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The 23rd episode
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何故だ。
何故、
「さ、」
「鮫島社長…!」
間を置いて駆け寄った付き人に、漸く我に返るが。
「来るなぁ!」
鮫島が握る血塗れのリボルバー拳銃をその手から奪い、俺を睨んで泣きながら付き人は俺にその銃を向けた。
銃身が震えている。恐らくこいつは銃を扱ってことがない。しかし向けられているならばこちらも向けるしかない。無論、一般市民への威嚇だ。スライドは引かない。
「…その物騒な殺人兵器は日本の一般市民が使うモンじゃない」
「うるせぇ!
だが言っとく、これが社長の報復だ、壽美田、」
「は?」
リボルバーのハンマーを引く。
こちらもスライドは引くしかないか。
「精々怯えて暮らせ狂犬っ!」
はっとした。
その一瞬の隙に付き人は胸に銃口を当て、発砲した。
「…っ、」
なんだ。
なんだこれは。
「はっ…、」
叫びそうな自分がいるのを堪える。奥歯が痛い。だがどうにか、どうにかと何故かスライドを引っ張った自分の本能に血の気が引いて俺は膝から落ちた。
なんだこれは。
漸く働いた別の本能が、自然とコートのポケットからケータイを取り出し、掛ける。
『…んだよ流星っ、』
先輩のイライラした声が却って非現実で。
座り込んで「ふはっ、」と漸く自分が息をしたのに気付いた。それを聞いた政宗は明らかに『…なんだ、どうした流星、』と、心配の色に変わった。
無機質に、しかし癖で、仕方なくスライドを引いてしまったM18を、遺体となったどちらかへ、
一瞬の本能が思い直して二人の真ん中辺りを撃った。
本格的に政宗が、『おい、流星っ、』と言うのが聞こえてまだ正気をここに持ったらしく。
「…鮫島が自殺した」
『はっ?』
それから「来てくれ」とだけ言って電話を切り、力が抜けて後ろに倒れたとき、デスクの角で頭を打った。
何故、
「さ、」
「鮫島社長…!」
間を置いて駆け寄った付き人に、漸く我に返るが。
「来るなぁ!」
鮫島が握る血塗れのリボルバー拳銃をその手から奪い、俺を睨んで泣きながら付き人は俺にその銃を向けた。
銃身が震えている。恐らくこいつは銃を扱ってことがない。しかし向けられているならばこちらも向けるしかない。無論、一般市民への威嚇だ。スライドは引かない。
「…その物騒な殺人兵器は日本の一般市民が使うモンじゃない」
「うるせぇ!
だが言っとく、これが社長の報復だ、壽美田、」
「は?」
リボルバーのハンマーを引く。
こちらもスライドは引くしかないか。
「精々怯えて暮らせ狂犬っ!」
はっとした。
その一瞬の隙に付き人は胸に銃口を当て、発砲した。
「…っ、」
なんだ。
なんだこれは。
「はっ…、」
叫びそうな自分がいるのを堪える。奥歯が痛い。だがどうにか、どうにかと何故かスライドを引っ張った自分の本能に血の気が引いて俺は膝から落ちた。
なんだこれは。
漸く働いた別の本能が、自然とコートのポケットからケータイを取り出し、掛ける。
『…んだよ流星っ、』
先輩のイライラした声が却って非現実で。
座り込んで「ふはっ、」と漸く自分が息をしたのに気付いた。それを聞いた政宗は明らかに『…なんだ、どうした流星、』と、心配の色に変わった。
無機質に、しかし癖で、仕方なくスライドを引いてしまったM18を、遺体となったどちらかへ、
一瞬の本能が思い直して二人の真ん中辺りを撃った。
本格的に政宗が、『おい、流星っ、』と言うのが聞こえてまだ正気をここに持ったらしく。
「…鮫島が自殺した」
『はっ?』
それから「来てくれ」とだけ言って電話を切り、力が抜けて後ろに倒れたとき、デスクの角で頭を打った。
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