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幕ノ内弁当
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「そんなにお綺麗だし、そんなに色々と、外にも出ているのに、ですか」
心の底からミシェルはびっくりだ。
リリーの大きな秘密に、不用意に触ってしまったらしい。
「しいい!!声が大きい!誰かに聞かれたらどうするのよ!」
と般若のごとく恐ろしい顔をして、真剣にあちこち、周りにだれもいないか確認すると、ため息をついた。
ミシェルは正直びっくりした。
アランのように、完全に男をはねのける姿勢であったならば、美しい女でも独り身である事は、まあ理解できるが、リリーのように綺麗で社交的で、おしゃれで、頭もよい女性が、彼氏を求めて、もう10年も男日照りだとは、ちょっとおどろきではないか。
驚きのあまり、ちょっと失礼な反応をしてしまった、とミシェルは思ったが、リリーの反応はちがった。
秘密を知られた事で、運命共同体にされてしまったらしい。先ほどまでの綺麗なマナーをかなぐり捨てて、かなり真剣にミシェルにつめよってきた。
「そうなんです先生!私、全部、思いつく限りすべてのできる事はしてるし、私客観的に、女としてそんなに悪くないと思うんです。何が私、そんなにダメなんですか?いったら失礼ですけど、私よりは美しくない娘でも、賢くない娘でも、野暮ったい娘でも、こんなに長く、彼がいない娘なんて、私正直聞いたことがないんです!」
そういって、ガバリとミシェルの手を取って、強く握りしめた。
「私もう、嘘をつくのがつらくって・・」
もっと話を聞くと、後輩たちはあこがれのリリー先輩の恋の話を聞きたいと、いろいろ聞いてくるのだが、何もできる話がなくて、サバサバしたキャラクターで通しているのに、この話題が上がると、いろいろはぐらかしたり、小説の話をさも自分の経験のようにとりつくろったり、ものすごく辛い思いをしているとか。
そうこうしている内に、理想が高すぎる女だから、普通の男は相手にしないだの、実は誰かの愛人なのかも、など根も葉もない噂で苦しんでいる所に、アランの出来事があって、ミシェルの所に飛んできたと。
こりゃ、辛いと思う。
ミシェルは同じく、あんまり男からの人気がでない女として、心から同情だ。
「・・そうですよね、わかりました。大丈夫。ちょっと占いますので、楽にしていてくださいね」
ミシェルは、そう言うと、リリーの後ろの光のさざめきに意識をむけながら、手元のサイコロをころがして、出た目の数字の、本のページをあけてみた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(はあああ?なにこれ???)
ミシェルは、本のページを繰って、のけぞりそうになってしまった。
ミシェルが期待していたのは、出会いの場所だとか、出会うべき男性のすがただとかそういうヒントになる歌詞がつづられているページ。
だが、目の前にあるのは、意味不明の、子供の歌の歌詞だったのだ。
(ぎっしりつまったお弁当、毎日こんなに食べられないよ。残したらママは怒る。ごちそういっぱいで、もう飽きた。こんなにぎっしり詰めないで、隙間にミコちゃんからもらったポテトをいれたいんだ、隙間に道にさいていた、綺麗なお花を入れたいんだ)
食の細い子供目線の、お弁当が多すぎる事へのマイルドな不満を、ユニークに歌った、子供用の歌だ。
(ええっと・・)
多すぎる、豪華すぎる弁当の歌が、なんでこの、彼氏ができないリリーへの回答になるのだろう。
ミシェルは混乱し、ジト目でこのページに誘導してきた光のさざめきをにらんでみたが、なんと、今度は光のさざめきまで、ぎっちりと詰まった、弁当の形を象りだしたではないか。
意味不明だ。
続いて、光のさざめきは、車輪の形を象りはじめた。
あきらかに、何かを伝えようとしているのだろう。ミシェルは目を凝らした。
(あれ、この車輪なんかおかしい・・)
車輪は普通、車輪と軸でできていて、中心は普通は空洞だ。ミシェルは、バイクの趣味の男とつきあっていた時に、なんでここ空洞なんだろ、と不思議に思った事を思い出した。
だというのに、このリリーがしょっている光でできた車輪の真ん中は、空洞ではない。ぎっしり軸が、隙も無くささっている。
そこで、ミシェルは、バイク乗りの男の言っていたことを、ぼんやりと思い出した。
「あ!!!!!」
ガタリとたちあがった、ミシェルに、リリーはちょっとびっくりしながらも、ミシェルの言葉をまった。
心の底からミシェルはびっくりだ。
リリーの大きな秘密に、不用意に触ってしまったらしい。
「しいい!!声が大きい!誰かに聞かれたらどうするのよ!」
と般若のごとく恐ろしい顔をして、真剣にあちこち、周りにだれもいないか確認すると、ため息をついた。
ミシェルは正直びっくりした。
アランのように、完全に男をはねのける姿勢であったならば、美しい女でも独り身である事は、まあ理解できるが、リリーのように綺麗で社交的で、おしゃれで、頭もよい女性が、彼氏を求めて、もう10年も男日照りだとは、ちょっとおどろきではないか。
驚きのあまり、ちょっと失礼な反応をしてしまった、とミシェルは思ったが、リリーの反応はちがった。
秘密を知られた事で、運命共同体にされてしまったらしい。先ほどまでの綺麗なマナーをかなぐり捨てて、かなり真剣にミシェルにつめよってきた。
「そうなんです先生!私、全部、思いつく限りすべてのできる事はしてるし、私客観的に、女としてそんなに悪くないと思うんです。何が私、そんなにダメなんですか?いったら失礼ですけど、私よりは美しくない娘でも、賢くない娘でも、野暮ったい娘でも、こんなに長く、彼がいない娘なんて、私正直聞いたことがないんです!」
そういって、ガバリとミシェルの手を取って、強く握りしめた。
「私もう、嘘をつくのがつらくって・・」
もっと話を聞くと、後輩たちはあこがれのリリー先輩の恋の話を聞きたいと、いろいろ聞いてくるのだが、何もできる話がなくて、サバサバしたキャラクターで通しているのに、この話題が上がると、いろいろはぐらかしたり、小説の話をさも自分の経験のようにとりつくろったり、ものすごく辛い思いをしているとか。
そうこうしている内に、理想が高すぎる女だから、普通の男は相手にしないだの、実は誰かの愛人なのかも、など根も葉もない噂で苦しんでいる所に、アランの出来事があって、ミシェルの所に飛んできたと。
こりゃ、辛いと思う。
ミシェルは同じく、あんまり男からの人気がでない女として、心から同情だ。
「・・そうですよね、わかりました。大丈夫。ちょっと占いますので、楽にしていてくださいね」
ミシェルは、そう言うと、リリーの後ろの光のさざめきに意識をむけながら、手元のサイコロをころがして、出た目の数字の、本のページをあけてみた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(はあああ?なにこれ???)
ミシェルは、本のページを繰って、のけぞりそうになってしまった。
ミシェルが期待していたのは、出会いの場所だとか、出会うべき男性のすがただとかそういうヒントになる歌詞がつづられているページ。
だが、目の前にあるのは、意味不明の、子供の歌の歌詞だったのだ。
(ぎっしりつまったお弁当、毎日こんなに食べられないよ。残したらママは怒る。ごちそういっぱいで、もう飽きた。こんなにぎっしり詰めないで、隙間にミコちゃんからもらったポテトをいれたいんだ、隙間に道にさいていた、綺麗なお花を入れたいんだ)
食の細い子供目線の、お弁当が多すぎる事へのマイルドな不満を、ユニークに歌った、子供用の歌だ。
(ええっと・・)
多すぎる、豪華すぎる弁当の歌が、なんでこの、彼氏ができないリリーへの回答になるのだろう。
ミシェルは混乱し、ジト目でこのページに誘導してきた光のさざめきをにらんでみたが、なんと、今度は光のさざめきまで、ぎっちりと詰まった、弁当の形を象りだしたではないか。
意味不明だ。
続いて、光のさざめきは、車輪の形を象りはじめた。
あきらかに、何かを伝えようとしているのだろう。ミシェルは目を凝らした。
(あれ、この車輪なんかおかしい・・)
車輪は普通、車輪と軸でできていて、中心は普通は空洞だ。ミシェルは、バイクの趣味の男とつきあっていた時に、なんでここ空洞なんだろ、と不思議に思った事を思い出した。
だというのに、このリリーがしょっている光でできた車輪の真ん中は、空洞ではない。ぎっしり軸が、隙も無くささっている。
そこで、ミシェルは、バイク乗りの男の言っていたことを、ぼんやりと思い出した。
「あ!!!!!」
ガタリとたちあがった、ミシェルに、リリーはちょっとびっくりしながらも、ミシェルの言葉をまった。
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