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卒業後
299 星暦553年 萌葱の月 28日 温泉って良いよね(7)
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アスカの浴槽兼湯のくみ置き槽が出来上がったら、今度は源泉からの引き込みだ。
「アスカ、源泉まで穴を貫通させてくれる?
そんでもって清早、パイプを通すまでお湯が流れてこないようにこちらへの水流を止めておいてくれっかな?」
『うむ』
「まかせとけって」
ありがとね。
色々頼み事しちゃって悪いな~と思っていたのだが・・・昨晩ちらっと話した際に、普段全然頼ってこない俺から色々頼み事されるのは悪くないと言われた。
。
『頼られてばかりというのは不快だし、そういう人間ではないと思ったからこそお主と契約したのだが・・・ここまで喚ばれぬとは思ってなかったぞ』とアスカに言われたときはちょっと反対の意味で悪く感じちゃったよ。
それはともかく。
アスカがあっという間に源泉までの穴を掘ってくれたので、そこにパイプを通して固定化していく。
アスカも周りの土を固めてくれているのが視える。
自分の温泉の為と言うこともあって、頼まなくても全部やってくれそうな勢いだ。
アスカがここまで温泉が好きだなんて知らなかったなぁ。
そんなことを思いつつ、アスカの浴槽へお湯が流れ込む位置にパイプを設置し、ポンプと水栓の役目を果たす魔道具を取り付ける。
これで完了の・・・はず。
「じゃあ、お湯を出してくれ」
「了解!」
清早の答えが聞こえた瞬間、もの凄い勢いでお湯がパイプを伝わってくるのが視えた。
げ。
普通の水は視ようと思わない限り心眼にはそれ程はっきりとは視えない。
これ程はっきり視えると言うことは、それだけのエネルギーがあると言うことで、この場合のエネルギーとは熱量だろう。
・・・ヤバくない??!!
考えてみたら、水栓は絞ってなかった気がする!!
設置の確認のために入っていた浴槽から慌てて飛び出そうとしたが、その前に熱湯がパイプから飛び出してきて、俺は体がもの凄い勢いで後ろにたたきつけられるのを感じて・・・気を失った。
◆◆◆◆
「・・・どう?大丈夫?」
目を開いたら、シャルロがかがみ込んで俺を見ていた。
うん?
上半身を起こそうとして、首の付け根に走った痛みに動きを止める。
「あ、どこか痛いところある?
一応どこも骨は折れていないみたいだったけど」
シャルロが動きが止った俺を軽く支えて座るのを助けてくれた。
「首の付け根辺りがちょっと痛いな。
あと・・・たんこぶが出来ているな」
頭の後ろに触れてみたら、ちょっと膨れて熱っぽい。
だが、手にも顔にも火傷は負っているようなヒリヒリ感はない。
お湯はそれ程熱くなかったのかな?
「大丈夫か?
ごめんな、もっと気をつけておくべきだった。
お湯だろうと精霊の加護があるお前だったら水に傷つけられることはないから気にしてなかったんだけど、水に体を押されて壁にぶつかったら怪我をするんだった」
横で清早が項垂れていた。
なるほど。
溺れないだけでなく、熱湯で火傷することもないのか。
まあ、温泉のお湯がそこまで熱くないだけなのかも知れないが。
どちらにせよ、俺も同じようなことを考えていたので、清早のせいじゃあない。
「温泉の源流から他の貴族とかがお湯を引いたら、僕たちの温泉の水量が減るかもって心配する必要は無かったみたいだね。
ここまで水圧があるとはびっくりだね~」
暢気にシャルロが言った。
「不幸中の幸いというところか?
ほら、治療薬だ。
シャルロが回復《ヒール》をかけたから大体の傷は治ったと思うが、内部的な痣に近いような傷は治療薬で時間を掛けた方が後々後遺症が出にくいはずだ」
アレクが治療薬の瓶を差し出してきた。
こんな時にも治療薬を持ち歩いているなんて流石アレクだな。
それとも、学院の医療室から貰ってきたのか?
「ありがと。
俺はどの位倒れていたんだ?」
シャルロが肩を竦めた。
「それ程でもないよ。
清早が慌てて蒼流に声を掛けて、僕たちが降りてきて回復《ヒール》をかけたら案外と直ぐに目覚めたから。
僕が術を掛けている間にアレクが絞っておいた水栓からあのくらいお湯が溜まった程度?」
アスカの浴槽を示されてそちらに目をやったら、コポコポとパイプから流れ込むお湯が浴槽に半分ぐらい溜まっていた。
アスカが中に入っているので、実際の所は半分より少ないのかも知れないが。
・・・アスカ。
気を失った召喚主のことを気にせずに入浴してんの?
ちょっと冷たいぞ。
ジトッと見つめていたら、アスカがこちらを向いた。
『多少熱めだが、中々いい湯だぞ』
「アスカ、源泉まで穴を貫通させてくれる?
そんでもって清早、パイプを通すまでお湯が流れてこないようにこちらへの水流を止めておいてくれっかな?」
『うむ』
「まかせとけって」
ありがとね。
色々頼み事しちゃって悪いな~と思っていたのだが・・・昨晩ちらっと話した際に、普段全然頼ってこない俺から色々頼み事されるのは悪くないと言われた。
。
『頼られてばかりというのは不快だし、そういう人間ではないと思ったからこそお主と契約したのだが・・・ここまで喚ばれぬとは思ってなかったぞ』とアスカに言われたときはちょっと反対の意味で悪く感じちゃったよ。
それはともかく。
アスカがあっという間に源泉までの穴を掘ってくれたので、そこにパイプを通して固定化していく。
アスカも周りの土を固めてくれているのが視える。
自分の温泉の為と言うこともあって、頼まなくても全部やってくれそうな勢いだ。
アスカがここまで温泉が好きだなんて知らなかったなぁ。
そんなことを思いつつ、アスカの浴槽へお湯が流れ込む位置にパイプを設置し、ポンプと水栓の役目を果たす魔道具を取り付ける。
これで完了の・・・はず。
「じゃあ、お湯を出してくれ」
「了解!」
清早の答えが聞こえた瞬間、もの凄い勢いでお湯がパイプを伝わってくるのが視えた。
げ。
普通の水は視ようと思わない限り心眼にはそれ程はっきりとは視えない。
これ程はっきり視えると言うことは、それだけのエネルギーがあると言うことで、この場合のエネルギーとは熱量だろう。
・・・ヤバくない??!!
考えてみたら、水栓は絞ってなかった気がする!!
設置の確認のために入っていた浴槽から慌てて飛び出そうとしたが、その前に熱湯がパイプから飛び出してきて、俺は体がもの凄い勢いで後ろにたたきつけられるのを感じて・・・気を失った。
◆◆◆◆
「・・・どう?大丈夫?」
目を開いたら、シャルロがかがみ込んで俺を見ていた。
うん?
上半身を起こそうとして、首の付け根に走った痛みに動きを止める。
「あ、どこか痛いところある?
一応どこも骨は折れていないみたいだったけど」
シャルロが動きが止った俺を軽く支えて座るのを助けてくれた。
「首の付け根辺りがちょっと痛いな。
あと・・・たんこぶが出来ているな」
頭の後ろに触れてみたら、ちょっと膨れて熱っぽい。
だが、手にも顔にも火傷は負っているようなヒリヒリ感はない。
お湯はそれ程熱くなかったのかな?
「大丈夫か?
ごめんな、もっと気をつけておくべきだった。
お湯だろうと精霊の加護があるお前だったら水に傷つけられることはないから気にしてなかったんだけど、水に体を押されて壁にぶつかったら怪我をするんだった」
横で清早が項垂れていた。
なるほど。
溺れないだけでなく、熱湯で火傷することもないのか。
まあ、温泉のお湯がそこまで熱くないだけなのかも知れないが。
どちらにせよ、俺も同じようなことを考えていたので、清早のせいじゃあない。
「温泉の源流から他の貴族とかがお湯を引いたら、僕たちの温泉の水量が減るかもって心配する必要は無かったみたいだね。
ここまで水圧があるとはびっくりだね~」
暢気にシャルロが言った。
「不幸中の幸いというところか?
ほら、治療薬だ。
シャルロが回復《ヒール》をかけたから大体の傷は治ったと思うが、内部的な痣に近いような傷は治療薬で時間を掛けた方が後々後遺症が出にくいはずだ」
アレクが治療薬の瓶を差し出してきた。
こんな時にも治療薬を持ち歩いているなんて流石アレクだな。
それとも、学院の医療室から貰ってきたのか?
「ありがと。
俺はどの位倒れていたんだ?」
シャルロが肩を竦めた。
「それ程でもないよ。
清早が慌てて蒼流に声を掛けて、僕たちが降りてきて回復《ヒール》をかけたら案外と直ぐに目覚めたから。
僕が術を掛けている間にアレクが絞っておいた水栓からあのくらいお湯が溜まった程度?」
アスカの浴槽を示されてそちらに目をやったら、コポコポとパイプから流れ込むお湯が浴槽に半分ぐらい溜まっていた。
アスカが中に入っているので、実際の所は半分より少ないのかも知れないが。
・・・アスカ。
気を失った召喚主のことを気にせずに入浴してんの?
ちょっと冷たいぞ。
ジトッと見つめていたら、アスカがこちらを向いた。
『多少熱めだが、中々いい湯だぞ』
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