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ルルside
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「素敵……!」
翌日。
私が仕上げたワンピースを着て、ラティは嬉しそうにクルリと回ってみせる。
素敵だと褒めてくれたが、そりゃそうだ。
ラティに似合うように作ったんだから。
フワフワの栗色の髪を肩元ぐらいに整えて、空色の瞳を細めて笑う。
一体誰が彼女を嫌いになれようかというぐらい、その笑みは破壊的だ。
ラティはスタイルもいいし、最近暑くなってくるから、彼女の瞳と同じ色の空色のワンピースを作った。
動きやすいよう頼むとオーダーされたから、膝丈くらいのスカートの長さに、腰元に茶色のベルトをつけてみせる。
ほら、これでラティは誰よりも輝いてる。
「ありがとう。お代を……」
「いらないよ」
「でも」
「私はあんたのその姿を見れて満足」
おまけに新商品の案も貰えちゃったからね。
でもそれは、私がラティに向けて作った特注品。
ラティは嬉しそうに頬を薔薇色に染めると、「ありがとう」と礼を言う。
「ラティアンカさん、いってらっしゃーい!」
「(無理だと思うけど)頑張ってアルジェルド様から逃げるんだよー」
夫は仕事で朝から出ていたので、私はルイと一緒にラティを見送った。
ラティの姿が見えなくなると、大きなため息が思わず出る。
「ぜぇったい面倒臭い……」
アルジェルド様がラティのことを愛してない?
どんだけ口下手なんだよ、アルジェルド様やい。
誤解してあんたの奥さん出てっちまったよ。
「ママー?」
「んー、まー、いっか!」
あの旦那様の執念深さなら、放っておいてもなんとかなるだろう。
それにアルジェルド様には痛い目みてもらいたい。
私は昔のことを思い出しながら、ルイと一緒に店内へ戻った。
◆ ◆ ◆
ラティが初めてここを訪れた時、アルジェルド様が一緒だった。
アルジェルド様のことは誰もがよく知っていたから、店内は緊張した雰囲気が漂う。
すると、ラティが出てきた私に向かって、へにゃりと困ったように笑った。
「私が旦那様の妻だからといって、特別扱いはしないでほしいんです」
ね? とラティがアルジェルド様に振り返るが、アルジェルド様は無言でフイと顔を逸らす。
ありゃ? もしかして仲悪い?
そういえば親同士が決めた結婚だって言ってたような。
「わ、わかりました。お客様。本日はどのような服をお求めで?」
「そうねぇ。季節に合わせた服をいただこうかしら」
「わかりました」
とは言っても、ウチは評判がいいから、世界一の魔術師の奥様でもきっと満足してくださるはず。
試着室へとラティを案内し、私が先日作った自信作に袖を通してもらった。
「どうですか? 旦那様」
「………」
相変わらずアルジェルド様は無言のまま。
しゅん、とラティはへこむと、「これ、買わせていただきますね」と元の服へ着替えようと試着室へと戻った。
いやいやいやいや。
ええ?
いいの? アルジェルド様褒めてなかったよ?
そもそもアルジェルド様は、ラティに興味がないのだと、誰もが思っていた。
しかし。
「おや? あなたは……」
「あ、おかえり」
この付近で木こりをやっている夫が帰ってきた。
試着室から出てきたラティに、夫は朗らかに話しかけた。
「これはこれは、美しい方。私達の服屋に来ていただきありがとうございます」
「美しいだなんて、そんな」
美しいと褒められたラティは、恥ずかしげにうつむいてみせる。
ラティは女の私から見ても凄く綺麗だ。
何でこんな綺麗な奥さんと不仲なんだか……と思っていた時期が私にもありましたよ、ハイ。
「っ!?」
ゾワりと、怖気が私の背中を走る。
恐る恐る振り返れば、アルジェルド様が私の夫のことを物凄い勢いで睨んでいた。
……ヤバい。不仲なんかじゃない。
アルジェルド様が絶望的にコミュ障なだけだ……!!
このままじゃ夫は視線だけで呪い殺される。
「奥様! 先ほどの服に合うスカートもご紹介しましょうか?」
慌てて私がそう言うと、「ええ、ぜひ」とラティは微笑んだ。
これから仲良くなったが、当時の私はアルジェルド様恐ろしさに「あまり関わるまい」と決めていた。
◆ ◆ ◆
「あー、私、殺されちゃうんじゃないかなぁ……」
アルジェルド様に黙って、ラティを見送ってしまった。
だが今回ばかりはアルジェルド様が悪い。
多分五日後にこの店を訪ねてくるであろう世界一の面倒臭い客を思い、私は盛大なため息をついた。
翌日。
私が仕上げたワンピースを着て、ラティは嬉しそうにクルリと回ってみせる。
素敵だと褒めてくれたが、そりゃそうだ。
ラティに似合うように作ったんだから。
フワフワの栗色の髪を肩元ぐらいに整えて、空色の瞳を細めて笑う。
一体誰が彼女を嫌いになれようかというぐらい、その笑みは破壊的だ。
ラティはスタイルもいいし、最近暑くなってくるから、彼女の瞳と同じ色の空色のワンピースを作った。
動きやすいよう頼むとオーダーされたから、膝丈くらいのスカートの長さに、腰元に茶色のベルトをつけてみせる。
ほら、これでラティは誰よりも輝いてる。
「ありがとう。お代を……」
「いらないよ」
「でも」
「私はあんたのその姿を見れて満足」
おまけに新商品の案も貰えちゃったからね。
でもそれは、私がラティに向けて作った特注品。
ラティは嬉しそうに頬を薔薇色に染めると、「ありがとう」と礼を言う。
「ラティアンカさん、いってらっしゃーい!」
「(無理だと思うけど)頑張ってアルジェルド様から逃げるんだよー」
夫は仕事で朝から出ていたので、私はルイと一緒にラティを見送った。
ラティの姿が見えなくなると、大きなため息が思わず出る。
「ぜぇったい面倒臭い……」
アルジェルド様がラティのことを愛してない?
どんだけ口下手なんだよ、アルジェルド様やい。
誤解してあんたの奥さん出てっちまったよ。
「ママー?」
「んー、まー、いっか!」
あの旦那様の執念深さなら、放っておいてもなんとかなるだろう。
それにアルジェルド様には痛い目みてもらいたい。
私は昔のことを思い出しながら、ルイと一緒に店内へ戻った。
◆ ◆ ◆
ラティが初めてここを訪れた時、アルジェルド様が一緒だった。
アルジェルド様のことは誰もがよく知っていたから、店内は緊張した雰囲気が漂う。
すると、ラティが出てきた私に向かって、へにゃりと困ったように笑った。
「私が旦那様の妻だからといって、特別扱いはしないでほしいんです」
ね? とラティがアルジェルド様に振り返るが、アルジェルド様は無言でフイと顔を逸らす。
ありゃ? もしかして仲悪い?
そういえば親同士が決めた結婚だって言ってたような。
「わ、わかりました。お客様。本日はどのような服をお求めで?」
「そうねぇ。季節に合わせた服をいただこうかしら」
「わかりました」
とは言っても、ウチは評判がいいから、世界一の魔術師の奥様でもきっと満足してくださるはず。
試着室へとラティを案内し、私が先日作った自信作に袖を通してもらった。
「どうですか? 旦那様」
「………」
相変わらずアルジェルド様は無言のまま。
しゅん、とラティはへこむと、「これ、買わせていただきますね」と元の服へ着替えようと試着室へと戻った。
いやいやいやいや。
ええ?
いいの? アルジェルド様褒めてなかったよ?
そもそもアルジェルド様は、ラティに興味がないのだと、誰もが思っていた。
しかし。
「おや? あなたは……」
「あ、おかえり」
この付近で木こりをやっている夫が帰ってきた。
試着室から出てきたラティに、夫は朗らかに話しかけた。
「これはこれは、美しい方。私達の服屋に来ていただきありがとうございます」
「美しいだなんて、そんな」
美しいと褒められたラティは、恥ずかしげにうつむいてみせる。
ラティは女の私から見ても凄く綺麗だ。
何でこんな綺麗な奥さんと不仲なんだか……と思っていた時期が私にもありましたよ、ハイ。
「っ!?」
ゾワりと、怖気が私の背中を走る。
恐る恐る振り返れば、アルジェルド様が私の夫のことを物凄い勢いで睨んでいた。
……ヤバい。不仲なんかじゃない。
アルジェルド様が絶望的にコミュ障なだけだ……!!
このままじゃ夫は視線だけで呪い殺される。
「奥様! 先ほどの服に合うスカートもご紹介しましょうか?」
慌てて私がそう言うと、「ええ、ぜひ」とラティは微笑んだ。
これから仲良くなったが、当時の私はアルジェルド様恐ろしさに「あまり関わるまい」と決めていた。
◆ ◆ ◆
「あー、私、殺されちゃうんじゃないかなぁ……」
アルジェルド様に黙って、ラティを見送ってしまった。
だが今回ばかりはアルジェルド様が悪い。
多分五日後にこの店を訪ねてくるであろう世界一の面倒臭い客を思い、私は盛大なため息をついた。
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