34 / 55
第二十六話 零れ出た言葉
しおりを挟む
アリエルお姉様とユエが帰った後、私達は寮の外に出来た戦闘の跡を消していった。
特に私の出した大木などは消すのに苦労したが、見事アンちゃんが光魔法で焼き払ってくれた後に、レオナルドが水の魔法で消した。
小2時間ほど片付けに追われ、終わった頃にはもう少しで朝であった。
「何とか誤魔化せるレベルまで来たけど、もし無理だったら僕が精神魔法で何とかするよ」
ネアルお兄様に託されたという、精神魔法のかかった杖を持って、ライヴ先輩がそう言ってくれた。
ライヴ先輩とアンちゃんは、少しの時間でいいから寝る、と言って、寮へ戻っていった。
「リア……少し、話さないか?」
レオナルドに引き止められ、私は先ほどまで戦っていた場所に座り込む。
何だか嵐のような出来事だった。
ユエが襲ってきて、それを防いで、あっという間にアリエルお姉様が王位争いを辞退。
片付けをすれば、気がつけばもう少しで日が昇るほどの時間。
疲れ切った体で座り込めば、どっと安心した。
緊張の糸が切れたらしい。
隣に座るレオナルドを見て、相変わらず天使のように綺麗だな、とか思ってしまうから。
「リア」
「なに?」
レオナルドはこちらを向いて、私に向かって問いかける。
「お前は、このまま王になってもいいと思う?」
「………私が?」
「そうだ。多分国王様を治しても、いつか代替わりが来るだろう? その次の王に指名それるのは、きっとリアだ」
「でも、リュドミラお兄様やネアルお兄様が残って……」
「『治癒魔法』が使えるようになれば、お前に敵はいなくなるだろうな」
そこまで言い切られてしまえば、言葉に詰まってしまう。
頭の片隅に置いておいた可能性。
それはもう十分にあり得る結果となっている。
王になりたくないとずっと言い張ってきたが、このまま王になるのは必然的。
「……ユーグお兄様みたいに、王位争いを辞退すれば」
「そのユーグお兄様は、あまり魔法が使えないらしいじゃないか。だから王位争いを外れられたんだ。お前は明らかにずば抜けている。リュドミラ王子の実力はわからないが……そう簡単に辞退できるのか? それに、国王様を治すために立ちはだかるのはリュドミラ王子だぞ」
「う、うん……」
それは重々理解している。
もしこのまま突っ切っていけるのなら、最後に残るのは私だということ。
リュドミラお兄様はよくわからない人だけど、負けてお父様を治せないのは嫌だ。
ネアルお兄様は、どうするのかはわからないけれど、体が弱いから心配だ。
「……私、ずっと王になんてなりたくないって思ってきた」
「ああ、わかってる」
「でもさ、そんな中途半端じゃダメだよね。覚悟を決めなきゃ」
今日、アリエルお姉様やユエと会ったのは、いい機会だったに違いない。
私はレオナルドに告げた。
「私は絶対にお父様を治す。たとえ私がそれで王になったって、それなら精一杯王様を勤めてみせるから」
「……わかった。俺はそれについていくよ」
レオナルドの言葉は頼もしいものだった。
思えば彼はいつでも私を引っ張ってくれる。
彼がいたから、ここまで来れた。
「レオナルド」
「んあ?」
「ありがとう。私をここまで、連れてきてくれて」
そう言えば、レオナルドはニカッと笑った。
「当たり前だ。俺はリアが全てだ。それに、俺はリアのそういうところを昔から愛しているんだからな」
………………ん?
「………あ」
「え?」
バッとレオナルドは自らの口を押さえる。
私の空耳よね?
その、あ、愛してる、だなんて。
でも、レオナルドの顔は真っ赤で。
「………ごめん、忘れて」
「え!? れ、レオナルド!?」
「ごめん!!」
そう叫んで、レオナルドは走っていく。
気づけば、もう日は登っていた。
「……………ええ?」
これは、告白ってこと?
レオナルドはつい漏らしちゃったみたいな顔をしていたけど。
でも、その言葉を掘り返してみれば、違和感のあるところがあった。
「……昔からって、なに?」
レオナルドとは、会って1年も経っていないというのに。
わざわざ昔からって言う?
「わ、わかんないよぉ……」
特に私の出した大木などは消すのに苦労したが、見事アンちゃんが光魔法で焼き払ってくれた後に、レオナルドが水の魔法で消した。
小2時間ほど片付けに追われ、終わった頃にはもう少しで朝であった。
「何とか誤魔化せるレベルまで来たけど、もし無理だったら僕が精神魔法で何とかするよ」
ネアルお兄様に託されたという、精神魔法のかかった杖を持って、ライヴ先輩がそう言ってくれた。
ライヴ先輩とアンちゃんは、少しの時間でいいから寝る、と言って、寮へ戻っていった。
「リア……少し、話さないか?」
レオナルドに引き止められ、私は先ほどまで戦っていた場所に座り込む。
何だか嵐のような出来事だった。
ユエが襲ってきて、それを防いで、あっという間にアリエルお姉様が王位争いを辞退。
片付けをすれば、気がつけばもう少しで日が昇るほどの時間。
疲れ切った体で座り込めば、どっと安心した。
緊張の糸が切れたらしい。
隣に座るレオナルドを見て、相変わらず天使のように綺麗だな、とか思ってしまうから。
「リア」
「なに?」
レオナルドはこちらを向いて、私に向かって問いかける。
「お前は、このまま王になってもいいと思う?」
「………私が?」
「そうだ。多分国王様を治しても、いつか代替わりが来るだろう? その次の王に指名それるのは、きっとリアだ」
「でも、リュドミラお兄様やネアルお兄様が残って……」
「『治癒魔法』が使えるようになれば、お前に敵はいなくなるだろうな」
そこまで言い切られてしまえば、言葉に詰まってしまう。
頭の片隅に置いておいた可能性。
それはもう十分にあり得る結果となっている。
王になりたくないとずっと言い張ってきたが、このまま王になるのは必然的。
「……ユーグお兄様みたいに、王位争いを辞退すれば」
「そのユーグお兄様は、あまり魔法が使えないらしいじゃないか。だから王位争いを外れられたんだ。お前は明らかにずば抜けている。リュドミラ王子の実力はわからないが……そう簡単に辞退できるのか? それに、国王様を治すために立ちはだかるのはリュドミラ王子だぞ」
「う、うん……」
それは重々理解している。
もしこのまま突っ切っていけるのなら、最後に残るのは私だということ。
リュドミラお兄様はよくわからない人だけど、負けてお父様を治せないのは嫌だ。
ネアルお兄様は、どうするのかはわからないけれど、体が弱いから心配だ。
「……私、ずっと王になんてなりたくないって思ってきた」
「ああ、わかってる」
「でもさ、そんな中途半端じゃダメだよね。覚悟を決めなきゃ」
今日、アリエルお姉様やユエと会ったのは、いい機会だったに違いない。
私はレオナルドに告げた。
「私は絶対にお父様を治す。たとえ私がそれで王になったって、それなら精一杯王様を勤めてみせるから」
「……わかった。俺はそれについていくよ」
レオナルドの言葉は頼もしいものだった。
思えば彼はいつでも私を引っ張ってくれる。
彼がいたから、ここまで来れた。
「レオナルド」
「んあ?」
「ありがとう。私をここまで、連れてきてくれて」
そう言えば、レオナルドはニカッと笑った。
「当たり前だ。俺はリアが全てだ。それに、俺はリアのそういうところを昔から愛しているんだからな」
………………ん?
「………あ」
「え?」
バッとレオナルドは自らの口を押さえる。
私の空耳よね?
その、あ、愛してる、だなんて。
でも、レオナルドの顔は真っ赤で。
「………ごめん、忘れて」
「え!? れ、レオナルド!?」
「ごめん!!」
そう叫んで、レオナルドは走っていく。
気づけば、もう日は登っていた。
「……………ええ?」
これは、告白ってこと?
レオナルドはつい漏らしちゃったみたいな顔をしていたけど。
でも、その言葉を掘り返してみれば、違和感のあるところがあった。
「……昔からって、なに?」
レオナルドとは、会って1年も経っていないというのに。
わざわざ昔からって言う?
「わ、わかんないよぉ……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
40
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる