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卒業後
1204 星暦558年 緑の月 2日 事務作業(10)
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結局、落下した時の安全装置的な仕組みは色々と議論した結果、やめることにした。
料理だったら落ちて零れても勿体ないけどまあしょうがないってことでまた別のを作り直せば良い。人間は乗らないという想定なのだから、下手に安全装置なんか付けて子供の遊び用に使われることになってはそのうち大人も運べる人間用の昇降機を作ろうという話になりそうで、面倒だと言う結論になったのだ。
「考えてみたら、人間を乗せないで下さいって注意書きして作るのに、もしも落ちた時に人間が中に居て怪我をしない様にするって意味がないよね~」
と言うシャルロの言葉にあるように、意味のない安全装置なんぞ付けても却って開発した魔具を俺たちが使って欲しくない方向に使ったり、改造する方向に話が進む原因になりかねない。
「追加機能的には人間が忍び込んだら分かるようにするってことで、箱に防犯結界でも設置すれば良いかな?」
アレクが『安全装置』と黒板に書いた文字を大きくバッテンで上書きした後に言った。
「いや、昇降機の穴で遊ぶのが居たりしても困るって話だから、昇降機の柱の中の空間全体に防犯結界を設定する方が良いんじゃないか?」
それこそ忍び込む先として、昇降機の箱の上に攀じ登ろうとする子供(か泥棒)がいるかも知れないし。
「そうだねぇ。
一応もしもの時に子供や怪我人を動かせるように、警報が鳴るだけで入るのを弾く仕組みにはしない方が良いかな?
そうなると防犯結界よりも探知結界の方が良いね」
シャルロが付け足す。
確かに入れないようにする防犯結界の方が魔力を使うからな。
「そうだな、防がなくても警報が鳴れば良いか。
それに考えてみたら中にキッチンワゴンを押し込んだ後にその上に物を入れようとして警報が鳴ったら煩いから、昇降機の扉が開いている間は結界が解除されていて、閉めたら起動して結界の空間内に生き物が居たら警報が鳴る仕組みにすれば良いかな?」
一々料理を昇降機の中に入れるたびに警報が鳴っていたら煩いし魔石の消費量が上がってしまう。
「ついでに扉を締めなければ昇降機が動かないようにした方が良いだろうね」
アレクが指摘する。
確かに、扉を開けていれば警報が鳴らないとなれば、扉が閉まらない様に何かを挟めば探知結界を無効化できる。
「結界の探知する対象は『生き物』ってところで良いかな?
子供も含めたサイズじゃないとダメだよね」
シャルロが黒板に条件を書きながら言う。
「ついでに猫や犬が忍び込んでいても音が鳴るようにした方が良いんじゃないか?
猫が昇降機の中に閉じ込められていたり、単にそこで昼寝していただけでも行方不明になったのを探して飼い主が大騒ぎすることになるかもだし」
昇降機の中に犬が入る可能性は余りないと思うが……考えてみたら、ダイニングルームに躾を終わっていない犬を入れないつもりなのに、キッチンワゴンの下に犬が忍び込んで乱入してきたりしたら困った事態になりかねない。
「そうだな。
下手をしたら犬より子供の方が小さい場合もあるから、どちらにせよ動き回れる幼児程度の大きさは探知対象にしないと好奇心が無駄に多い子供を防げないかも知れないし」
アレクが頷いた。
台所に幼児が出入りするのは駄目だと思うが。バタバタしているどさくさ紛れに忍び込む可能性はあるのかね?
まあ、邪魔にならない様に調理が終わるまでキッチンワゴンを廊下に出していたらその下に潜り込んだなんて事はあるかも知れないな。
幼児がそこまで野放しにされる事って普通だったら無いとは思うが。
「じゃあまず探知結界と連動させた警報器を作ってみるか。
音は毎度おなじみのトランペットの音で良いかな?」
あれってちょっと煩いから、音量そのものは下げて使う方が良いだろう。
「そうだねぇ。
下手に『人が居ます』なんて声で言わせる形にするとどこから聞こえてくるのかって探すようなことになるかもだし」
シャルロが笑いながら言った。
考えてみると、非常音用の魔具ってトランペットの音を記録して再利用しているけど、それこそ歌声とか楽器の演奏を記録して聞く形にも出来なくは無いのか?
長時間できるなら劇の有名なシーンとかを記録するのも出来るかも。
王太子の結婚式の様に映像だって記録できるのだ。
それと音を合わせれば、劇を全部通して記録して何度も見るなんてことも可能そうだな。
まあ、そんなことをしたら劇団員がくいっぱぐれるような事になっちまうからそんな魔具の売り出しは猛反対されるだろうが。
現時点では記録した音はそこまで元の音を完全に複製している訳じゃあ無いから、歌声とか楽器の演奏の複製には向かないかな?
誰かがあれを改造したら将来の事は知らないが。
……うん、あまりこれに関しては考えない方が良いな。
ただでさえ楽団員とか劇団員って貧乏なのに、更にチケット売り上げが減るようなことがあったら破綻するところが増えそうだ。
料理だったら落ちて零れても勿体ないけどまあしょうがないってことでまた別のを作り直せば良い。人間は乗らないという想定なのだから、下手に安全装置なんか付けて子供の遊び用に使われることになってはそのうち大人も運べる人間用の昇降機を作ろうという話になりそうで、面倒だと言う結論になったのだ。
「考えてみたら、人間を乗せないで下さいって注意書きして作るのに、もしも落ちた時に人間が中に居て怪我をしない様にするって意味がないよね~」
と言うシャルロの言葉にあるように、意味のない安全装置なんぞ付けても却って開発した魔具を俺たちが使って欲しくない方向に使ったり、改造する方向に話が進む原因になりかねない。
「追加機能的には人間が忍び込んだら分かるようにするってことで、箱に防犯結界でも設置すれば良いかな?」
アレクが『安全装置』と黒板に書いた文字を大きくバッテンで上書きした後に言った。
「いや、昇降機の穴で遊ぶのが居たりしても困るって話だから、昇降機の柱の中の空間全体に防犯結界を設定する方が良いんじゃないか?」
それこそ忍び込む先として、昇降機の箱の上に攀じ登ろうとする子供(か泥棒)がいるかも知れないし。
「そうだねぇ。
一応もしもの時に子供や怪我人を動かせるように、警報が鳴るだけで入るのを弾く仕組みにはしない方が良いかな?
そうなると防犯結界よりも探知結界の方が良いね」
シャルロが付け足す。
確かに入れないようにする防犯結界の方が魔力を使うからな。
「そうだな、防がなくても警報が鳴れば良いか。
それに考えてみたら中にキッチンワゴンを押し込んだ後にその上に物を入れようとして警報が鳴ったら煩いから、昇降機の扉が開いている間は結界が解除されていて、閉めたら起動して結界の空間内に生き物が居たら警報が鳴る仕組みにすれば良いかな?」
一々料理を昇降機の中に入れるたびに警報が鳴っていたら煩いし魔石の消費量が上がってしまう。
「ついでに扉を締めなければ昇降機が動かないようにした方が良いだろうね」
アレクが指摘する。
確かに、扉を開けていれば警報が鳴らないとなれば、扉が閉まらない様に何かを挟めば探知結界を無効化できる。
「結界の探知する対象は『生き物』ってところで良いかな?
子供も含めたサイズじゃないとダメだよね」
シャルロが黒板に条件を書きながら言う。
「ついでに猫や犬が忍び込んでいても音が鳴るようにした方が良いんじゃないか?
猫が昇降機の中に閉じ込められていたり、単にそこで昼寝していただけでも行方不明になったのを探して飼い主が大騒ぎすることになるかもだし」
昇降機の中に犬が入る可能性は余りないと思うが……考えてみたら、ダイニングルームに躾を終わっていない犬を入れないつもりなのに、キッチンワゴンの下に犬が忍び込んで乱入してきたりしたら困った事態になりかねない。
「そうだな。
下手をしたら犬より子供の方が小さい場合もあるから、どちらにせよ動き回れる幼児程度の大きさは探知対象にしないと好奇心が無駄に多い子供を防げないかも知れないし」
アレクが頷いた。
台所に幼児が出入りするのは駄目だと思うが。バタバタしているどさくさ紛れに忍び込む可能性はあるのかね?
まあ、邪魔にならない様に調理が終わるまでキッチンワゴンを廊下に出していたらその下に潜り込んだなんて事はあるかも知れないな。
幼児がそこまで野放しにされる事って普通だったら無いとは思うが。
「じゃあまず探知結界と連動させた警報器を作ってみるか。
音は毎度おなじみのトランペットの音で良いかな?」
あれってちょっと煩いから、音量そのものは下げて使う方が良いだろう。
「そうだねぇ。
下手に『人が居ます』なんて声で言わせる形にするとどこから聞こえてくるのかって探すようなことになるかもだし」
シャルロが笑いながら言った。
考えてみると、非常音用の魔具ってトランペットの音を記録して再利用しているけど、それこそ歌声とか楽器の演奏を記録して聞く形にも出来なくは無いのか?
長時間できるなら劇の有名なシーンとかを記録するのも出来るかも。
王太子の結婚式の様に映像だって記録できるのだ。
それと音を合わせれば、劇を全部通して記録して何度も見るなんてことも可能そうだな。
まあ、そんなことをしたら劇団員がくいっぱぐれるような事になっちまうからそんな魔具の売り出しは猛反対されるだろうが。
現時点では記録した音はそこまで元の音を完全に複製している訳じゃあ無いから、歌声とか楽器の演奏の複製には向かないかな?
誰かがあれを改造したら将来の事は知らないが。
……うん、あまりこれに関しては考えない方が良いな。
ただでさえ楽団員とか劇団員って貧乏なのに、更にチケット売り上げが減るようなことがあったら破綻するところが増えそうだ。
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