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オールキャスト
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しおりを挟む恋人同士役のふたりが、浜辺を走るシーンや夜の公園できらめく花火。夏空の下で顔を寄せ合い笑うふたり。
恋人役のふたりのお互いを好きな気持ちが、映像を通して、わかりやすく、きゅんと伝わってくる。
「うーん……。撮影に使うのはスマホだし、編集でどれくらいエモい画にできるかっていう問題はあるけど……。おれはどうしても、このストーリーがいいなって思ってるんだよね」
動画を見つめながら言う大晴の話し方からして、彼が撮りたい映画はこれ一択。初めから他の選択肢なんてなかったんだろう。
大晴は、昔から、これだと自分で決めたことは譲らない。
「蒼月は? この話、どう思う?」
二回目のプロモーション動画の再生が終わると、大晴が名指しで蒼月に意見を求めた。
そういえば、蒼月はさっきからずっとわたし達の輪から少し離れて動画を見ていて、ひとりだけなんの感想も言っていない。手にはスマホを持っていて、動画よりもそっちのほうを気にしている感じだ。
全員が蒼月のほうを見ると、顔をあげた彼が困ったように眉尻を下げた。
「蒼月は、この話どう思った?」
「――悪くないんじゃないかな」
蒼月の答えはあまり歯切れがよくない。あまり興味がなさそうだし、そもそもちゃんと動画を見ていたのだろうか。
二日前に三人で会ったときは、大晴の提案してきた「夏の思い出」作りにもう少し興味を持っている様子だったのに。今の蒼月は少しうわの空だ。大晴だってそれに気付いているはずなのに、蒼月の言葉に「だよな」と言って、にこっと笑う。
「みんなもこれでいい?」
「たいせーが気に入ってるなら、いいんじゃない」
「うん、わたしはいいよ」
「わたしも」
「よかった。じゃあ、ストーリーはこれで決定」
みんながなんとなく賛成すると、大晴が口角を上げて満足そうに頷いた。
「ただ、映画撮るのはいいけど、費用はあんまりかけられないだろ。だから、ロケ地は基本学校。登場人物たちもみんな高校生だし、衣装は基本的にうちの学校の制服な。海とか花火とか。そういうデートっぽいシーンは私服で。小道具とかもなるべく手持ちのものとか、買っても安く用意できるやつにしたい」
てきとうなのかと思っていたら、大晴は現実的にいろいろと考えていたらしい。
わたしたちみたいなシロウトに、スマホだけでどのくらい映画らしいものが撮れるのかはわからないけど……。大晴の話を聞いていたら、本格的なものはムリでも、それっぽいものは撮れるのかなという気がしてきた。
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