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クラリスからのプロポーズ

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 食事を楽しんでいるとクラリス様もお妃様が座っていらっしゃった場所に座りニコニコと私を見つめていた。

「あの……なんでしょうか? どこかおかしな点があれば教えて……」

「いいや。美味しそうに食べるなって。その魚がうらやましいなと思ってね」

 口に魚を頬張る瞬間にそんなことを言われたものだから変なところに入ってしまった。

「ゲホゲホっ。クラリス様なんてことを……ゲホ」

「悪い悪い。だってだよ? そんなニコニコと食材を口に運ぶ様子を見ていたら僕もこんな風に食されてみたいな……的な?」

「もう……茶化すのはおやめください」

「ふふ。アリーは可愛いな。本当に母上も早く認めてくれないかな」

「……本当にいいのですか?」

「何が?」

「私で……?」

 クラリス様は私の手を取ると真剣な表情になった。

「信じられないのなら何度でも言うよ。僕はアリーを愛している。僕の婚約者は君しか考えられないんだ。僕と結婚してくれ」

「クラリス様……私も……」

 ゴホンっという咳払いで2人だけではなかったことに気づく。

「アリー様? あなたは現在フィナ様に負けておられるのですよ? いくらフィナ様が料理下手とはいえ先程のお妃様のご様子からすると何か策を打って来るはずです。お食事もそこまでにしておいて私たちも準備に入りましょう」

 テルに促されて私は食事をしぶしぶ終わらし、クラリス様の手を離す。

 もっと触れていたい。
 私の気持ちも伝えたかった。
 この勝負に勝ったら……

 そんな気持ちを胸に抱きつつ部屋から出たのだった。

 厨房に行くとすでにフィナが準備を整えていた。

「アリー様申し訳ありませんがこちらの食材はすべて私が使いますので」

「えっ……なら私は何を……」

「残りの食材をお使いください」

 フィナに仕えていたメイドたちがブイヨンでも作っていたのだろう。野菜と鶏肉の塊を寸胴の中から取り出した。

「あっ、これで作るってことですか?」

 私の言葉に誰も答えてくれるものはいない。

 ちょっとこれは想像していた以上に勝つのが難しいかもしれない。

 テルですらため息を吐きつつ、冷蔵庫を開けていた。

「アリー様どうなさいますか? 何も入っておりません。今から使いを出しましょうか?」

「う~ん。元々ヘルシー野菜を作るつもりだったから野菜があれば大丈夫なんだけど。あっ!! いい子と思いついた」

「えっ? このような捨てる食材で何をお作りになるというのですか?」

 テルは疑惑の目で私を見ている。

「ふふふ。どうなるかは作ってのお楽しみです」

 私は調理に取り掛かるとその様子をフィナが不思議そうに眺めていた。
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