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卒業後
1060 星暦558年 紫の月 21日 音にも色々あり(23)
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「そう言えば、アドルはさておき。
あの盗み聞き防止用魔具なんだけど、部屋で使う時なんかに給仕を呼ぶ仕組みを何か作れないかしら?
基本的に個室を使うようなお客様は給仕が部屋の中に残るのを嫌がるから、今迄はベルを鳴らしたら給仕が来るようになっていたの。でも、あの魔具を使うとベルの音が聞こえ難いのよねぇ。
今は試作品を試しているからってことでお客様が席を立って部屋の扉まで来てベルを鳴らしてくれているのだけど、それじゃあちょっとダメでしょ?」
ゼナがメモを見直しながら言った。
確かに。
下の大部屋部分だったら給仕がしっかり客の様子に目を配っていれば客が何かを求めているって直ぐに分かるだろうし、客が手でも振ればそれで良いだろうが、個室じゃあ姿が見えないからなぁ。
ドアを開けておいて外に常に待機するって言うのじゃあ読唇が出来る人間が居たら盗聴されるのと同じ結果になるって客の方に嫌がられるだろうし、ドリアーナ側にとっても給仕に必要な人員の数が増えてしまって大変だろう。
「緊急用に結界範囲の外で大音量を出す魔具も作ってあるから、それを普通のベルの音に音量を下げれば良いんじゃない?
後でそのベルを貸して?それの音を記録し直して試作品を渡すから。
お客さまが間違って持って帰ったら困るだろうから、机の上に備え付けるタイプにするのが良いかも?
じゃなきゃ、ごくごく機能を削った通信機みたいのを作って厨房に直接音が鳴るようにも出来るけど」
シャルロが提案した。
厨房とかメイドの待機する部屋でベルが鳴るような仕組みって言うのは金持ちの屋敷だったら普通にあるが、あれって後から付け足そうと思うとそれなりに工事費が高くつくらしいんだよな。
じゃなきゃ見た目がかなり悪くなるか。
と言うか、ある意味ドリアーナの個室にそれが無いのが驚きだが・・・ベルを鳴らしたらすぐに給仕が来れるように、個室エリアに常に一人待機させてベルを鳴らす形にしたのかな?
厨房はちょっと戦場みたいになることも多いから、あそこで音が鳴っても気付かない可能性はそれなりにありそうだ。
「ベルを貸すわ。
厨房で直接鳴られても、給仕が部屋に行かなきゃいけないんだから却って時間が掛かるようになるもの」
ゼナが応じた。
「他に何か気付いたことは?」
アレクが尋ねる。
「う~ん・・・あれって風が吹いていたらどうなるの?
今はまだ窓を開けていないけど、夏になったら窓を開けて風を通すとか、送風機で風を起こして少しでも過ごしやすい様にするんだけど・・・あれって風を遮っちゃうとか、風が吹くと音が漏れやすくなるとか、そう言う心配はしなくて良いの?」
ゼナが尋ねた。
おっと。
風に関しては考えてなかったな。
完全な防音ではないので空気は普通に通るが、風が吹いていると方向によっては音漏れが多くなるかも?
まだまだ寒いから、考えもしなかったし試していなかったぜ。
ある意味、防音用の大音量を抑えようって用途だったらどうせ最初から窓は開けずに我慢しているだろうが、盗み聞き防止は・・・いや、そっちだって本当の機密情報を話し合う場合は窓を開けたりしないだろう。
だが、ちょっと食事処での会話でついでに使う程度だった場合は窓を開ける可能性も十分にあるな。
ドリアーナの個室は2階だから、窓を開けても外を通る人間に話の内容を聞かれる心配は無い筈だし。
思わず3人で顔を見合わせたが、3人とも窓を開けて風を通したらどうなるか考えて居なかった様だ。
「ちょっと工房で色々と確認してみるよ。
ある程度の風の流れは通すと思うけど、確かに音が漏れやすくなるかも。
音が漏れないように結界を強くしたら風が通らなくなるかもだから、何通りか実験して解決策を提案するね」
シャルロが言った。
何だったら今年の夏から売り出す予定の冷風機を紹介するのもありかな?
あれを試作品としてでも提供したらドリアーナの個室を使うような金持ちだったら絶対に買いたがるだろうから売り上げ促進効果があるかもだし。
取り敢えずこれは後で工房で話し合おう。
冷風機だって空気が動くから、音が漏れやすくなるかもだし。
冷風機のせいで音漏れが酷くなったら販売促進どころか却って冷風機自体も売れなくなるかもだし、冷風機を使いそうな状況での使用を何通りかしっかり試さなきゃだな。
あの盗み聞き防止用魔具なんだけど、部屋で使う時なんかに給仕を呼ぶ仕組みを何か作れないかしら?
基本的に個室を使うようなお客様は給仕が部屋の中に残るのを嫌がるから、今迄はベルを鳴らしたら給仕が来るようになっていたの。でも、あの魔具を使うとベルの音が聞こえ難いのよねぇ。
今は試作品を試しているからってことでお客様が席を立って部屋の扉まで来てベルを鳴らしてくれているのだけど、それじゃあちょっとダメでしょ?」
ゼナがメモを見直しながら言った。
確かに。
下の大部屋部分だったら給仕がしっかり客の様子に目を配っていれば客が何かを求めているって直ぐに分かるだろうし、客が手でも振ればそれで良いだろうが、個室じゃあ姿が見えないからなぁ。
ドアを開けておいて外に常に待機するって言うのじゃあ読唇が出来る人間が居たら盗聴されるのと同じ結果になるって客の方に嫌がられるだろうし、ドリアーナ側にとっても給仕に必要な人員の数が増えてしまって大変だろう。
「緊急用に結界範囲の外で大音量を出す魔具も作ってあるから、それを普通のベルの音に音量を下げれば良いんじゃない?
後でそのベルを貸して?それの音を記録し直して試作品を渡すから。
お客さまが間違って持って帰ったら困るだろうから、机の上に備え付けるタイプにするのが良いかも?
じゃなきゃ、ごくごく機能を削った通信機みたいのを作って厨房に直接音が鳴るようにも出来るけど」
シャルロが提案した。
厨房とかメイドの待機する部屋でベルが鳴るような仕組みって言うのは金持ちの屋敷だったら普通にあるが、あれって後から付け足そうと思うとそれなりに工事費が高くつくらしいんだよな。
じゃなきゃ見た目がかなり悪くなるか。
と言うか、ある意味ドリアーナの個室にそれが無いのが驚きだが・・・ベルを鳴らしたらすぐに給仕が来れるように、個室エリアに常に一人待機させてベルを鳴らす形にしたのかな?
厨房はちょっと戦場みたいになることも多いから、あそこで音が鳴っても気付かない可能性はそれなりにありそうだ。
「ベルを貸すわ。
厨房で直接鳴られても、給仕が部屋に行かなきゃいけないんだから却って時間が掛かるようになるもの」
ゼナが応じた。
「他に何か気付いたことは?」
アレクが尋ねる。
「う~ん・・・あれって風が吹いていたらどうなるの?
今はまだ窓を開けていないけど、夏になったら窓を開けて風を通すとか、送風機で風を起こして少しでも過ごしやすい様にするんだけど・・・あれって風を遮っちゃうとか、風が吹くと音が漏れやすくなるとか、そう言う心配はしなくて良いの?」
ゼナが尋ねた。
おっと。
風に関しては考えてなかったな。
完全な防音ではないので空気は普通に通るが、風が吹いていると方向によっては音漏れが多くなるかも?
まだまだ寒いから、考えもしなかったし試していなかったぜ。
ある意味、防音用の大音量を抑えようって用途だったらどうせ最初から窓は開けずに我慢しているだろうが、盗み聞き防止は・・・いや、そっちだって本当の機密情報を話し合う場合は窓を開けたりしないだろう。
だが、ちょっと食事処での会話でついでに使う程度だった場合は窓を開ける可能性も十分にあるな。
ドリアーナの個室は2階だから、窓を開けても外を通る人間に話の内容を聞かれる心配は無い筈だし。
思わず3人で顔を見合わせたが、3人とも窓を開けて風を通したらどうなるか考えて居なかった様だ。
「ちょっと工房で色々と確認してみるよ。
ある程度の風の流れは通すと思うけど、確かに音が漏れやすくなるかも。
音が漏れないように結界を強くしたら風が通らなくなるかもだから、何通りか実験して解決策を提案するね」
シャルロが言った。
何だったら今年の夏から売り出す予定の冷風機を紹介するのもありかな?
あれを試作品としてでも提供したらドリアーナの個室を使うような金持ちだったら絶対に買いたがるだろうから売り上げ促進効果があるかもだし。
取り敢えずこれは後で工房で話し合おう。
冷風機だって空気が動くから、音が漏れやすくなるかもだし。
冷風機のせいで音漏れが酷くなったら販売促進どころか却って冷風機自体も売れなくなるかもだし、冷風機を使いそうな状況での使用を何通りかしっかり試さなきゃだな。
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