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モブにも驚くべき背景があるんですのよ7
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「ルーク、近衛隊の新兵を募集しているわけじゃないんですよ。彼女はフィオナ嬢の侍女で、あのドレスは……」
キースは心底呆れ果てた顔だ。
そう、私の着ている焦茶色の木綿のワンピースは王宮勤めの女の制服だ。機能性のみを追求した、いわば作業服みたいなもんだ。エマは顎ラインのボブヘアだが、私に限らず侍女はみなあまり髪を伸ばさない。自分の手入れをしている暇があれば、主の髪にオイルでも塗ったほうが有益だからだ。
ちなみにエマは容姿も平凡だった。ブスでもないが美人でもない。王道のモブキャラって感じ。あ、でもほんの少し自己弁護させてもらうと、メイク映えはばっちりだと思う。特徴のない地味顔ほどメイクのしがいがあるってもんよ。
「誰が好ましいかと聞かれたから、答えただけだ」
ルークは平然と言う。
「まぁ、いいんじゃないか。ルークが女性を好ましいと言うなんて、初めて聞いたぞ。ええと、名はなんと……」
ラフェルが私を見る。答えてくれたのはフィオナだ。
「私の侍女のエマです。今日の私の身支度は彼女が整えてくれました」
「そうか。エマはセンスがいいんだな。良い侍女がつくのは、本人の力量とも聞く。さすがはフィオナだな」
天然なのか計算なのか、ラフェルは全方位に褒め言葉を贈る。
「……恐れ入ります」
フィオナはドレスの裾をつまみ、恭しく礼をしてみせた。
お茶会は和やかに進んだ。やっぱりアリスが主役になる場面が多かったけれど、ラフェルは他の令嬢達にもまんべんなく話を振り場を盛り上げた。
シルビアはアリスに好意的。反対にフィオナの手下キャラであるサラは露骨にアリスをいじめる。ひたすらマイペースなシャルロッテはお妃争いには興味が無さそうだ。
ふむふむ、このあたりはゲームのままなのね。私は冷静にその場を観察していた。……と言いたいところだけど、実際はついついキース様に視線を奪われ、気もそぞろだった。
彼はにこやかに談笑しながらも、厳しい目で令嬢達をチェックしているのだ。王子ラフェルにもっともふさわしいのは誰なのか……と。
はぁ~、時折のぞかせる腹黒そうな微笑がたまらない。ラフェルに過保護気味なところもいい!
本音を言えば菜穂としてももうちょい生きたかったけど、今世も悪くないわね。
「おい。……おい」
「へ?」
がしっと肩をつかまれ、振り返るとそこにいたのはルークだった。なんだか怖い顔で私を睨んでいる。
「な、なにか?」
「なぜ、そんなにキースを見ている?」
あら、気づかれてた? さすがは近衛隊所属。観察眼が鋭いのね。
「えっと……その……」
なぜか? なんて乙女に聞くのは野暮ってもんだろう。理由なんてひとつしかないに決まっているのに。
キースは心底呆れ果てた顔だ。
そう、私の着ている焦茶色の木綿のワンピースは王宮勤めの女の制服だ。機能性のみを追求した、いわば作業服みたいなもんだ。エマは顎ラインのボブヘアだが、私に限らず侍女はみなあまり髪を伸ばさない。自分の手入れをしている暇があれば、主の髪にオイルでも塗ったほうが有益だからだ。
ちなみにエマは容姿も平凡だった。ブスでもないが美人でもない。王道のモブキャラって感じ。あ、でもほんの少し自己弁護させてもらうと、メイク映えはばっちりだと思う。特徴のない地味顔ほどメイクのしがいがあるってもんよ。
「誰が好ましいかと聞かれたから、答えただけだ」
ルークは平然と言う。
「まぁ、いいんじゃないか。ルークが女性を好ましいと言うなんて、初めて聞いたぞ。ええと、名はなんと……」
ラフェルが私を見る。答えてくれたのはフィオナだ。
「私の侍女のエマです。今日の私の身支度は彼女が整えてくれました」
「そうか。エマはセンスがいいんだな。良い侍女がつくのは、本人の力量とも聞く。さすがはフィオナだな」
天然なのか計算なのか、ラフェルは全方位に褒め言葉を贈る。
「……恐れ入ります」
フィオナはドレスの裾をつまみ、恭しく礼をしてみせた。
お茶会は和やかに進んだ。やっぱりアリスが主役になる場面が多かったけれど、ラフェルは他の令嬢達にもまんべんなく話を振り場を盛り上げた。
シルビアはアリスに好意的。反対にフィオナの手下キャラであるサラは露骨にアリスをいじめる。ひたすらマイペースなシャルロッテはお妃争いには興味が無さそうだ。
ふむふむ、このあたりはゲームのままなのね。私は冷静にその場を観察していた。……と言いたいところだけど、実際はついついキース様に視線を奪われ、気もそぞろだった。
彼はにこやかに談笑しながらも、厳しい目で令嬢達をチェックしているのだ。王子ラフェルにもっともふさわしいのは誰なのか……と。
はぁ~、時折のぞかせる腹黒そうな微笑がたまらない。ラフェルに過保護気味なところもいい!
本音を言えば菜穂としてももうちょい生きたかったけど、今世も悪くないわね。
「おい。……おい」
「へ?」
がしっと肩をつかまれ、振り返るとそこにいたのはルークだった。なんだか怖い顔で私を睨んでいる。
「な、なにか?」
「なぜ、そんなにキースを見ている?」
あら、気づかれてた? さすがは近衛隊所属。観察眼が鋭いのね。
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なぜか? なんて乙女に聞くのは野暮ってもんだろう。理由なんてひとつしかないに決まっているのに。
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