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The 33rd episode

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「で、」

 夜。歌舞伎町のホテルにて。

「ん?っ…なぁに…っ?」

 辻井と戯れて上乗ってる俺はなぜか。

「…あんた頭おかしくねぇかマジで」

 顔は驚愕のクセにわりと興奮状態の辻井が間抜けすぎてもう耳元で「こゆの好きだろお前」と吐いてやる。

 汗が耳に流れるようだ、髪をかけて辻井を見つめる。多分いま俺色っぽいよ、多分。

 我ながら思うわ、俺って最低だなぁ。でも「確かにむちゃくちゃ良いけどさ」と四の五の言って動きもしないマグロ辻井に(この場合絶対俺が使われるべき単語だろうけど)

「あーもう飽きた寝る」

あっさり萎えてしまった俺は勝手に上から退いて一人隣に寝転んだ。

 間があってから「いやちょっ、はぁ?」と言われてしまう。なんなら壁際向いて寝てるのに「ねぇちょっ…、どーしてくれんのよ」と股間をあてがわれたが「やめろ変態!」と叩いてしまい「痛゛っ」と丸まってしまっていた。

「ちょっ、あんたからさ、せっ…きょくてきに」
「割り勘でいーよ」
「何っ、」
「うるせぇな帰る家ないんだよ処世術だよ調子乗るな」
「はぁ?旦那は?」

 ついに起き上がってタバコを吸い始めた辻井に振り返ってやればかなり不機嫌そうだった。

「旦那旦那ってお前らマトリは霊長類しかいねーな。違ぇっつーの」
「あり得ないだろあんたドエロだもん」
「否定しねーけど違ぇんだよ」
「あっそ」
「てかお前が妬くのおかしいからね」

 もうパンツ穿く。姫やる気ない。
 より不機嫌そうになった辻井は「じゃ帰れよ」と冷たい。当たり前だけど。俺だってよくわかんねえけど。

「だってあんな俺見てお前興奮してただろ、俺可哀想だっただろ!」
「興奮も一瞬だよマジで驚愕だったからね。俺「今夜どう?」って言われた瞬間正直勃つか不安だったからねっ」
「でも来てんじゃん」
「当たり前じゃんあんためっちゃほっとけないくらい切な気なんだもん、酷いわ~。流石に俺も今日キレて良いよね」
「いいよ?殴れよまったく」
「はぁ…」

 溜め息吐かれた。

「だって…。ホントに山下さんはどうなったの?」
「…わかんない」

 あれからやっぱり連絡は着かず。
 書類にも月夜里祥真についてはまとめた。だからこそ、どこにいるか、生きているか、今は気が気じゃないのかも知れないが、犬死には許さないと俺は言った。

 恐らく次は、戦場だろう。

「…どうして俺のとこにいるんだよあんた」
「…別に」

 お前が一番今は平和だからだよ、多分。

「多分嫌いだからだよ」
「は?」
「どれくらい最低なことを言えば人を殺せるかな、なんてね」

 全ての動きを止めて意外そうに見る辻井は、何を考えてるかはわからない。

「でも、言葉なんていらないでしょ、そーゆーの」
「…あんたさ、」
「俺死ぬまで生きていたいわけ、わかる?」
「…いや、わかんないけど」

 タバコをもみ消して乗ってきと思えば、ギンギンなクセに抱擁してくる、だけ。

「…やっぱ、帰るべきじゃない?」
「…のわりにこれはどう説明するのお前」

 ギンギンなそれをがっちり握ってやれば「痛いってば!」と言いながら辻井はちょっと笑った。

「じゃ一回かな」
「はぁ?」
「何回でもいいよって言いたいけどね。今日はダメだね」
「違ぇよバカなの?」

 って言いながらちゃんと肩に手を回してやる。ファンサファンサ。もうどうにでもなれ。

 体温高ぇな、笑えるなぁ。辻井も嬉しそうだからファンサついでに吐いとこうか、萎えそうなやつ。「巻き込んで悪かったね」と。

 なにも言わずにただ辻井は笑った。やっぱりなぁ。感情ってなかなか読み取れないよ。

 祥ちゃんから最後の着信があったのはそれから2時間後、寝そうになっていたときで。
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