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アリー戸惑う

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 私は落ち着きを取り戻した途端、この状況が急に恥ずかしくなってしまった。

「あっ、あの……」

「残念だが離れることにしよう」

 クラリス様は私から離れてくれたが、全身熱いし顔の赤みが取れない。

「申し訳ございません」

「いやいいんだ。こちらこそテンションが上がり過ぎて調子に乗ってすまなかった」

「いえ……」

 クラリス様は後ろで控えていたフィナを呼んだ。

「フィナ、至急例の件について調べてきてくれないか?」

「はい殿下。ですがアリー様はどうなさいますか?」

「このまま俺の部屋に置いておきたいが俺の理性が持つかどうかはかなり微妙だ。これ以上嫌な記憶を思い出させたくないしな」

 どうやらクラリス様は私がいることがお邪魔なようだ。

「あの……お邪魔なのでしたら帰りましょうか? ここにいても私はご迷惑ばかりお掛けしてしまう気がします」

「いや……そうではないんだが……」

 クラリス様は深く考えていらっしゃる。

 やはりお勉強とはいえお父様の言っていた通り家から出るんじゃなかったのだわ。

 きっとお父様は迷惑をかけるのがわかっていたからずっと外に出さなかったのよ。
 それを私は……何を勘違いしていたのかしら。
 お父様はクラリス様に逆らえなかっただけよ。

「帰ります」

 私は部屋から退室しようとドアノブを持つとクラリス様が私を抱きしめた。

「頼む。行かないでくれ」

「えっ……」

 私は戸惑いつつも顔が火照るのを感じた。

 もしかして風邪?
 だとするとうつしてはまずいわ。

「クラリス様、私体調が悪いようです。さっきから顔が赤くなったり体温が上昇するのです。近寄らないでください」

「アリー? それは風邪ではなく……いやいいんだ。今はその反応だけで嬉しい。アリーは純粋でいてくれていいんだ」

 何やら喜んでいらっしゃるのかニコニコとご機嫌な様子のクラリス様だった。

「クラリス様、早とちりはいけませんよ? アリー様体調不良のようでしたら一度お部屋に戻りましょうか」

 フィナが助け船を出してくれたので私はそのまま乗ることにした。

「えっ……と、そうですね」

 フィナがそのままクラリス様から離してくれると部屋から出たのだった。

「ダメだ―。アリーが可愛すぎて暴走してしまう。早く問題を解決して結婚したい。そして……あんなことやこんなことをしたい」

 クラリスはアリーへの想いを募らせて妄想しながら食事を楽しんでいた。

 トントン

「入れ」

「殿下、先ほどの件ですが今から調べて参りますがよろしいでしょうか?」

「あっそうしてくれ。しかしアリーはどうした?」

「念のため熱を測りました。少し微熱がありましたのでそのまま今日はお休みするようにとお伝えしました」

「えっ……嘘だろ? 本当に風邪なのか? アリーは大丈夫なのか?。医者を呼ぼう!!」

「クラリス様落ち着いてくださいませ。きっとお疲れが出たのでしょう。今まで家で閉じ込められていたご令嬢ですよ? 殿下を目の前にして動揺もせずに振る舞える方がおかしいですよ」

「そうだな……相変わらずフィナは辛辣だな。幼馴染だからとはいえさすがは諜報部隊の隊長といったところか?」

「ふふふ。殿下それは昔の話ですよ。幼馴染ではなく今は国に仕える忠実な部下です」

「ハハハ、頼もしい部下を持ったものだ。頼む」

「はい殿下」

 フィナはライン男爵家の元へと調べに行くことにしたのだった。
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