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卒業後
1224 星暦558年 黄の月 3日 脱走防止(4)
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昨日は1日ケレナの実家(?)で仔犬やほかの動物と遊んで過ごした。
まあ、俺は仔犬に軽くちょっかいを出していた程度で残りは日向で仔犬たちと一緒に昼寝して過ごしていたが、アレクやシャルロは犬以外にも馬や鷹と楽しげに遊んでいた。
とは言え鷹は馬ほど社交的ではなかったようで、ちょっと肉を食べさせてあげた程度だったが。
俺はね~。
学生の頃に比べれば馬もそれなりに慣れてきたけど、特に遊びたい程好きって訳でもないから、主な遊び相手は仔犬達だった。
あとは厩に住んでいる猫をかくれんぼというか、お互いに忍び寄ろうとこそこそ動き回っていたな。
ちなみに仔猫はいないのかと聞いたら、ちょっと前に皆貰われてしまったばかりらしい。
仔猫の方が箱とかからジャンプして逃げ出しそうだから、色々実験する対象として向いてそうなんじゃないかと言ったら、もう暫くしたらもう一匹の雌猫が出産予定だからそちらで最終テストね!と言われた。
で。
今日は母犬(猫)が寝床用の箱から出入りしても鳴らないようにする除外用の魔具を首輪サイズに改造する工夫について話し合おうと言っていたのだが、その前にあの箱自体についてシャルロが提案をしてきた。
「思うんだけどさ、あの箱の上部に大きめなカラカラ回る筒のローラーみたいのをつけたらどうかな?
大きくすれば角度的に登りにくくなるし、登ろうと力を籠めたら回転すればコロンと箱の中に戻る形にならない?」
「確かに?
箱の外側に重ねるような形で設置すれば簡単そうだな。
魔具である必要がないから、私たちの売り上げにはならないが」
アレクが頷きながら言った。
「まあ、最終的にはジャンプしたら飛び出せるんだから、大きくなりはじめたら警報器があった方が良いんじゃないか?
暑い時期だったら箱の中にそよ風を吹き込む形にしてそれで筒を動かし続けるっていうのも可能だが……仔犬とかって暑がりなのかな?」
暑い時にそよ風が吹くと気持ちがいいし、動物って毛皮があるから暑そうな気はするが、どうなんだろ?
自然な環境で生きている動物は送風機なんぞ無い世界で暮らしていることを考えると、そこまで甘やかす必要はないんじゃね??という気もする。だが金持ちに飼われてる小型犬なんかは明らかにスラムの住民よりも良い環境で暮らしているからなぁ。
ああ言う犬種の仔犬はデリケートで暑さに弱いかも?
「う~ん、風で冷えたら風邪をひくかもだし、無駄に魔具化する必要はないかな?
なんだったら警報器のオマケみたいな感じで一緒につけて売る?」
シャルロがちょっと首を傾げながら言った。
「回るだけの筒だったらどう考えても特許で守られていない。そちらだけで十分用をなすと考える客が多かったら、そいつらは高くつく魔具なんぞ買わずにそっちだけを木工職人か鍛冶屋にでも作らせるだろうな」
アレクが指摘した。
まあなぁ。
「取り敢えず、脱出防止用ローラーモドキを作ってそれを警報器と一緒にあの仔犬たちの箱に設置して、警報器が必要になる様な状況が生じるかを確かめてみたら丁度いいんじゃないか?
それこそ児童養護所用だったら敷地の周りに設置するんだろうから、よじ登ることは想定外な可能性が高いし」
仔犬・仔猫用でなく、人間の幼児用だったら上にローラーをつけてよじ登るのを防ぐよりも、勝手に門を開けて出ていくリスクに対応する方が重要だろう。
多分。
「確かに、児童養護所は周囲に返し用のローラー付きの壁をつける訳にはいかないか」
アレクが笑いながら言った。
そっか、ローラーっぽい回る筒って角度的には壁の返しみたいなもんだよな。
動くから普通の返しよりも更に登り難そうだ。
子供の場合は足元の隙間か、良い感じに低くなっている屋根や壁の上とかから飛び降りる可能性が高そうだな。
そう考えると、飛び降りそうな場所がしっかり警報がなる防犯結界の範囲内であることを確認しなくちゃだな。
「取り敢えず、ローラーっぽい筒を棒で支えるようなのをウィルが適当に試作してくれない?
その間にこっちでは除外用の魔具を首輪やポケットに入れられるカードサイズぐらいに小さくできないか、頑張るから」
シャルロが提案してきた。
そうだな。
筒は金属よりも木材の方がいい気もするが、どちらにせよ回る部分は金属で強度を確保した方がよさそうだ。
村の大工のおっちゃんとちょっと話し合ってみるか。
まあ、俺は仔犬に軽くちょっかいを出していた程度で残りは日向で仔犬たちと一緒に昼寝して過ごしていたが、アレクやシャルロは犬以外にも馬や鷹と楽しげに遊んでいた。
とは言え鷹は馬ほど社交的ではなかったようで、ちょっと肉を食べさせてあげた程度だったが。
俺はね~。
学生の頃に比べれば馬もそれなりに慣れてきたけど、特に遊びたい程好きって訳でもないから、主な遊び相手は仔犬達だった。
あとは厩に住んでいる猫をかくれんぼというか、お互いに忍び寄ろうとこそこそ動き回っていたな。
ちなみに仔猫はいないのかと聞いたら、ちょっと前に皆貰われてしまったばかりらしい。
仔猫の方が箱とかからジャンプして逃げ出しそうだから、色々実験する対象として向いてそうなんじゃないかと言ったら、もう暫くしたらもう一匹の雌猫が出産予定だからそちらで最終テストね!と言われた。
で。
今日は母犬(猫)が寝床用の箱から出入りしても鳴らないようにする除外用の魔具を首輪サイズに改造する工夫について話し合おうと言っていたのだが、その前にあの箱自体についてシャルロが提案をしてきた。
「思うんだけどさ、あの箱の上部に大きめなカラカラ回る筒のローラーみたいのをつけたらどうかな?
大きくすれば角度的に登りにくくなるし、登ろうと力を籠めたら回転すればコロンと箱の中に戻る形にならない?」
「確かに?
箱の外側に重ねるような形で設置すれば簡単そうだな。
魔具である必要がないから、私たちの売り上げにはならないが」
アレクが頷きながら言った。
「まあ、最終的にはジャンプしたら飛び出せるんだから、大きくなりはじめたら警報器があった方が良いんじゃないか?
暑い時期だったら箱の中にそよ風を吹き込む形にしてそれで筒を動かし続けるっていうのも可能だが……仔犬とかって暑がりなのかな?」
暑い時にそよ風が吹くと気持ちがいいし、動物って毛皮があるから暑そうな気はするが、どうなんだろ?
自然な環境で生きている動物は送風機なんぞ無い世界で暮らしていることを考えると、そこまで甘やかす必要はないんじゃね??という気もする。だが金持ちに飼われてる小型犬なんかは明らかにスラムの住民よりも良い環境で暮らしているからなぁ。
ああ言う犬種の仔犬はデリケートで暑さに弱いかも?
「う~ん、風で冷えたら風邪をひくかもだし、無駄に魔具化する必要はないかな?
なんだったら警報器のオマケみたいな感じで一緒につけて売る?」
シャルロがちょっと首を傾げながら言った。
「回るだけの筒だったらどう考えても特許で守られていない。そちらだけで十分用をなすと考える客が多かったら、そいつらは高くつく魔具なんぞ買わずにそっちだけを木工職人か鍛冶屋にでも作らせるだろうな」
アレクが指摘した。
まあなぁ。
「取り敢えず、脱出防止用ローラーモドキを作ってそれを警報器と一緒にあの仔犬たちの箱に設置して、警報器が必要になる様な状況が生じるかを確かめてみたら丁度いいんじゃないか?
それこそ児童養護所用だったら敷地の周りに設置するんだろうから、よじ登ることは想定外な可能性が高いし」
仔犬・仔猫用でなく、人間の幼児用だったら上にローラーをつけてよじ登るのを防ぐよりも、勝手に門を開けて出ていくリスクに対応する方が重要だろう。
多分。
「確かに、児童養護所は周囲に返し用のローラー付きの壁をつける訳にはいかないか」
アレクが笑いながら言った。
そっか、ローラーっぽい回る筒って角度的には壁の返しみたいなもんだよな。
動くから普通の返しよりも更に登り難そうだ。
子供の場合は足元の隙間か、良い感じに低くなっている屋根や壁の上とかから飛び降りる可能性が高そうだな。
そう考えると、飛び降りそうな場所がしっかり警報がなる防犯結界の範囲内であることを確認しなくちゃだな。
「取り敢えず、ローラーっぽい筒を棒で支えるようなのをウィルが適当に試作してくれない?
その間にこっちでは除外用の魔具を首輪やポケットに入れられるカードサイズぐらいに小さくできないか、頑張るから」
シャルロが提案してきた。
そうだな。
筒は金属よりも木材の方がいい気もするが、どちらにせよ回る部分は金属で強度を確保した方がよさそうだ。
村の大工のおっちゃんとちょっと話し合ってみるか。
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