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63.どさくさに紛れて欲望ダダ漏れ
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いつものグレッグはとても良い子なのです。トーマス司教様が助祭様を連れてお見えになられた時も礼儀正しく挨拶できていましたし、お父様やわたくしのお客様にもちゃんとご挨拶できていました。
「あの、私はグレッグに何か失礼なことをしたんだろうか?」
「グ、グレッグ⋯⋯プフッ⋯⋯あ、いや。うん」
お父様、笑ってないでノア様のフローして差し上げてくださいませ。理由がお分かりなのはお父様だけのようです。
「グレッグ、逃げたらノア様に負けるが良いのか?」
「⋯⋯まけゆ?」
「そう、頑張って戦わないと負ける」
「まけ、まけないもん⋯⋯ぼく、かちゅのからね」
「それでいい。逃げないでちゃんと思ってる事を言ったほうがかっこいいぞ」
お父様の言葉を真剣に聞いていたグレッグがノア様を睨みながら口をもごもごさせて何か考えています。
「おたな、だめだからね! でったい、だめなの」
「えーっと、『でったい』は『絶対』だと分かるが『おたな』と言うのはなんだろう⋯⋯ラングローズ卿、教えていただけませんか?」
「グレッグはお花の事を言ってるんだよな?」
笑いの発作は治ったようで少し前屈みになったお父様はグレッグに優しい顔を向けています。
「ちょーだよ、だからーおたなっていったでち」
「お花⋯⋯何故お花がダメなんだ? 今日持ってきた花が嫌いだったとか。ラングローズ卿⋯⋯あの」
さっぱりわからないノア様はもう一度お父様に助けを求めました。
「お花のどこが駄目なのかノア様に詳しく教えてあげたらどうだ?」
「おたなはぼくが、あげゆの。おじたんはダメなの。あかった?」
理由が分かったらしいターニャ達やコナー氏⋯⋯応接室にいる全員が吹き出しそうになった口を抑えて真っ赤な顔になりました。
え、分からないのってノア様とわたくしだけ?
「お花は僕があげる? おじさんはダメ⋯⋯私があげるのは駄目と言うことか? と言うことは⋯⋯えーっと、なんだ?」
ノア様が小声でブツブツと呟いています。
「リィにおたなあげゆのは、ぼくなの。えーっと、ぼくだての⋯⋯とっけんね!」
まさかの『やきもち』でした!
そう言えばグレッグは庭でセルゲイ爺ちゃんと穴掘りした後は必ずお花を一輪プレゼントしてくれます。
今日ノア様がお花を持ってきてくださったのをどこかから見ていたのでしょうか。それで⋯⋯やきもち。
「そうか、お花を⋯⋯⋯⋯グレッグがリィにお花をプレゼントしたいのと同じように、私もリィにお花をプレゼントしたいんだ。
だから、許してもらえると嬉しいんだけどなあ」
「⋯⋯リィはぼくのだもん。おじたんにはあげないからね」
「う、ライバル宣言か⋯⋯リィは可愛いからなあ⋯⋯そうだ、リィが大好きな仲間っていうのはどうかな?」
ノア様の意外な提案にグレッグが首を傾げました。とっくに退屈しているチェイスはハンナに抱っこされて指を咥えて夢心地です。
「なまか?」
「そう、仲間。一緒にリィの可愛いとこを言い合ったりお花をプレゼントしたり。手を繋いでお散歩したりもするし、一緒に買い物に行ったりもする」
「なまか、する! リィはかあいーの。おたんぽしゅきしねー」
「うん、リィは可愛いよな。お散歩好きだよな」
わたくしはもうそれなりの歳ですから、可愛いを連呼し合うのは勘弁して下さい。恥ずかしすぎて居た堪れません。
それに、さりげなくお花以外にも許可申請が出てますけど?
「リィに『あーん』ちてもらうの、ちゅき」
「あ、あーん?⋯⋯羨まし⋯⋯いや、うん」
ノア様、真っ赤な顔で妄想してませんか!?
「あとぉ、むぎゅってちてねるちー⋯⋯おぷろ! おぷろであちょぶの!」
「むぎゅってして⋯⋯寝るって言った? お、お風呂!?」
ノア様が赤くなりすぎて頭から湯気が出そうになっています。
「入りません! グレッグともチェイスともお風呂に入ったことはありませんから!」
わたくしは慌てて叫びました。
グレッグに何度も強請られていますが、グレッグとチェイスはハンナとメイサがお風呂に入れています。わたくしはマーベル伯爵家で一度手伝った事があるだけです。
グレッグ恐るべしです。頭の良い子だと思ってはいましたが、どさくさに紛れてとんでもないことを言い出しました。こんな時に悪知恵を働かせるなんて、いったい誰に教わったのでしょう。
ターニャ、笑ってないでグレッグを止めてくれないと今日のおやつ抜きですからね。
「ライバルから気が合いすぎる仲間になれたようだが、フォレスト卿⋯⋯ノア様には『あーん』も添い寝も風呂も禁止ですから」
お父様が参戦しました。
「おじたんは『あーん』なしの? ぼくだけの?」
ふふっと笑ったグレッグはノア様に向けてサムズアップしました。
4歳児にサムズアップを教えたのは誰? それと、もしかしてノア様に対してマウントを取ってるのですか!?
「あれは、セルゲイ爺ちゃんとトーマス司教ですね!」
わたくしの心の声が聞こえたらしいターニャは知ってたようです。
ガックリと肩を落としたわたくしはグレッグに穴掘り禁止令を出すべきか悩みはじめました。
「あの、私はグレッグに何か失礼なことをしたんだろうか?」
「グ、グレッグ⋯⋯プフッ⋯⋯あ、いや。うん」
お父様、笑ってないでノア様のフローして差し上げてくださいませ。理由がお分かりなのはお父様だけのようです。
「グレッグ、逃げたらノア様に負けるが良いのか?」
「⋯⋯まけゆ?」
「そう、頑張って戦わないと負ける」
「まけ、まけないもん⋯⋯ぼく、かちゅのからね」
「それでいい。逃げないでちゃんと思ってる事を言ったほうがかっこいいぞ」
お父様の言葉を真剣に聞いていたグレッグがノア様を睨みながら口をもごもごさせて何か考えています。
「おたな、だめだからね! でったい、だめなの」
「えーっと、『でったい』は『絶対』だと分かるが『おたな』と言うのはなんだろう⋯⋯ラングローズ卿、教えていただけませんか?」
「グレッグはお花の事を言ってるんだよな?」
笑いの発作は治ったようで少し前屈みになったお父様はグレッグに優しい顔を向けています。
「ちょーだよ、だからーおたなっていったでち」
「お花⋯⋯何故お花がダメなんだ? 今日持ってきた花が嫌いだったとか。ラングローズ卿⋯⋯あの」
さっぱりわからないノア様はもう一度お父様に助けを求めました。
「お花のどこが駄目なのかノア様に詳しく教えてあげたらどうだ?」
「おたなはぼくが、あげゆの。おじたんはダメなの。あかった?」
理由が分かったらしいターニャ達やコナー氏⋯⋯応接室にいる全員が吹き出しそうになった口を抑えて真っ赤な顔になりました。
え、分からないのってノア様とわたくしだけ?
「お花は僕があげる? おじさんはダメ⋯⋯私があげるのは駄目と言うことか? と言うことは⋯⋯えーっと、なんだ?」
ノア様が小声でブツブツと呟いています。
「リィにおたなあげゆのは、ぼくなの。えーっと、ぼくだての⋯⋯とっけんね!」
まさかの『やきもち』でした!
そう言えばグレッグは庭でセルゲイ爺ちゃんと穴掘りした後は必ずお花を一輪プレゼントしてくれます。
今日ノア様がお花を持ってきてくださったのをどこかから見ていたのでしょうか。それで⋯⋯やきもち。
「そうか、お花を⋯⋯⋯⋯グレッグがリィにお花をプレゼントしたいのと同じように、私もリィにお花をプレゼントしたいんだ。
だから、許してもらえると嬉しいんだけどなあ」
「⋯⋯リィはぼくのだもん。おじたんにはあげないからね」
「う、ライバル宣言か⋯⋯リィは可愛いからなあ⋯⋯そうだ、リィが大好きな仲間っていうのはどうかな?」
ノア様の意外な提案にグレッグが首を傾げました。とっくに退屈しているチェイスはハンナに抱っこされて指を咥えて夢心地です。
「なまか?」
「そう、仲間。一緒にリィの可愛いとこを言い合ったりお花をプレゼントしたり。手を繋いでお散歩したりもするし、一緒に買い物に行ったりもする」
「なまか、する! リィはかあいーの。おたんぽしゅきしねー」
「うん、リィは可愛いよな。お散歩好きだよな」
わたくしはもうそれなりの歳ですから、可愛いを連呼し合うのは勘弁して下さい。恥ずかしすぎて居た堪れません。
それに、さりげなくお花以外にも許可申請が出てますけど?
「リィに『あーん』ちてもらうの、ちゅき」
「あ、あーん?⋯⋯羨まし⋯⋯いや、うん」
ノア様、真っ赤な顔で妄想してませんか!?
「あとぉ、むぎゅってちてねるちー⋯⋯おぷろ! おぷろであちょぶの!」
「むぎゅってして⋯⋯寝るって言った? お、お風呂!?」
ノア様が赤くなりすぎて頭から湯気が出そうになっています。
「入りません! グレッグともチェイスともお風呂に入ったことはありませんから!」
わたくしは慌てて叫びました。
グレッグに何度も強請られていますが、グレッグとチェイスはハンナとメイサがお風呂に入れています。わたくしはマーベル伯爵家で一度手伝った事があるだけです。
グレッグ恐るべしです。頭の良い子だと思ってはいましたが、どさくさに紛れてとんでもないことを言い出しました。こんな時に悪知恵を働かせるなんて、いったい誰に教わったのでしょう。
ターニャ、笑ってないでグレッグを止めてくれないと今日のおやつ抜きですからね。
「ライバルから気が合いすぎる仲間になれたようだが、フォレスト卿⋯⋯ノア様には『あーん』も添い寝も風呂も禁止ですから」
お父様が参戦しました。
「おじたんは『あーん』なしの? ぼくだけの?」
ふふっと笑ったグレッグはノア様に向けてサムズアップしました。
4歳児にサムズアップを教えたのは誰? それと、もしかしてノア様に対してマウントを取ってるのですか!?
「あれは、セルゲイ爺ちゃんとトーマス司教ですね!」
わたくしの心の声が聞こえたらしいターニャは知ってたようです。
ガックリと肩を落としたわたくしはグレッグに穴掘り禁止令を出すべきか悩みはじめました。
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