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卒業後
1113 星暦558年 青の月 9日 創水の魔術回路(17)
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「で?
疫病の看護現場などでも使えるのではという話だが、実際の所でこれはどの程度の効果があるんじゃな?」
水筒の契約を終えて、のんびりとお茶をのんでいたらウォレン爺が現れた。
何種類か試作品を試し、菌の増殖の抑える効果と魔力消費量との兼ね合いで一番良いという結論になったのを付けた最終版の創水機能付き水筒を先日アレクがシェフィート商会に持って行って契約を結んできた。
実はやっていることは『創水』ではなく『抽水』なんだけど、空気から取り出しているって説明するのも面倒だし、ある意味ちょっと誤解を招く名前にしておく方が類似品が真似しにくいかもと言うことで最初の話の段階で付けていた創水機能付き水筒と言う名称でそのまま売ることにしたのだ。
アレクとホルザック氏曰く、これはそれなりに売れそうだし、軍部が購入すると言ったら絶対に他の商会も類似品を作ろうと工房の尻を叩くだろうから、真似できない様に出来る限りのことをしようという話になったのだ。
魔術回路は特許申請をして、これに関しては暫くはシェフィート商会経由以外の他の工房による使用を許可していない。なので類似品を作りたかったら特許に引っ掛からない魔術回路を自分で開発しなければならない。
中々意地が悪いと思ったが、取り敢えず軍部や行商人への売り込みが終わると思われる2年程度は使用を許さない秘匿特許にしておくよう追加で金を積まれて契約した。
別に、魔術回路その物は分解すれば分かるから、勝手に借用して個人的な使用の為に水筒を作る分には止める方法はないのだが、流石に大手の隊商とか軍部相手に違法な魔具を売りつける馬鹿はあまりいないし、それとなくシェフィート商会が現時点で独占しているから類似品の販売の誘いがあった場合に知らせてくれたらお礼を出すと言ってあるので特許違反な違法な品は早い段階で邪魔できるだろう。
ちなみに、シェフィート商会で50人程度の集団で同時使用を試したらやはりかなり魔力使用の効率が落ちたとのことだった。
なので軍部や隊商に売り込むにしても、移動中に個々人が水を飲む分には良いが、皆で野営地に着いた瞬間に一斉に使うのには向かないと注意喚起した上で売るらしい。
ついでに疫病の看護現場で使うという方法も有りなのではと提案したら・・・どこをどう話が流れたのか、ウォレン爺が現れたのだ。
「どの程度の効果って?
少なくとも水源を共有しているせいで移るタイプの病気は大丈夫だと思うよ?
それ以外の咳で移ったり、怪我をしている手で相手の傷に触れちゃって移るような病気は駄目だけど」
シャルロがちょっと首を傾げながら応じる。
「病気の感染を防ぐ効果があるということは、何らかの解毒効果があるのか?」
ウォレン爺がちょっと呆れた風に聞き返した。
俺たちがどれだけ暗殺《アサッシン》ギルドを敵に回す気なんだよって思ったのかな?
「解毒効果は無いですよ。
単に、病気の元になる存在を水筒の中で『それなりに』消せる程度だから、魔術回路を飲む度にちょくちょく動かして水を発生させて使っていれば腹を下したりはしないと言う程度ですね。
朝に水筒を満杯にするだけ水を集め、口を付けた後に全く魔術回路に魔力を通さずにちびちびと飲んでいたらそのうち腹を壊す可能性はありますが」
アレクが解説する。
「解毒効果は全くないのか?」
ちょっと残念そうにウォレン爺が尋ねた。
「毎回水を創る際に少量を先に出して水筒を振って中を濯いで水を捨ててから新しく創水させれば、中に毒になる粉を振りかけていてもほぼ無効化されるでしょうね。
使い方次第では飲み水に毒を盛られる可能性はぐっと減りますよ」
アレクが応じる。
水だから出来る使い方だけどな。
これがお茶だったら茶葉にヤバい物が混ぜられていたらどうしようもないからなぁ。
流石に茶葉を先に濯いで使ったのでは味が無くなってしまう。
毒殺を心配しなければならない身でお茶を飲みたいなら、毒探知用魔道を身に着けてそれで随時確認していくしかない。
「ふむ。
まあ、部屋に安全な水を常に確保できるというのは悪くは無いか。
少数の特別品で良いから解毒の効果を付けることは出来んか?」
ウォレン爺がちょっと残念そうに固執する。
「濯いで使えば毒を入れられていても無効化できるんだから、それでいいじゃない。
それを飲むことで食べた毒とかを無効化できるような効果だったらそれこそ万能解毒薬を作るような、伝説の魔具だよ。
無茶言わないでね」
シャルロが呆れたように口を挟む。
だよなぁ。
夢を見すぎ。
取り敢えず。
俺たち的にはこれで開発は終わりだ。
次は何にするかなぁ。
疫病の看護現場などでも使えるのではという話だが、実際の所でこれはどの程度の効果があるんじゃな?」
水筒の契約を終えて、のんびりとお茶をのんでいたらウォレン爺が現れた。
何種類か試作品を試し、菌の増殖の抑える効果と魔力消費量との兼ね合いで一番良いという結論になったのを付けた最終版の創水機能付き水筒を先日アレクがシェフィート商会に持って行って契約を結んできた。
実はやっていることは『創水』ではなく『抽水』なんだけど、空気から取り出しているって説明するのも面倒だし、ある意味ちょっと誤解を招く名前にしておく方が類似品が真似しにくいかもと言うことで最初の話の段階で付けていた創水機能付き水筒と言う名称でそのまま売ることにしたのだ。
アレクとホルザック氏曰く、これはそれなりに売れそうだし、軍部が購入すると言ったら絶対に他の商会も類似品を作ろうと工房の尻を叩くだろうから、真似できない様に出来る限りのことをしようという話になったのだ。
魔術回路は特許申請をして、これに関しては暫くはシェフィート商会経由以外の他の工房による使用を許可していない。なので類似品を作りたかったら特許に引っ掛からない魔術回路を自分で開発しなければならない。
中々意地が悪いと思ったが、取り敢えず軍部や行商人への売り込みが終わると思われる2年程度は使用を許さない秘匿特許にしておくよう追加で金を積まれて契約した。
別に、魔術回路その物は分解すれば分かるから、勝手に借用して個人的な使用の為に水筒を作る分には止める方法はないのだが、流石に大手の隊商とか軍部相手に違法な魔具を売りつける馬鹿はあまりいないし、それとなくシェフィート商会が現時点で独占しているから類似品の販売の誘いがあった場合に知らせてくれたらお礼を出すと言ってあるので特許違反な違法な品は早い段階で邪魔できるだろう。
ちなみに、シェフィート商会で50人程度の集団で同時使用を試したらやはりかなり魔力使用の効率が落ちたとのことだった。
なので軍部や隊商に売り込むにしても、移動中に個々人が水を飲む分には良いが、皆で野営地に着いた瞬間に一斉に使うのには向かないと注意喚起した上で売るらしい。
ついでに疫病の看護現場で使うという方法も有りなのではと提案したら・・・どこをどう話が流れたのか、ウォレン爺が現れたのだ。
「どの程度の効果って?
少なくとも水源を共有しているせいで移るタイプの病気は大丈夫だと思うよ?
それ以外の咳で移ったり、怪我をしている手で相手の傷に触れちゃって移るような病気は駄目だけど」
シャルロがちょっと首を傾げながら応じる。
「病気の感染を防ぐ効果があるということは、何らかの解毒効果があるのか?」
ウォレン爺がちょっと呆れた風に聞き返した。
俺たちがどれだけ暗殺《アサッシン》ギルドを敵に回す気なんだよって思ったのかな?
「解毒効果は無いですよ。
単に、病気の元になる存在を水筒の中で『それなりに』消せる程度だから、魔術回路を飲む度にちょくちょく動かして水を発生させて使っていれば腹を下したりはしないと言う程度ですね。
朝に水筒を満杯にするだけ水を集め、口を付けた後に全く魔術回路に魔力を通さずにちびちびと飲んでいたらそのうち腹を壊す可能性はありますが」
アレクが解説する。
「解毒効果は全くないのか?」
ちょっと残念そうにウォレン爺が尋ねた。
「毎回水を創る際に少量を先に出して水筒を振って中を濯いで水を捨ててから新しく創水させれば、中に毒になる粉を振りかけていてもほぼ無効化されるでしょうね。
使い方次第では飲み水に毒を盛られる可能性はぐっと減りますよ」
アレクが応じる。
水だから出来る使い方だけどな。
これがお茶だったら茶葉にヤバい物が混ぜられていたらどうしようもないからなぁ。
流石に茶葉を先に濯いで使ったのでは味が無くなってしまう。
毒殺を心配しなければならない身でお茶を飲みたいなら、毒探知用魔道を身に着けてそれで随時確認していくしかない。
「ふむ。
まあ、部屋に安全な水を常に確保できるというのは悪くは無いか。
少数の特別品で良いから解毒の効果を付けることは出来んか?」
ウォレン爺がちょっと残念そうに固執する。
「濯いで使えば毒を入れられていても無効化できるんだから、それでいいじゃない。
それを飲むことで食べた毒とかを無効化できるような効果だったらそれこそ万能解毒薬を作るような、伝説の魔具だよ。
無茶言わないでね」
シャルロが呆れたように口を挟む。
だよなぁ。
夢を見すぎ。
取り敢えず。
俺たち的にはこれで開発は終わりだ。
次は何にするかなぁ。
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