41 / 1,038
魔術学院2年目
040 星暦550年 紺の月 17日 出発
しおりを挟む
趣味とか情熱って人それぞれだ。
自分の興味の対象が他人にとって面白いものであるとは限らない。
考えてみたら、俺ってかなり無趣味かも。金を稼ぐのに忙しすぎてあまり何に自分が興味を感じるのか考えて来なかった。
ちょっとこれから考えてみよう・・・。
シャルロは寝起きがかなり悪い。
天使のような見た目で、いつでも爽やかに元気そうなイメージだが、朝食時は声をかけても基本的に意味のある返事は返ってこない。
蒼流が起こしているからか遅刻はしないが、基本的に朝はダメ。
そんなシャルロだが、ずっと待っていた遺跡探索は特別らしく、日の出とともに元気に俺を起こしに来た。
「朝だよ!!起きてよ、さあ行こう!」
シャルロほど酷くないけど、俺だって朝は苦手なんだ、勘弁してくれ・・・。
「早く行こうよ~~!」
元気だね、シャルロ。
軽く唸りながらベッドから出た。
「朝食は?」
「下に用意してあるよ。お弁当も!さあ、行こう!」
本当にハイだねぇ・・・。
下の食堂では既にアレクが朝食を食べていた。
「早いね」
「そりゃあ、私も本当の遺跡を探検するのは初めてだからね。ワクワクして早く目が覚めた」
あれ、アレクも初めてなんだ。
そっか、シェフィート家は王都出身だから地方にある遺跡には縁がないのか。
どうりで張り切って図書館で色々調べていた訳だ。
「そう言えば、今回行く遺跡について何か見つかったんだっけ?」
卵焼きをパンに乗せて食べながら聞いた。
一昨日は途中でやる気が抜けたから先に課題を終わらせに帰っちゃったんだよね。
「この地方の遺跡はオーパスタ神殿系が多いらしいから、ここのも多分そうだろうね。
オーパスタ神殿系の遺跡は進んで行くと真ん中か一番奥に神殿のような広場がある。
滅ぼされたとか言うのではなく単に廃れたのか、財宝はあまり無いが、代わりにトラップも殆どない。
ただし魔獣や魔物が住み着くことがあるから危険もあるし、何よりも作りが複雑だから迷う危険性が非常に高いと言ったところかな。」
ふ~ん・・・。
「ところでさ、とっても基本的な質問をしていい?」
「なんだ?」
「このオーパスタ神殿って地下にあるんだよね?
何だって昔の人はそんな地下に住んでいたのさ?」
今までに聞いた話でも、大抵冒険家や学者が探索に行く遺跡は地下か洞窟の中のようだ。
微妙に疑問に思っていたのだ。
何故昔の人はそんなカビ臭いところに住んでいたのか。
それ程古代は危険だったのだろうか?
アレクが苦笑した。
「地上にあったらとっくのとうに畑にされているか、上に人が住んでいるよ。
遺跡っていうのは古の人間が住んでいた場所で、何かの理由でその状態が偶々現在まで残ったモノなんだ。
つまり、オーパスタ神殿の都市に住んでいた人達だって普通に地上に住んでいたんだと思う。
ただ、神殿とその周辺の設備だけが地下や洞窟にあったのではないかと考えられている」
太陽の下で信仰出来ない神殿って一体何なんだ?
財宝やトラップが無くてもちょっと微妙にそんなところ行きたくないかも。
「もっと財宝が出るタイプの遺跡は、上に都市や宮殿、砦みたいなところがあって、財宝を隠していた地下部分だけが残っているらしいのも多いよ」
シャルロが会話に参加してきた。
「遺跡によっては戦争や事故で地盤沈下して埋まったらしいものもあるし。こういうタイプは魔術で地盤固定をかけながら探索しないと極めて危険だ。ただ、その分まだ財宝や研究の価値がある物が見つかる可能性が高い」
アレクが更に付け足す。
「・・・二人とも遺跡のことに色々関心があるんだね。何で今まで行ったことがなかったのさ?」
ちょろっと遊びに行くだけの経済力はどちらの家にも十分にあっただろうに。
「・・・危ないと言われたから」
「忙しくて機会がなかった」
勿論、最初がシャルロで二番目がアレクの返事だった。
「ふぅん。ま、今日の遺跡で色々楽しめるといいな」
俺が最後のパンを食べ終わった途端、シャルロが立ち上がる。
「さあ、行こう!」
・・・熱心だねぇ。
自分の興味の対象が他人にとって面白いものであるとは限らない。
考えてみたら、俺ってかなり無趣味かも。金を稼ぐのに忙しすぎてあまり何に自分が興味を感じるのか考えて来なかった。
ちょっとこれから考えてみよう・・・。
シャルロは寝起きがかなり悪い。
天使のような見た目で、いつでも爽やかに元気そうなイメージだが、朝食時は声をかけても基本的に意味のある返事は返ってこない。
蒼流が起こしているからか遅刻はしないが、基本的に朝はダメ。
そんなシャルロだが、ずっと待っていた遺跡探索は特別らしく、日の出とともに元気に俺を起こしに来た。
「朝だよ!!起きてよ、さあ行こう!」
シャルロほど酷くないけど、俺だって朝は苦手なんだ、勘弁してくれ・・・。
「早く行こうよ~~!」
元気だね、シャルロ。
軽く唸りながらベッドから出た。
「朝食は?」
「下に用意してあるよ。お弁当も!さあ、行こう!」
本当にハイだねぇ・・・。
下の食堂では既にアレクが朝食を食べていた。
「早いね」
「そりゃあ、私も本当の遺跡を探検するのは初めてだからね。ワクワクして早く目が覚めた」
あれ、アレクも初めてなんだ。
そっか、シェフィート家は王都出身だから地方にある遺跡には縁がないのか。
どうりで張り切って図書館で色々調べていた訳だ。
「そう言えば、今回行く遺跡について何か見つかったんだっけ?」
卵焼きをパンに乗せて食べながら聞いた。
一昨日は途中でやる気が抜けたから先に課題を終わらせに帰っちゃったんだよね。
「この地方の遺跡はオーパスタ神殿系が多いらしいから、ここのも多分そうだろうね。
オーパスタ神殿系の遺跡は進んで行くと真ん中か一番奥に神殿のような広場がある。
滅ぼされたとか言うのではなく単に廃れたのか、財宝はあまり無いが、代わりにトラップも殆どない。
ただし魔獣や魔物が住み着くことがあるから危険もあるし、何よりも作りが複雑だから迷う危険性が非常に高いと言ったところかな。」
ふ~ん・・・。
「ところでさ、とっても基本的な質問をしていい?」
「なんだ?」
「このオーパスタ神殿って地下にあるんだよね?
何だって昔の人はそんな地下に住んでいたのさ?」
今までに聞いた話でも、大抵冒険家や学者が探索に行く遺跡は地下か洞窟の中のようだ。
微妙に疑問に思っていたのだ。
何故昔の人はそんなカビ臭いところに住んでいたのか。
それ程古代は危険だったのだろうか?
アレクが苦笑した。
「地上にあったらとっくのとうに畑にされているか、上に人が住んでいるよ。
遺跡っていうのは古の人間が住んでいた場所で、何かの理由でその状態が偶々現在まで残ったモノなんだ。
つまり、オーパスタ神殿の都市に住んでいた人達だって普通に地上に住んでいたんだと思う。
ただ、神殿とその周辺の設備だけが地下や洞窟にあったのではないかと考えられている」
太陽の下で信仰出来ない神殿って一体何なんだ?
財宝やトラップが無くてもちょっと微妙にそんなところ行きたくないかも。
「もっと財宝が出るタイプの遺跡は、上に都市や宮殿、砦みたいなところがあって、財宝を隠していた地下部分だけが残っているらしいのも多いよ」
シャルロが会話に参加してきた。
「遺跡によっては戦争や事故で地盤沈下して埋まったらしいものもあるし。こういうタイプは魔術で地盤固定をかけながら探索しないと極めて危険だ。ただ、その分まだ財宝や研究の価値がある物が見つかる可能性が高い」
アレクが更に付け足す。
「・・・二人とも遺跡のことに色々関心があるんだね。何で今まで行ったことがなかったのさ?」
ちょろっと遊びに行くだけの経済力はどちらの家にも十分にあっただろうに。
「・・・危ないと言われたから」
「忙しくて機会がなかった」
勿論、最初がシャルロで二番目がアレクの返事だった。
「ふぅん。ま、今日の遺跡で色々楽しめるといいな」
俺が最後のパンを食べ終わった途端、シャルロが立ち上がる。
「さあ、行こう!」
・・・熱心だねぇ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
501
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる