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卒業後
1202 星暦558年 萌黄の月 30日 事務作業(8)
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「へぇぇ、事務職員を働かせる場所を作るためにリビングを動かすから昇降機の開発?
ウィル達って毎度のことながら思いがけない連想ゲームみたいに変な方向に話が動くわねぇ」
ヴァルージャに遊びに来てシェイラと森の中を散策しながら今やっている開発の事を話したら、ちょっとシェイラに呆れられた。
まあ、確かに事務職員を雇うという話から昇降機って言うのはウチの家の構造とか部屋の使用状況とかを知らなきゃ不思議な関連性だと思うかもだよな。
「1階は工房にがっつり場所を取られているから、あまり場所が余っていないんだよ。
シャルロが居なくなったから俺とアレクだけだったらダイニングルームでしっかり座って食べるよりもキッチンのテーブルを使って食べちゃうことの方が多いし」
少なくとも朝はキッチンだし、昼もシャルロがパディン夫人と話したがるからキッチンのテーブルで食べることが多い。
ケレナが遊びに来て食事も取る時は流石にダイニングルームを使うが。
「まあ、確かにあの家って1階以外はあまり活用していないわよねぇ。
これが王都内だったらそれこそ知り合いの若いのでも3階に下宿させたら?って言いたくなる位だけど、ノルデ村じゃああまり下宿先を探している人はいなそうね」
シェイラが立ち止まって木の幹にある傷をじっと調べながら応じる。
この迷いの森の場合、大樹の傷って場合によっては魔術回路モドキな文様なことがあって未だに新しい文様らしきものが見つかっているらしいんだよな。
お蔭で森の中の散策もある程度意味がある行動になるから良いんだが。
「まあ、現実的な話としては俺たちの所だけだったら昇降機を付けるよりも穴だけぶち抜いて浮遊《レヴィア》の術でキッチンワゴンと人間を浮かせるほうが楽なんだけどね。
それなりに次に何を開発するか考える必要もあったし、丁度いいかなって」
やっぱ不便を感じたことからそれを対処する魔具を造るのが一番良いだろう。
何も思いつかなかったらそれこそどっかに遊びに行ってもいいし。
蒼流に未発見な遺跡の場所を教えて貰って発掘に行ってもいいし、以前見つけたオーパスタ神殿の遺跡発掘の手伝いを暫くしても喜ばれるだろう。
俺だけシェイラの方のフォラスタ文明の発掘を手伝ってもいいし。
「いや、浮遊《レヴィア》の術でキッチンワゴンを浮かせるのは良いけど、パディン夫人は魔術で浮かべられるよりは自力で階段を上ると言うと思うわよ??
あれって遊びならまだしも、料理を運んでいる時に体験したいタイプの感覚じゃないから」
シェイラが俺の言葉を否定した。
あれ?
浮遊《レヴィア》の術って嫌がられる様なものなのか?
空滑機《グライダー》を嫌がる高所が嫌いな人間は時折いるが、浮遊《レヴィア》程度なら構わないと思うんだが。
落ちてもちょっと足首を捻るかもって程度だぞ?
まあ、下から誰かが覗いていたらスカートの下が見えちゃうから女性的には嫌なのかも知れないが。
流石にパディン夫人が俺たちがスカートの下を見ようとするなんて思っていないと思いたいが。
「シャルロの実家の使用人曰く、昇降機って子供が悪戯に使ったりするから安全管理がかなり大変らしいけどな。
今迄の魔具と違って大掛かりな仕組みの一部なんで今度何か所か工房に声を掛けて共同開発にしようかって話している所なんだ」
一応話を持ち掛ける前にどんなことが出来るかを見せようと、今は取り敢えず安全装置がない昇降機の仕組みの試作品を作ろうと頑張っている。
「と言うか、使用人が頑張って筋肉で動かす昇降機は既にあるんだから、それの筋肉を引っ張る部分だけ魔具でやることにしたら既存の昇降機も簡単に魔具化出来て良くない?
安全装置も既に組み込まれているんだろうし」
シェイラが調べていた幹の傷は単なる傷だったらしく、諦めてそのまま先へ進みながらシェイラが言った。
「……確かに?
ただまあ、単純労働的な筋肉使用の方が魔具と魔石よりも安い可能性が高いから、態々魔具にするなら何か今迄と違う利点が無いと売れないかも」
完全に新しい魔具の昇降機だったら新しい物好きな貴族や豪商がある程度の数は買いそうだが、単に既存の昇降機を多少変えた程度だと、目新しさが足りない気もしないでもない。
そこら辺がどうなのか、アレクやシャルロに実家の方で家令や支店長あたりの人間に聞いてみて貰うか。
ウィル達って毎度のことながら思いがけない連想ゲームみたいに変な方向に話が動くわねぇ」
ヴァルージャに遊びに来てシェイラと森の中を散策しながら今やっている開発の事を話したら、ちょっとシェイラに呆れられた。
まあ、確かに事務職員を雇うという話から昇降機って言うのはウチの家の構造とか部屋の使用状況とかを知らなきゃ不思議な関連性だと思うかもだよな。
「1階は工房にがっつり場所を取られているから、あまり場所が余っていないんだよ。
シャルロが居なくなったから俺とアレクだけだったらダイニングルームでしっかり座って食べるよりもキッチンのテーブルを使って食べちゃうことの方が多いし」
少なくとも朝はキッチンだし、昼もシャルロがパディン夫人と話したがるからキッチンのテーブルで食べることが多い。
ケレナが遊びに来て食事も取る時は流石にダイニングルームを使うが。
「まあ、確かにあの家って1階以外はあまり活用していないわよねぇ。
これが王都内だったらそれこそ知り合いの若いのでも3階に下宿させたら?って言いたくなる位だけど、ノルデ村じゃああまり下宿先を探している人はいなそうね」
シェイラが立ち止まって木の幹にある傷をじっと調べながら応じる。
この迷いの森の場合、大樹の傷って場合によっては魔術回路モドキな文様なことがあって未だに新しい文様らしきものが見つかっているらしいんだよな。
お蔭で森の中の散策もある程度意味がある行動になるから良いんだが。
「まあ、現実的な話としては俺たちの所だけだったら昇降機を付けるよりも穴だけぶち抜いて浮遊《レヴィア》の術でキッチンワゴンと人間を浮かせるほうが楽なんだけどね。
それなりに次に何を開発するか考える必要もあったし、丁度いいかなって」
やっぱ不便を感じたことからそれを対処する魔具を造るのが一番良いだろう。
何も思いつかなかったらそれこそどっかに遊びに行ってもいいし。
蒼流に未発見な遺跡の場所を教えて貰って発掘に行ってもいいし、以前見つけたオーパスタ神殿の遺跡発掘の手伝いを暫くしても喜ばれるだろう。
俺だけシェイラの方のフォラスタ文明の発掘を手伝ってもいいし。
「いや、浮遊《レヴィア》の術でキッチンワゴンを浮かせるのは良いけど、パディン夫人は魔術で浮かべられるよりは自力で階段を上ると言うと思うわよ??
あれって遊びならまだしも、料理を運んでいる時に体験したいタイプの感覚じゃないから」
シェイラが俺の言葉を否定した。
あれ?
浮遊《レヴィア》の術って嫌がられる様なものなのか?
空滑機《グライダー》を嫌がる高所が嫌いな人間は時折いるが、浮遊《レヴィア》程度なら構わないと思うんだが。
落ちてもちょっと足首を捻るかもって程度だぞ?
まあ、下から誰かが覗いていたらスカートの下が見えちゃうから女性的には嫌なのかも知れないが。
流石にパディン夫人が俺たちがスカートの下を見ようとするなんて思っていないと思いたいが。
「シャルロの実家の使用人曰く、昇降機って子供が悪戯に使ったりするから安全管理がかなり大変らしいけどな。
今迄の魔具と違って大掛かりな仕組みの一部なんで今度何か所か工房に声を掛けて共同開発にしようかって話している所なんだ」
一応話を持ち掛ける前にどんなことが出来るかを見せようと、今は取り敢えず安全装置がない昇降機の仕組みの試作品を作ろうと頑張っている。
「と言うか、使用人が頑張って筋肉で動かす昇降機は既にあるんだから、それの筋肉を引っ張る部分だけ魔具でやることにしたら既存の昇降機も簡単に魔具化出来て良くない?
安全装置も既に組み込まれているんだろうし」
シェイラが調べていた幹の傷は単なる傷だったらしく、諦めてそのまま先へ進みながらシェイラが言った。
「……確かに?
ただまあ、単純労働的な筋肉使用の方が魔具と魔石よりも安い可能性が高いから、態々魔具にするなら何か今迄と違う利点が無いと売れないかも」
完全に新しい魔具の昇降機だったら新しい物好きな貴族や豪商がある程度の数は買いそうだが、単に既存の昇降機を多少変えた程度だと、目新しさが足りない気もしないでもない。
そこら辺がどうなのか、アレクやシャルロに実家の方で家令や支店長あたりの人間に聞いてみて貰うか。
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