狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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7章

102話 *魔性

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あれから約30分。琳太郎は別室で日下部と打ち合わせを終え、晴柊のいる寝室に戻ろうとしていた。晴柊は視界も塞がれ、緊張状態にいる。とうに時間間隔は無くなっているであろう。


ああ、早く見たい。どんなに乱れているのだろうか。もしかしたら意識を飛ばしているかもしれないな。しかし、そうなればまたお仕置きだ何だと酷いことをされる、と晴柊はわかっているはずだろう。ああ見えて根性がある晴柊の性格ならば、意地でも起きているはずだ。早く苦しくてたまらないといった晴柊の顔が見たいと、琳太郎は上機嫌なまま別室を後にした。


リビングに入ると、1人作業している遊馬がいた。この30分の間にやってきたのだろう。遊馬はてっきり寝室にいると踏んでいた琳太郎が外からやってきたのを不思議そうに見ている。


「あっちの部屋にいたんですか。……じゃあ、晴柊は?」

「寝室にずっといるぞ。……見てくか?」


琳太郎の意地悪い顔を見て、遊馬はすぐに察しがついた。またハードプレイを強いているのだろう。まるで羨ましいか?と言わんばかりの琳太郎の挑発に遊馬は嫌そうな顔をする。


「結構です。本当に良い性格してますね。」

「そんなお前は相変わらず可愛くないな。」


琳太郎はそれだけいうと、楽しそうに寝室へと戻っていった。


琳太郎は音と気配を消し、寝室に入った。口を塞がれた晴柊の、漏れ出る吐息とバイブ音だけが響いている。射精できていないモノは真っ赤になっている。そろそろ限界であろう。晴柊の顔を覗き込むと、口に当てた黒い布はぐずぐずになっており、吸収しきれていない量の晴柊の唾液が垂れている。


琳太郎はしばらくその姿を堪能した後、晴柊の身体にそっと触れてみた。晴柊の身体がびくりと反応し、すぐに琳太郎がいることに気付いたのだろう、ぐぐもった声を漏らし始めた。


「ん゛~~~!!ん゛!!」


琳太郎は何も言わないまま晴柊の口の布を外させる。


「琳太郎!あん、ん…良い子にしてた、から……ぁ、目、外してぇ………!」

「………」

「……りんたろぉ…?なんで、ん、んっ…何にも、言わないのぉっ…?琳太郎なんだろ…?」


琳太郎は晴柊の問いかけに答えないまま黙っていると、晴柊は次第に不安げな声を上げ始めた。琳太郎が何も答えてくれない。本当に琳太郎なのか、それ以外あるはずがないが、視界を塞がれているせいでまるで違う人がいるのではないかという不安が過る。


「なんか、いってぇ……ぁ、ん…ぅ…ぁ˝…っ!!」


琳太郎はバイブのスイッチを切るとずるりと抜いた。そして、自らのベルトを外すと、晴柊の姿を見て興奮した自分のモノをそっと、バイブが抜けぽっかり空いた晴柊のアナルに当てがった。


苦しそうなコックリングをそっと外すと、琳太郎はずずっと自分のモノを中に埋め込む。


「ひゃぁっ!?……ぁ、あ……んん゛~~~~っ!!やだぁ、ぁ、ん……目、取ってぇ……いやぁ…!!」


晴柊が取り乱し始める。可哀想で可愛い晴柊。琳太郎の歪んだ性癖が顔を出し始める。もっと虐めたい。


「ぁ、あ゛っ……ん、ぅ……ぁ゛…!」


晴柊の心の中で、今自分に挿入しているのは琳太郎ではない「誰か」かもしれないと思っているのだ。気持ちい、怖い、気持ちい…気持ちがぐちゃぐちゃになる。しかし、目隠しを取る自由な手は無い。


「ひっ……ぁ゛ん……あ゛、らめ、イぐっ……ぁああっ…でる、でる゛ぅっ、んぁああ゛!!!」


ずっと我慢させられていた限界が来た。晴柊は舌を出し口を塞ぐことができないまま、一人はしたなくイッた。解放された今日初めての射精は、せき止められていた勢いから晴柊の顔にまで飛び散っている。一気に流れ込んできた快感に、晴柊の真っ暗な視界に火花が散った。


琳太郎は晴柊がイッた後もピストン運動を止めなかった。晴柊が目隠しの布にも抑えきれないほどの涙を零している。


「とっでぇ…!ぁ、んん゛っ…りんたろっ……あ゛、あああ゛…!」


琳太郎が晴柊の目隠しにそっと触れ、下に降ろす。晴柊の泣きじゃくった目と琳太郎の視線が交差した。晴柊は琳太郎の顔を見た瞬間ほッとしたのか、身体が弛緩し安心したように目を細めた。


「ばか…ばかぁ……遅い……」


晴柊がぐずぐずと泣いている。快感による生理的な涙半分、不安からの涙半分といったところであろう。琳太郎は晴柊の頭をくしゃくしゃと撫でる。


「可愛くてつい意地悪したくなった。悪かったな。」


琳太郎は動かしていた腰を止め、晴柊の頬をよしよしと撫でる。


「もう、取って……ぎゅって、して欲しい……頑張ったから、ご褒美…ちょぉだい……」


晴柊はいつになく甘えたである。琳太郎はもう少し苛めるつもりだったが、目の前の晴柊に心を掴まれ大人しく拘束具を外してやる。そして体重を掛けるようにして晴柊の方に体を寄せ、ぎゅっと抱きしめる。晴柊もまた、解放された腕で琳太郎の広い背中を抱きしめた。


この瞬間、晴柊は頑張ってよかったと思うのだ。立派な服従関係である。


「ぁ˝ん、んんっ……はぁ、ぅ…あ゛~~!ん、きもちっ……ぁ゛……ん、ああ゛っ…!♡」

「もうたくさんイッていいぞ。今日は頑張ったもんな、ほら、はしたないところもっと見せてみろ。」

「あん˝、ぁ……ひゃぁっ…お˝っ…んん゛、ずっと、こうし、て…ぁ゛!!!♡♡♡」


晴柊から身体を離し、足を持つようにして腰を動かす琳太郎の手をぎゅっと握る。欲情しきった晴柊の瞳が琳太郎を煽っていく。熱を帯びいつもよりピンクみがかった晴柊の肌、自分の出した白濁と涙と鼻水でせっかくの綺麗さが台無しになっている顔、自分の手を愛おしそうに握る華奢な指。全てが琳太郎にとっての興奮材料であった。


琳太郎は晴柊にゆっくり口付けをし、舌を絡ませる。何度も何度も抱ているのに、飽きはしない。飽きるどころか寧ろ、抱くたびにもっと晴柊が欲しくなる。晴柊は琳太郎にとって、魔性の存在だった。
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