季節はずれの桜の下で

碧月あめり

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1. 透明で見えないわたし

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 その日の放課後。わたしは幼なじみのハルちゃん、こと、村沢 はるみと一緒に学校から帰った。

「そっかあ。校外学習の班、大和といっしょなんだね」

 今日のできごとを知って苦笑いを浮かべるハルちゃん。そんなハルちゃんの横で、わたしはスマホのメモアプリを開いてタタッと文字を打つ。

《大和くん、わたしのことを無理やり同じ班にいれたの。どーせ、心桜は同じ班になってくれる人いないんだから、って》

 スマホの画面を見せながら、むっと頬をふくらませると、ハルちゃんが笑った。

「はは。エラそーに言う大和の顔が目に浮かぶわ」

《ほんと、そう! やっぱり大和くんは、苦手》

「うーん。心桜からしたら、そうなっちゃうよね。でも、大和は大和なりに心桜のこと心配してるんだよ」

《そんなはずない》

 ハルちゃんに、わたしはスマホのメモに打った文章で返事する。

 わたしは人前でうまく話せないけど、紙に文字で書いたり、スマホのメモアプリを使えば、思っていることをスムーズに伝えられる。だから、ハルちゃんとの会話にはスマホが欠かせない。

 家が近くて幼稚園からずっといっしょのハルちゃんの前なら、ほんとうは少し声が出せるんだけど……。

 話す言葉や順番を考えていると、頭がこんがらがって固まってしまうことがあって……。

 だから、ハルちゃんにも、スマホのメモに文章を打って気持ちを理解してもらうことが多い。そのほうが、言葉よりも、思っていることを正確に伝えられる。


 面倒な方法でしか会話ができないわたしだけど……。ハルちゃんは、こんなわたしを、昔からあたりまえに受け入れてくれている。

 家が近くて、幼稚園からずっといっしょのハルちゃんは、わたしが心を許せる一番の友達だ。

 中一の頃はハルちゃんと同じクラスだったから、わたしは何をするときもハルちゃんにくっついていた。

 でも、中二では別々のクラスになってしまって、わたしは淋しくて仕方がない。

《校外学習、行きたくないな……》

 わたしがメモにつぶやくと、

「今年も同じクラスだったらよかったのにねえ」

 と、ハルちゃんが慰めてくれる。

 こればっかりは、仕方ない。わかってるけど、わたしも思う。

 ハルちゃんと同じクラスだったらなあ、って……。
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