切れた腕があれば良かったんですけど」

 切れて落ちた腕は熊に変化したままだったので燃やしてしまった。


 全員が固唾を飲んで見守る中、白く滑らかなカリストーの左腕が生えてきた。

「ばっ馬鹿な! なくした腕が生えてくるなど」

「良かった。少し訓練が必要ですがまた弓を引けるようになります」

 生えてきた手を見つめゆっくりと指を動かしていたカリストーがポロポロと涙を流した。

「・・ありがとう。我はもう駄目だと」

 


「ふむ、そうかルカはちっぱい好きなのね」

 ディーが感動の瞬間をぶち壊した。カリストーが顔を真っ赤にしてマントの前を掻き合わせディーを睨んだ。

「ゆっ弓を引くにはこれくらいの方が良いのじゃ。無駄に大きくては一流の射手にはなれん」

「えっ! だったら私」

 カノンが自分の胸を押さえて涙ぐんだ。

「ナナさんに弦すべり胸当て作って貰おうね」

「それが良い。我の仲間にも弦すべりを付けておる者はおったぞ。ハーフエルフなら弓が得意であったな、ここにおる間に少し見てやろう」

 涙目だったカノンが大喜びでカリストーに飛びついた。

「そう言えばあの時の矢はミリアが射たものか? 随分と威力のあるものだったな」

「ドワーフのガンツさんが作ってくれたコンポジット・ボウです。ナナさんはガンツさんの妹なんです」


 カリストーがコンポジット・ボウの素材と性能に夢中になり、カノンの弓を手にカノンに蘊蓄を垂れていると準備ができたと声がかかった。

 エレノアが準備してくれたのはシンプルな白い絹のドレス。

「コルセットはお好きではないかと思いましたの」

 少し広めの襟ぐりには飾り襟と小粒の宝石。身体のラインに沿ったボディスは裾に向かって広がっており、ウエストから下に向かう模様は様々な色味の糸で細やかな刺繍が施されていた。

「とてもよくお似合いですわ」

「かたじけない。この礼はいつか必ず」

「では、あの。もし良ければカリストー様の事を色々教えて頂けますか? わたくしニュンペーにお会いしたのは初めてですの。勿論差し支えのない範囲で構いませんの」

「そのような事であれば容易い事。我は狩しかしておらなんだので面白い話は出来ぬと思うがな」

 ミリアは後の事をエレノアに任せてルカの部屋のドアを叩いた。


「終わったか?」

「エレノアさんのお陰でみんなで仲良くお喋りしています。カノンは弓の名手に会えて舞い上がってますし、ディーかいるから暗くなる心配もありませんし」

「カノンとディーは分かるがエレノアの順応力の高さが半端ねえな。今のとこ一度も怖がったとこを見てねえ」

「珍しいですよね、お陰でカリストーさんを連れて来れたんですごく助かってます」

「さて、次はヘルメースか。カリストーの時みたいに腕一本とか言うなよ。あいつ相手には自信がねえ」

「ヘルメースは・・」






「ん? 見ない顔だね。ここに来たのは初めて? 残念なんだけど、ここは大人の集まりなんだ」

「私もう18なんですよ。それに結婚もしてるし駄目ですか?」

 ちょこんと首を傾げて主催者を見上げると、顎に手を当てて顔を覗き込んできた。

「意外だな、もう結婚してるんだ」

「はい、子供の頃ハーミットの商家に奉公に出たんですけどそこで見初められて結婚したばかりなんです。旦那様から里帰りしておいでって言われて・・」

 頬を赤く染めたミリアは恥ずかしそうに微笑んだ。

「じゃあ、幸せいっぱいってやつだね」

「とても優しい方なので・・」

 はにかむミリアの肩に手をかけたヘルメースがニヤリと笑った。

「その話聞きたいな。旦那は一緒に来たの?」

「いえ、お仕事が忙しくて・・だから、ゆっくりしておいでって」

「へえ、じゃあ・・ゆっくりと楽しもうか」
 

 侯爵家の応接室は家具が全て退けられた広い空間のあちこちに、沢山のクッションと低いテーブルが置かれていた。カーテンを締切り蝋燭が灯された部屋にはハーブが飾られ焚かれている香の香りで頭が少しぼうっとする。

(イランイラン? 後は・・ジャスミンとネロリかな?)


 部屋にいる女性達はしどけない格好でクッションにもたれワインを手にしていたり、ヒソヒソと小声で話していたり。あからさまにヘルメースに流し目を送っていた女性はミリアと目が合うときつく睨んできた。

(思ったより沢山いる、ヤバいなぁ)

 立って歩き回っているのは一人だけ。料理や飲み物は全てテーブルに置かれ使用人の姿は見当たらない。ヘルメースがミリアの肩に手を回したまま歩いている女性を指差した。

「彼女の歌はとても素晴らしいから気が向いたら教えてもらうと良い。アデスの歌と踊りがはじまるとみんな夢中になって俺たちのことなんて目に入らなくなる」

 ヘルメースがミリアの耳元で囁いた。

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