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卒業後
617 星暦555年 桃の月 13日 とばっちり(4)
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「うわ、凄いな」
陶磁器《ポッターズ》ギルドに連れてこられた俺は、思わずそこに集まった人間を視て声を上げた。
既に日中に捕獲された者を除いたすべてのギルド会員が集められたという話だが、ほぼ全員が精神汚染を受けている。
ここまで徹底的にやるなんて・・・仕掛けて来た相手の執念が感じられるぜ。
確かに白磁はバカ高く売れるが、ここまで手間をかける程のものなのか??
職人っぽいおっさんたちだけでなく、若い見習いとか荷物運びっぽい兄ちゃんまで、満遍なく被害にあっている。
「被害はどのくらい?」
ため息をつきながらファルナが尋ねる。
「あそこの気難しそうな白髪の爺さんと、あっちの赤毛のひょろい若いのと、受付の金髪女以外全員」
これだけカバーしたら、流石に情報が既に漏れているんじゃないか??
何人かは既に精神異常を起こしていそうな色になっているし、顔色も良くない。
精神異常を起こすのと、誓約魔術の負荷による心臓発作と、どちらが先かって感じだな。
「マジ?!
・・・はぁぁ、流石にそれだけの人数だと、誰が呪具持ちに引き合わせたのかの確認も難しいわね」
一瞬絶句して思わず素の感想を零していたが、ファルナは直ぐに深く息を吐いてピシッと態度を改め、俺が示した人間を連れてくるように部下に指示した。
その間に残りの人間の解呪をさっさと始めようと軍人と役人たちがギルドの人間を列に並ばせ始め、ファルナは俺をどっかの会議室に連れ込んだ。
興味あるけど、白磁の機密に関わる事だったら俺は話を聞かなくても良いんだぜ?
下手に深みにはまると後が怖いんだが・・・。
「なんの用じゃ」
暫くして連れてこられた気難しげな爺さんが、不機嫌そうにファルナの前に座って尋ねた。
「使った対象の精神的な優先順位を歪める呪具が最近東大陸からこの国に流入していることが判明して、どの程度被害が出ているか各地で調べている所なんだけど、この街は今までに見たことが無いぐらい被害が酷いのよ。
陶磁器《ポッターズ》ギルドではあなたと赤毛の若い男性、あと受付の金髪女性以外は全員被害にあっているようなんだけど、何故あなたたちが被害にあっていなかったのか分かるか聞きたくてね」
確かにこれだけ執拗にギルドの人間を狙ったんだったら、狙われなかった人間は怪しいよな。
最初からグルになっていて呪具を使う必要が無かった可能性もある。
ただまあ、この爺さんぐらいの年の人間がグルになっていたら流石にとうに情報が漏れていた可能性が高いから、先にこちらに聞くことにしたのだろう。
・・・考えてみたら、最初からグルな人間がギルドに入って誓約魔術を掛けられたらどうなるんだ?
あれって誓約を掛けた時点で裏切っていないってことも誓うよな??
誓約魔術をすり抜けられる方法が見つかったんだとしたら大問題だ。
「赤毛?
ああ、あいつは極度の潔癖症で、土に触れるのは平気な癖に人間には2ハド以内に近づくと呼吸困難になるからじゃないか?
儂は・・・ギルドからも街からも、基本的に呼び出しも全部無視しているからじゃろ。
受付の人間に関しては知らんな。
帰って良いか?
丁度花瓶が良い感じに形になっているところだったんじゃ」
興味なさげに肩を竦めながら爺さんが答えた。
おいおい。
あんたの街のギルドの機密保持に関する話だろうが。
もうちょっと興味を示せよ。
呼び出し無視なのに今日はいるということは、無理やり引き摺って来られたのかね?
聞かれたことは答えた、とばかりにイライラと足を動かしながら不機嫌そうに爺さんが尋ねた。
「・・・そうね。
誰か解呪してそちらに話を聞く方が良さそうね。
話を聞くのに良さそうな人って誰かしら?」
ファルナがため息をつきながら爺さんに尋ねる。
「あぁ?
話をするだけだったらあの赤毛だって近づかなければ会話は出来るぞ。
後は・・・副ギルド長のジョルタンあたりが良いんじゃないか?いつも人のことに口出しをしてくる奴だ」
肩を竦めながら爺さんが投げやりに提案した。
う~ん。
まあ、会議や集会を全てさぼっていたっぽいこの爺さんに聞くよりは良いんだろうな。
その赤毛の潔癖症とやらにも話を聞いたらいつ頃からギルドの人間が変になって来たか、分かるかも知れないし。
どの程度の精神汚染を受けていたかにもよるが、解呪して直ぐってちょっと頭がぐらぐらして受け答えが微妙らしいし。副ギルド長とやらを解呪してお茶でも飲ませている間にちょっと赤毛の話でも聞いたら良いんじゃないかね?
金髪の姉ちゃんは・・・自白剤でも飲ませてみたら良さげだけど。
これだけ大々的に重要なギルドが狙われたら、そこまでやるかもな。
・・・俺がここにいる必要性、なくない??
まだ幾つかギルドを回る必要があるなら、さっさと次に行った方が良い気がするんだが。
陶磁器《ポッターズ》ギルドに連れてこられた俺は、思わずそこに集まった人間を視て声を上げた。
既に日中に捕獲された者を除いたすべてのギルド会員が集められたという話だが、ほぼ全員が精神汚染を受けている。
ここまで徹底的にやるなんて・・・仕掛けて来た相手の執念が感じられるぜ。
確かに白磁はバカ高く売れるが、ここまで手間をかける程のものなのか??
職人っぽいおっさんたちだけでなく、若い見習いとか荷物運びっぽい兄ちゃんまで、満遍なく被害にあっている。
「被害はどのくらい?」
ため息をつきながらファルナが尋ねる。
「あそこの気難しそうな白髪の爺さんと、あっちの赤毛のひょろい若いのと、受付の金髪女以外全員」
これだけカバーしたら、流石に情報が既に漏れているんじゃないか??
何人かは既に精神異常を起こしていそうな色になっているし、顔色も良くない。
精神異常を起こすのと、誓約魔術の負荷による心臓発作と、どちらが先かって感じだな。
「マジ?!
・・・はぁぁ、流石にそれだけの人数だと、誰が呪具持ちに引き合わせたのかの確認も難しいわね」
一瞬絶句して思わず素の感想を零していたが、ファルナは直ぐに深く息を吐いてピシッと態度を改め、俺が示した人間を連れてくるように部下に指示した。
その間に残りの人間の解呪をさっさと始めようと軍人と役人たちがギルドの人間を列に並ばせ始め、ファルナは俺をどっかの会議室に連れ込んだ。
興味あるけど、白磁の機密に関わる事だったら俺は話を聞かなくても良いんだぜ?
下手に深みにはまると後が怖いんだが・・・。
「なんの用じゃ」
暫くして連れてこられた気難しげな爺さんが、不機嫌そうにファルナの前に座って尋ねた。
「使った対象の精神的な優先順位を歪める呪具が最近東大陸からこの国に流入していることが判明して、どの程度被害が出ているか各地で調べている所なんだけど、この街は今までに見たことが無いぐらい被害が酷いのよ。
陶磁器《ポッターズ》ギルドではあなたと赤毛の若い男性、あと受付の金髪女性以外は全員被害にあっているようなんだけど、何故あなたたちが被害にあっていなかったのか分かるか聞きたくてね」
確かにこれだけ執拗にギルドの人間を狙ったんだったら、狙われなかった人間は怪しいよな。
最初からグルになっていて呪具を使う必要が無かった可能性もある。
ただまあ、この爺さんぐらいの年の人間がグルになっていたら流石にとうに情報が漏れていた可能性が高いから、先にこちらに聞くことにしたのだろう。
・・・考えてみたら、最初からグルな人間がギルドに入って誓約魔術を掛けられたらどうなるんだ?
あれって誓約を掛けた時点で裏切っていないってことも誓うよな??
誓約魔術をすり抜けられる方法が見つかったんだとしたら大問題だ。
「赤毛?
ああ、あいつは極度の潔癖症で、土に触れるのは平気な癖に人間には2ハド以内に近づくと呼吸困難になるからじゃないか?
儂は・・・ギルドからも街からも、基本的に呼び出しも全部無視しているからじゃろ。
受付の人間に関しては知らんな。
帰って良いか?
丁度花瓶が良い感じに形になっているところだったんじゃ」
興味なさげに肩を竦めながら爺さんが答えた。
おいおい。
あんたの街のギルドの機密保持に関する話だろうが。
もうちょっと興味を示せよ。
呼び出し無視なのに今日はいるということは、無理やり引き摺って来られたのかね?
聞かれたことは答えた、とばかりにイライラと足を動かしながら不機嫌そうに爺さんが尋ねた。
「・・・そうね。
誰か解呪してそちらに話を聞く方が良さそうね。
話を聞くのに良さそうな人って誰かしら?」
ファルナがため息をつきながら爺さんに尋ねる。
「あぁ?
話をするだけだったらあの赤毛だって近づかなければ会話は出来るぞ。
後は・・・副ギルド長のジョルタンあたりが良いんじゃないか?いつも人のことに口出しをしてくる奴だ」
肩を竦めながら爺さんが投げやりに提案した。
う~ん。
まあ、会議や集会を全てさぼっていたっぽいこの爺さんに聞くよりは良いんだろうな。
その赤毛の潔癖症とやらにも話を聞いたらいつ頃からギルドの人間が変になって来たか、分かるかも知れないし。
どの程度の精神汚染を受けていたかにもよるが、解呪して直ぐってちょっと頭がぐらぐらして受け答えが微妙らしいし。副ギルド長とやらを解呪してお茶でも飲ませている間にちょっと赤毛の話でも聞いたら良いんじゃないかね?
金髪の姉ちゃんは・・・自白剤でも飲ませてみたら良さげだけど。
これだけ大々的に重要なギルドが狙われたら、そこまでやるかもな。
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