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卒業後
1283 星暦558年 橙の月 24日 保存(4)
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「ちなみにここって宿泊も出来るのか?
ダメならお勧めな宿を幾つか教えておいてもらいたいのだが」
アレクが魔術師のおっさんに尋ねる。
ジルダスの領事館は最初からそれなりに大きな屋敷をゲットしていたからアファル王国の人間が比較的良心的な値段で宿泊できるそこそこな部屋がいくつかあった。
こちらはそこまで大きな部屋を確保していないって話だから、どうなんだろう?
「あ~。
魔術師の魔力切れでどうしても帰れなくなって、宿泊費が厳しい人間が取り敢えず休めなくはない3段ベッドが幾つか押し込まれた部屋が一つあるが、お前らは普通に金があるんだろ?
『狐の昼寝亭』か『赤熊の抱擁亭』がお勧めかな?
料理は赤熊の方が美味しいが、素泊まりにして朝食だけ食べるんだったら狐の方がお得だな」
魔術師のおっさんが答えた。
なんかこう、動物の名前な宿が多いな。
交易で栄えている港街なんだから、もっと風とか海とかにちなんだ名前の宿が多いかと思ったが。
「ありがとう、両方見てみるよ」
アレクが頷いた。
魔力が足りなくて帰り損ねた連中が集団で使う3段ベッドの部屋というのは選択肢外らしい。
まあ、当然だな。
他者に聞かれたくない話し合いも出来ないだろうし。
というか。
「俺達日帰りで来たんじゃなかったっけ??」
入国記帳を終えて廊下に出て、『出口』と大きく書いてある方向へ進みながらアレクに尋ねる。
確かにかなり魔力を使った感覚はあるが、夕方までにはちゃんと復帰して転移門で帰れると思うぞ?
「今後の参考のために聞いておいたんだ。
街を散策している間に見かけたら場所と雰囲気の把握をしておいて損はないだろう?」
アレクが指摘する。
確かに。
見たことがない宿屋をシェイラに勧めようとして、行ってみたらかなり微妙なんてことになったら困るからな。
「ついでにジルダスの時みたいにウィルが適当な街の子供でも捕まえて、良い店や宿屋を紹介させたら?
美味しい店は地元民が一番よく知っているだろうし、地元の人間に評判が悪い店はぼったくりな可能性が高いでしょ」
シャルロが付け加える。
「そうだな。
高級品はまだしも、普通の日常品レベルで買うようなお土産用の品とかお買い得品は街の浮浪児を捕まえて道案内のついでに聞くのもありか」
流石に高級品の目利きは無理だろうが、どうせそんなのは俺達は買わないからな。
まあ、シャルロだったら気に入ったらお土産もしくは自分用に買うかもしれないが、そういうのは自分の目で評価できるだろう。
という事で領事館(仮)から外へ出る。
大通りから一本裏に入った中堅どころの店が並ぶ通りの端だった。
「住宅地じゃないんだな」
ジルダスの領事館は高級宅地にあった豪邸を一つ買い取って手を加えたから住宅地にあったのだが、こちらは日中の買い物や散策の便を重視したのかな?
「そういえば、ゼリッタの特産品ってなんだっけ?」
シャルロがアレクに尋ねる。
「特産品というか、ここは東大陸各地からの商品が集められているんだ。西大陸から南海諸島を経由して来る交易船にそれらを売り、西大陸から持って来られた物を買って東大陸の各都市に売る、交易の中継地として栄えている場所だからな。
ここ特有の特産品を探すというよりも、各地の特産品がそこまで行かなくても比較的いい値段で入手できるのが売りになっている」
アレクが教えてくれた。
ああ、なるほど。
南国の果物や魚がない、ザルガ共和国みたいなものか。
まあ、ここだって暖かいみたいだから果物や魚も採れるんだろう。現地民以外は補給用としてしか買わないんだろうが。
「じゃあ、ジルダスの香辛料や薄い生地はあっちで買った方がいいし、ケッパッサの薬にもなる毒もあっちの方が鮮度が高いし安いのかな?
そうなると、それ以外?」
シャルロが周囲の店を覗き込みながら言う。
「ジルダス以外の地域で取れる香辛料もあるだろうから、香辛料に関しては何があるかをしっかり確認して目新しいのは入手するのもありだな。
生地だって薄くて安いのは多分ジルダスからここまで態々運ばれてこないだろうから、もう少し近い地域の違う生地で素材や模様が違う可能性は高いぞ」
アレクが応じる。
ケッパッサの薬になる毒に関しては……下手に手を出さない方がいいから、無しだな。
という事で、それ以外を探すか!
ダメならお勧めな宿を幾つか教えておいてもらいたいのだが」
アレクが魔術師のおっさんに尋ねる。
ジルダスの領事館は最初からそれなりに大きな屋敷をゲットしていたからアファル王国の人間が比較的良心的な値段で宿泊できるそこそこな部屋がいくつかあった。
こちらはそこまで大きな部屋を確保していないって話だから、どうなんだろう?
「あ~。
魔術師の魔力切れでどうしても帰れなくなって、宿泊費が厳しい人間が取り敢えず休めなくはない3段ベッドが幾つか押し込まれた部屋が一つあるが、お前らは普通に金があるんだろ?
『狐の昼寝亭』か『赤熊の抱擁亭』がお勧めかな?
料理は赤熊の方が美味しいが、素泊まりにして朝食だけ食べるんだったら狐の方がお得だな」
魔術師のおっさんが答えた。
なんかこう、動物の名前な宿が多いな。
交易で栄えている港街なんだから、もっと風とか海とかにちなんだ名前の宿が多いかと思ったが。
「ありがとう、両方見てみるよ」
アレクが頷いた。
魔力が足りなくて帰り損ねた連中が集団で使う3段ベッドの部屋というのは選択肢外らしい。
まあ、当然だな。
他者に聞かれたくない話し合いも出来ないだろうし。
というか。
「俺達日帰りで来たんじゃなかったっけ??」
入国記帳を終えて廊下に出て、『出口』と大きく書いてある方向へ進みながらアレクに尋ねる。
確かにかなり魔力を使った感覚はあるが、夕方までにはちゃんと復帰して転移門で帰れると思うぞ?
「今後の参考のために聞いておいたんだ。
街を散策している間に見かけたら場所と雰囲気の把握をしておいて損はないだろう?」
アレクが指摘する。
確かに。
見たことがない宿屋をシェイラに勧めようとして、行ってみたらかなり微妙なんてことになったら困るからな。
「ついでにジルダスの時みたいにウィルが適当な街の子供でも捕まえて、良い店や宿屋を紹介させたら?
美味しい店は地元民が一番よく知っているだろうし、地元の人間に評判が悪い店はぼったくりな可能性が高いでしょ」
シャルロが付け加える。
「そうだな。
高級品はまだしも、普通の日常品レベルで買うようなお土産用の品とかお買い得品は街の浮浪児を捕まえて道案内のついでに聞くのもありか」
流石に高級品の目利きは無理だろうが、どうせそんなのは俺達は買わないからな。
まあ、シャルロだったら気に入ったらお土産もしくは自分用に買うかもしれないが、そういうのは自分の目で評価できるだろう。
という事で領事館(仮)から外へ出る。
大通りから一本裏に入った中堅どころの店が並ぶ通りの端だった。
「住宅地じゃないんだな」
ジルダスの領事館は高級宅地にあった豪邸を一つ買い取って手を加えたから住宅地にあったのだが、こちらは日中の買い物や散策の便を重視したのかな?
「そういえば、ゼリッタの特産品ってなんだっけ?」
シャルロがアレクに尋ねる。
「特産品というか、ここは東大陸各地からの商品が集められているんだ。西大陸から南海諸島を経由して来る交易船にそれらを売り、西大陸から持って来られた物を買って東大陸の各都市に売る、交易の中継地として栄えている場所だからな。
ここ特有の特産品を探すというよりも、各地の特産品がそこまで行かなくても比較的いい値段で入手できるのが売りになっている」
アレクが教えてくれた。
ああ、なるほど。
南国の果物や魚がない、ザルガ共和国みたいなものか。
まあ、ここだって暖かいみたいだから果物や魚も採れるんだろう。現地民以外は補給用としてしか買わないんだろうが。
「じゃあ、ジルダスの香辛料や薄い生地はあっちで買った方がいいし、ケッパッサの薬にもなる毒もあっちの方が鮮度が高いし安いのかな?
そうなると、それ以外?」
シャルロが周囲の店を覗き込みながら言う。
「ジルダス以外の地域で取れる香辛料もあるだろうから、香辛料に関しては何があるかをしっかり確認して目新しいのは入手するのもありだな。
生地だって薄くて安いのは多分ジルダスからここまで態々運ばれてこないだろうから、もう少し近い地域の違う生地で素材や模様が違う可能性は高いぞ」
アレクが応じる。
ケッパッサの薬になる毒に関しては……下手に手を出さない方がいいから、無しだな。
という事で、それ以外を探すか!
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