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第5話 よし殺そう

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「ふあ~!もうすぐ夜明けだしお開きにするか」

「そうですね、それにもう荷物が持てませんしね」

大量大量!

俺達は3家回り、金や酒や調度品など金目の物を根こそぎ奪ったので3人で手分けして荷物を抱えていて、これ以上は目立ちすぎるので断念した。

スラム街へと帰る途中変な男を見つけた。
どうやら他人の家の壁を蹴って壊していた。
男は苛立っている様子で物に八つ当たりをしているようだった。
俺は何となく面白そうな予感がしたので、

「ヘイヘイ!そこのお兄さん!何苛ついてんの?」

俺はその男の首に腕を回して馴れ馴れしく話し掛けた。

「な、なんだよ!金はねえぞ!全部盗られちまったからな!」

「へえ~、そいつは不幸だったなあ~」

「くそっ!あんな女を好きだったなんて!」

ん?どうやらただ盗られた訳ではないようだ。なんて面白そう、げふんげふん!

「まあまあ、人ん家の壁を壊すより酒を飲んだ方が発散できるぜ!おい、No.7!ほら、さっきの酒出せ」

もちろん盗品である。

「え?あ?何で?アンタ等関係無いじゃねえか?」

「まあまあ、良いじゃん良いじゃん!さあさあ、飲め飲め!No.7、No.8!てめえ等、先に帰っては今日は『一斉清掃』は中止するから宿屋(廃屋)から離れ過ぎなければ好きにして良いと伝えてこい。あ、あとお前等は自分が使ってる武器持って帰ってこい」

二人は俺の荷物も持って走っていった。

「さて、飲もうじゃねーか!ほら、吐いちまえよ!ほらほら」

青年はポツポツと話し始めた。

青年の名はボーマン。
冒険者であり5人パーティー『蒼牙』の1人であったが今日突然パーティーから追放されたらしい。
理由は簡単だった。
追加で新しくメンバーを入れるので弾かれたらしい。

「ん?何で辞める必要があるんだ?もしかして冒険者のパーティーって人数決まってんのか?モンハンみたいに?」

「モンハン?何ですかそれ?いいえ、人数制限はないけど俺達の受けてるクエストレベルじゃ5人くらいが精一杯なんですよ」

「何年やってきたかは知らんけど一緒にやって来た奴よりポッと出の新人入れるくらいなんだ強いのか?」

「分からねーよ!」

「はあ?実力も分からねーのに入れるのか?」

「そいつが『魔法使い』だったんだよ!」

「はあ?魔法が使えるから?」

「能力者や魔法使いは圧倒的に数が少ない!だからってあれはないだろ!俺は確かに能力者でも魔法使いじゃないけど剣には自信があるんだ!なのに魔法使いとはいえモンスターも人も殺した事もない素人と変えられるなんて!」

魔法使い・・・モンスターも人も殺した事がない素人。

そして今日突然・・・まさか?

「そいつの名は?」

「サイトウって名だったな。黒髪黒目でクロブチのメガネをかけていたな」

サイトウ?斎藤か?・・・クラスにはいなかったな。まさか他のクラスの連中か?・・・ん?そういえば、あーーーー!いた!いたな斎藤!

確か名前は斎藤 大地。オタク野郎だったな。
いつも俺の視界に入らないように行動してたな。
昼休みにはトイレに隠ってたし俺と廊下ですれ違う時一番端までよるしな。
俺以外の奴にもカツアゲされていて不良連中からはアダ名で『サイトウ銀行』やら『コンビニ大地ATM』とか言われてたな。
いじめられていて教室で不良連中に命令されてオナニーやって射精してクラスの女子連中からも気持ち悪がって近寄られない奴だった。

「へえ~、それで?」

「実はチームリーダーと俺は付き合ってたんだけど別れてと言われて・・・グスッ!」

なんか涙目になった。

「パーティー抜けるのはいいけど別れるのを待ってくれと言いに行ったんだよ!俺は追放言い渡されてその場から逃げちまって、暫くして戻ったら、ギルドにいなくて、アイツは俺の家で同棲していてな。家に帰ったんだ・・・そしたら、俺の家でアイツ!その男と全裸で!俺のベッドで!セックスしてやがった!くそっ!くそっ!」

ん~、予想以上に面白、ぐふん!げふん!悲惨な事になってんな。しかし、あのいじめられっ子の斎藤が女を寝とるなんてな。
やはり強大な力でも手に入れたのか?
だが斎藤か?殺しとくか?使えなさそうだしな。
けど、ただ殺すのはつまらねえな・・・さて、どうやって殺すか?

「0様、戻りました」

No.7とNo.8がスラムから戻って来た。来たけども。

「おい、お前等・・・その手に持ってる物だが」

「へ?武器持ってこいって?」

「ああ、言ったけど・・・間違ってない!」

No.7の武器は鎖鎌。
イメージ的には合ってるよ。
けど、何で分銅部分がドでかい鉄球!もうそれモーニングスターでよくない!鎌部分いるかそれ?
そしてNo.8!
何でてめえその図体でナイフ!間違ってんだろ!

「いや~、No.8はこの図体で俊敏性パないんですよ」

「ほっふ!ぐっふ!へっふ!おで!うげげぶ!」

No.7がそう言うとNo.8が反復横飛びを始めた。

はやっ!動けるデブだな!No.8!

「まあ、いいや、で?ボーマンったか?これからどうする?」

「どうする?」

「そうだよ!良いのか?お前を裏切ったパーティーメンバー!そしてお前の女!そして奪っていったサイトウ!許せるのか?許せるのか!許して良いのか!」

「許せる・・・訳ないだろ!!」

「くくく、よく言った!さて、ここで提案だ」

俺は懐からある物を取り出す。
親指くらいの大きさの黄色の水晶。

「こいつは『賢者の石』っつてな。これを使えばパワーアップできる優れ物だ!」

「それがあれば?」

ボーマンが手を伸ばすが俺はその手を払う。

「タダではやれねーの!代償がいる!お前の寿命10年!そして『蒼牙』メンバーの命とサイトウの命だ!どうだ!払えるか!」

まあそんな制約ないけどな。

「払う!払うぞ!」

考えると思ったけど即決だったな。

「よし!そうと決まれば!」

ドロドロドロドロ!

俺の体はドロドロと液状になっていく。

「えっ!え?何で?はあ!」

ボーマンが混乱する。

そして俺は人間の形へと戻る。
ただし、体格、顔、声、が全くの別人に変貌した。
サイトウ?斎藤には面バレしてるからな。
変装しておこう。

「アンタ悪魔か?何かか?」

「俺は・・・能力者だ。ふふふ、蒼牙に恐怖と絶望を味合わせてから殺してやるよ!」
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