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卒業後
1198 星暦558年 萌黄の月 22日 事務作業(4)
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台所にあったキッチンワゴンをちょっと借りてアレクが乗ってみたところ、問題なく動かせた。
「ギシギシも言わないなんて凄いね。
怪我をしている時に体をそこに折り曲げて突っ込むのはちょっと大変かもだけど」
シャルロが窮屈そうに膝を立ててワゴンの下段に座り込んでいるアレクを見ながら言った。
「まあ、下手に動かしたらヤバい位な怪我だったらウチの2階に運び込むんじゃなくって王都の神殿に直行だろうから、別にこれでいいんじゃないか?
でも、成人男性を乗せても大丈夫だとはびっくりだな」
ストッパーで止めてあるキッチンワゴンを少し力を込めて揺すってみるが、動きだす様子もない。
「キッチンワゴンは場合によっては炊き出し用の大きな鍋一杯のスープやお粥を上下に2つずつ乗せて動かすこともありますからね。
ちゃんとした職人が作った物だったらよっぽど太った方じゃない限り男性の一人ぐらいは乗せて運べるようになっていますよ」
パディン夫人が教えてくれた。
うわぁ。
確かに大きさ的に言ったら炊き出しなんかで使われる大型鍋が二つずつ上と下の部分に乗るが、あれを4つ乗せて運ぶなんて……調理するのも大変だが、動かすのも大変そうだ。
確かにあれを乗せて動かす事を想定しているなら、ストッパーもしっかりしている訳だ。
下町とか被災地で炊き出しする際にキッチンワゴンが壊れたりしっかり止まらなかったせいでなけなしの食事が全部地面にぶちまけられたなんてことになったら、造った職人が袋叩きに遭うだろうからなぁ。
「じゃあ、昇降機はキッチンワゴンが丁度入るぐらいの大きさで良いかな?
それともパディン夫人も昇降機に一緒に乗り込める大きさにした方が良い?」
シャルロが尋ねる。
そっか、確かに昇降機にキッチンワゴンを乗せて、上に動かす様に起動させた後に自分が階段を上るよりも、一緒に昇降機で上がる方が良いかも?
その分昇降機が持ち上げなきゃならない重量は増えるが。
……パディン夫人ってアレクより軽いかな?
女性に体重を聞くのは不味いから、俺たちの中では辛うじて一番背が高いアレクの体重を基準値にしても良いだろうか。
でも、もしも人数の多いパーティなんかした際に近所のおばさんとかを手伝いに頼んだ際に、その人が乗ったら動かなかったとか、その人のお腹がつっかえて乗れなかったなんてことになったら気まずいかもなんだよなぁ。
下町や職人街のオバチャン達もだが、ここ等辺にもそれなりにふくよかになってきているおばさま方がいるからなぁ。
流石に貴族の使用人だとそこまで太っているのは女性ではまずいないが。
家令なんかだとそれなりに給料が良くて(もしくは横領していて)太れるだけ贅沢をしている奴もいるんだけどね。
「いえ、昇降機に乗るのは遠慮したいですね。
以前勤めさせていただいたお屋敷で、当主のお子様が悪戯で昇降機に乗って下男に上げさせさせていたら、何度もやっているうちに壊れてしまって半日以上も階の間に閉じ込められたことがあるんですよ。
小さな子供だったからまだしも、自分があの立場になるのは絶対に嫌なので」
パディン夫人がブンブンと首を横に振った。
半日以上かぁ。
小さな子ならまだしもってことは、お漏らししたのかな?
部屋で食べたがる貴族の婦人や当主の食事を運ぶための昇降機に、尿の匂いが染み付いたら困っただろうなぁ。
猫の尿の臭いなんかはとてつもなく強いししつこいが、人間の尿って拭いたらあっさり綺麗になるのかね?
下町なんかで臭い野郎たちは尿だけじゃなくて垢や酒やカビの臭いも混ざっているから尿だけの臭いじゃ無いと思うんだが、清潔な子供がやったお漏らしの臭いってどうなんだろ?
まあ、それはさておき。
「下手に人間も入れるようにした場合、体形の問題で入れなかったり持ち上がらなかったりしたら面倒だし、それこそ壊れて途中で止まった時も困るから、キッチンワゴンのサイズに限定しよう。
ちなみにキッチンワゴンってこれが標準?それとももっと大きいのもあるのかな?」
パディン夫人に尋ねる。
「家庭用のキッチンワゴンは基本的にこの程度のサイズですね。
お茶の時に使う様なのはもう少し小さいのもありますが、これより大きいのは何か特殊な用途の為に作った物になると思います」
パディン夫人が答える。
うっし。
じゃあ、このサイズの昇降機で、重さは……アレク一人プラス鍋1個分の水ぐらいを動かせればいいかな?
「ギシギシも言わないなんて凄いね。
怪我をしている時に体をそこに折り曲げて突っ込むのはちょっと大変かもだけど」
シャルロが窮屈そうに膝を立ててワゴンの下段に座り込んでいるアレクを見ながら言った。
「まあ、下手に動かしたらヤバい位な怪我だったらウチの2階に運び込むんじゃなくって王都の神殿に直行だろうから、別にこれでいいんじゃないか?
でも、成人男性を乗せても大丈夫だとはびっくりだな」
ストッパーで止めてあるキッチンワゴンを少し力を込めて揺すってみるが、動きだす様子もない。
「キッチンワゴンは場合によっては炊き出し用の大きな鍋一杯のスープやお粥を上下に2つずつ乗せて動かすこともありますからね。
ちゃんとした職人が作った物だったらよっぽど太った方じゃない限り男性の一人ぐらいは乗せて運べるようになっていますよ」
パディン夫人が教えてくれた。
うわぁ。
確かに大きさ的に言ったら炊き出しなんかで使われる大型鍋が二つずつ上と下の部分に乗るが、あれを4つ乗せて運ぶなんて……調理するのも大変だが、動かすのも大変そうだ。
確かにあれを乗せて動かす事を想定しているなら、ストッパーもしっかりしている訳だ。
下町とか被災地で炊き出しする際にキッチンワゴンが壊れたりしっかり止まらなかったせいでなけなしの食事が全部地面にぶちまけられたなんてことになったら、造った職人が袋叩きに遭うだろうからなぁ。
「じゃあ、昇降機はキッチンワゴンが丁度入るぐらいの大きさで良いかな?
それともパディン夫人も昇降機に一緒に乗り込める大きさにした方が良い?」
シャルロが尋ねる。
そっか、確かに昇降機にキッチンワゴンを乗せて、上に動かす様に起動させた後に自分が階段を上るよりも、一緒に昇降機で上がる方が良いかも?
その分昇降機が持ち上げなきゃならない重量は増えるが。
……パディン夫人ってアレクより軽いかな?
女性に体重を聞くのは不味いから、俺たちの中では辛うじて一番背が高いアレクの体重を基準値にしても良いだろうか。
でも、もしも人数の多いパーティなんかした際に近所のおばさんとかを手伝いに頼んだ際に、その人が乗ったら動かなかったとか、その人のお腹がつっかえて乗れなかったなんてことになったら気まずいかもなんだよなぁ。
下町や職人街のオバチャン達もだが、ここ等辺にもそれなりにふくよかになってきているおばさま方がいるからなぁ。
流石に貴族の使用人だとそこまで太っているのは女性ではまずいないが。
家令なんかだとそれなりに給料が良くて(もしくは横領していて)太れるだけ贅沢をしている奴もいるんだけどね。
「いえ、昇降機に乗るのは遠慮したいですね。
以前勤めさせていただいたお屋敷で、当主のお子様が悪戯で昇降機に乗って下男に上げさせさせていたら、何度もやっているうちに壊れてしまって半日以上も階の間に閉じ込められたことがあるんですよ。
小さな子供だったからまだしも、自分があの立場になるのは絶対に嫌なので」
パディン夫人がブンブンと首を横に振った。
半日以上かぁ。
小さな子ならまだしもってことは、お漏らししたのかな?
部屋で食べたがる貴族の婦人や当主の食事を運ぶための昇降機に、尿の匂いが染み付いたら困っただろうなぁ。
猫の尿の臭いなんかはとてつもなく強いししつこいが、人間の尿って拭いたらあっさり綺麗になるのかね?
下町なんかで臭い野郎たちは尿だけじゃなくて垢や酒やカビの臭いも混ざっているから尿だけの臭いじゃ無いと思うんだが、清潔な子供がやったお漏らしの臭いってどうなんだろ?
まあ、それはさておき。
「下手に人間も入れるようにした場合、体形の問題で入れなかったり持ち上がらなかったりしたら面倒だし、それこそ壊れて途中で止まった時も困るから、キッチンワゴンのサイズに限定しよう。
ちなみにキッチンワゴンってこれが標準?それとももっと大きいのもあるのかな?」
パディン夫人に尋ねる。
「家庭用のキッチンワゴンは基本的にこの程度のサイズですね。
お茶の時に使う様なのはもう少し小さいのもありますが、これより大きいのは何か特殊な用途の為に作った物になると思います」
パディン夫人が答える。
うっし。
じゃあ、このサイズの昇降機で、重さは……アレク一人プラス鍋1個分の水ぐらいを動かせればいいかな?
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