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卒業後
1223 星暦558年 黄の月 2日 脱走防止(3)
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隣の部屋に行ったウィルたちはお茶の入ったマグを受け取ったものの、皆お茶をそっちのけで隣の部屋を覗き込んでいた。
「お?
登りそう?
あ、落ちた」
2匹まとまっていた仔犬にもう一匹が登り、箱のふちに前足を掛けた……と思ったら、下敷きになっていた仔犬がちょっかいを掛けたのでそちらとの取っ組み合いに夢中になり、転がり落ちて床でゴロゴロ転がりながら遊び始めた。
「お、もう一匹が探検し始めてる」
下敷きになっていた仔犬で取っ組み合いに参加しなかった残りの一匹が頭を起こし、箱のふちに前足を掛ける感じに体勢を変えた。
あれで後ろ足でもっと伸ばして立ち上がったら箱のふちをよじ登れるのかな?
「あの角度じゃ登るのは無理ね~」
だが、ケレナがあっさり言い切った。
まだ仔犬すぎてよじ登る腕力(?)がないらしい。
というか、犬って猫と違ってあまりよじ登るというのを見たことがないから、単に大きくなって後ろ足で立ち上がった際に箱のふちが胸かお臍あたりまでになる位に育ったら縁を乗り越えて箱から脱走できるのかな?
……というか、犬の臍ってどこにあるんだろ?人間と同じで胴体の真ん中あたりにあるんだろうか?
「お、ぶつかった。
痛くないのかな?」
取っ組み合いをしていた二匹がゴロゴロと転がってふちに前足を掛けていた仔犬にぶつかり、また団子状態に戻った。
そこへ最後の一匹の仔犬が寄ってきて、兄弟たちを踏みにじって上に登っていく。
「犬ってお互いの上に乗っても怒らないのか?
それとも仔犬だから平気なの?」
人間だったら子供がこんな感じにお互いの上によじ登ったりしないと思うんだが……いや、考えてみたら歩く前の幼児が沢山集まっている場面なんて見たことがないから何とも言えないか。
歩く前の幼児だったら人間でもこんな感じに団子状態になってお互いの上をのそのそと登って遊ぶのだろうか?
「もう少し大きくなったら流石に仔犬以外が自分の上に登ったらどの犬も怒るわよ。
仔犬の間はまだ軽いから平気なんでしょうね」
ケレナが笑いながら答える。
『ププ~~~!!!』
警報器の音が響き渡った。
どうやら兄弟犬3匹の上の登った4匹目が箱のふちに足を掛けて身を乗り出すのに成功したらしい。
とは言え、突然鳴り響いた警報音にびっくりして兄弟たちが飛び起きて逃げてしまったせいで、4匹目もぽすんと箱の内側に落ちてしまった。
落ちたところで警報音が止まったので、そのまま周囲をキョトンと見回している。
「取り敢えずは脱出防止の効果があるみたいね。
慣れてきたらどうなるか、要観察だけど」
ケレナが言った。
「ちなみに脱出を防止したいのってどの程度のサイズまでなんだ?
犬のサイズが大きくなったら箱も大きくしていくよな? そうなると助走してジャンプしそうな気もするが」
高さを3段階調整できるようにしてあって3ハドまで伸ばせるから箱を大きくしてもそれなりに使えるとは思うが、ジャンプして一瞬で飛び越えた場合は警報音も一瞬で止まってしまうから駄目だろう。
それとも猫と違って犬はそこまで飛べないのだろうか?
というか、仔猫用にも売り出す可能性を考えると、ジャンプの危険性はどちらにせよ無視できないが。
「そうねぇ。
ある程度まで大きくなったらケージに入れておけるようになるのよね。
ある意味、ケージの横からすり抜けて出ちゃうぐらい小さい間だけ何とかなればいいと言えなくもないかしら」
ちょっと首を傾げるように考えながらケレナが言った。
「それってお母さん犬が一緒に閉じ込められちゃって可哀そうじゃない?
なんだったら特定の首輪をしていたら警報音が鳴らないようにも出来る……と思うよ」
シャルロが提案した。
人間の児童養護所なんかで職員が出入りする際に一々音がしないように、特定の人間に反応しないような除外用の魔具も作ろうと色々試しているところなんだよね。
まだ満足できる形で完成していないが、大きすぎて実用性がない失敗作ならば出来たから、改善していけば首輪サイズにも納められる想定だ。
「あと、音が鳴る防犯結界にちょっとした押し戻す衝撃を付け加えることで仔犬が出ようしたのを押し戻すのも可能かも知れない。
痛い思いをさせていいなら電撃を与えるタイプも可能と言えば可能だが」
アレクが言った。
というか、電撃の方が押し戻すよりも楽っちゃあ楽なんだよね。
押し戻す方が方向を定めて強すぎない力を与えるっていう条件付けが必要だからもっと複雑なのだ。
「痛い思いをさせるのはダメよ。
大きな音が痛みと連動するなんて覚えさせると色々と後で困ることになるかもだし。
取り敢えず、この仔たちが踏み潰されそうな程に小さいのってそれほど長くはないのよ。
ぐんぐん食べて、どんどん育つから、育つのに合わせてどんな問題が出るか観察しながら決めるのでもいい?」
ケレナが答えた。
あ~。
確かに大きな音が痛みと連動して記憶されて、大音響でパニックする犬になったら困るよな。
馬が大音響でパニックするのだって問題なのだ。
噛みつくかも知れない犬が音でパニックするようになったら更に危険そうだ。
「お?
登りそう?
あ、落ちた」
2匹まとまっていた仔犬にもう一匹が登り、箱のふちに前足を掛けた……と思ったら、下敷きになっていた仔犬がちょっかいを掛けたのでそちらとの取っ組み合いに夢中になり、転がり落ちて床でゴロゴロ転がりながら遊び始めた。
「お、もう一匹が探検し始めてる」
下敷きになっていた仔犬で取っ組み合いに参加しなかった残りの一匹が頭を起こし、箱のふちに前足を掛ける感じに体勢を変えた。
あれで後ろ足でもっと伸ばして立ち上がったら箱のふちをよじ登れるのかな?
「あの角度じゃ登るのは無理ね~」
だが、ケレナがあっさり言い切った。
まだ仔犬すぎてよじ登る腕力(?)がないらしい。
というか、犬って猫と違ってあまりよじ登るというのを見たことがないから、単に大きくなって後ろ足で立ち上がった際に箱のふちが胸かお臍あたりまでになる位に育ったら縁を乗り越えて箱から脱走できるのかな?
……というか、犬の臍ってどこにあるんだろ?人間と同じで胴体の真ん中あたりにあるんだろうか?
「お、ぶつかった。
痛くないのかな?」
取っ組み合いをしていた二匹がゴロゴロと転がってふちに前足を掛けていた仔犬にぶつかり、また団子状態に戻った。
そこへ最後の一匹の仔犬が寄ってきて、兄弟たちを踏みにじって上に登っていく。
「犬ってお互いの上に乗っても怒らないのか?
それとも仔犬だから平気なの?」
人間だったら子供がこんな感じにお互いの上によじ登ったりしないと思うんだが……いや、考えてみたら歩く前の幼児が沢山集まっている場面なんて見たことがないから何とも言えないか。
歩く前の幼児だったら人間でもこんな感じに団子状態になってお互いの上をのそのそと登って遊ぶのだろうか?
「もう少し大きくなったら流石に仔犬以外が自分の上に登ったらどの犬も怒るわよ。
仔犬の間はまだ軽いから平気なんでしょうね」
ケレナが笑いながら答える。
『ププ~~~!!!』
警報器の音が響き渡った。
どうやら兄弟犬3匹の上の登った4匹目が箱のふちに足を掛けて身を乗り出すのに成功したらしい。
とは言え、突然鳴り響いた警報音にびっくりして兄弟たちが飛び起きて逃げてしまったせいで、4匹目もぽすんと箱の内側に落ちてしまった。
落ちたところで警報音が止まったので、そのまま周囲をキョトンと見回している。
「取り敢えずは脱出防止の効果があるみたいね。
慣れてきたらどうなるか、要観察だけど」
ケレナが言った。
「ちなみに脱出を防止したいのってどの程度のサイズまでなんだ?
犬のサイズが大きくなったら箱も大きくしていくよな? そうなると助走してジャンプしそうな気もするが」
高さを3段階調整できるようにしてあって3ハドまで伸ばせるから箱を大きくしてもそれなりに使えるとは思うが、ジャンプして一瞬で飛び越えた場合は警報音も一瞬で止まってしまうから駄目だろう。
それとも猫と違って犬はそこまで飛べないのだろうか?
というか、仔猫用にも売り出す可能性を考えると、ジャンプの危険性はどちらにせよ無視できないが。
「そうねぇ。
ある程度まで大きくなったらケージに入れておけるようになるのよね。
ある意味、ケージの横からすり抜けて出ちゃうぐらい小さい間だけ何とかなればいいと言えなくもないかしら」
ちょっと首を傾げるように考えながらケレナが言った。
「それってお母さん犬が一緒に閉じ込められちゃって可哀そうじゃない?
なんだったら特定の首輪をしていたら警報音が鳴らないようにも出来る……と思うよ」
シャルロが提案した。
人間の児童養護所なんかで職員が出入りする際に一々音がしないように、特定の人間に反応しないような除外用の魔具も作ろうと色々試しているところなんだよね。
まだ満足できる形で完成していないが、大きすぎて実用性がない失敗作ならば出来たから、改善していけば首輪サイズにも納められる想定だ。
「あと、音が鳴る防犯結界にちょっとした押し戻す衝撃を付け加えることで仔犬が出ようしたのを押し戻すのも可能かも知れない。
痛い思いをさせていいなら電撃を与えるタイプも可能と言えば可能だが」
アレクが言った。
というか、電撃の方が押し戻すよりも楽っちゃあ楽なんだよね。
押し戻す方が方向を定めて強すぎない力を与えるっていう条件付けが必要だからもっと複雑なのだ。
「痛い思いをさせるのはダメよ。
大きな音が痛みと連動するなんて覚えさせると色々と後で困ることになるかもだし。
取り敢えず、この仔たちが踏み潰されそうな程に小さいのってそれほど長くはないのよ。
ぐんぐん食べて、どんどん育つから、育つのに合わせてどんな問題が出るか観察しながら決めるのでもいい?」
ケレナが答えた。
あ~。
確かに大きな音が痛みと連動して記憶されて、大音響でパニックする犬になったら困るよな。
馬が大音響でパニックするのだって問題なのだ。
噛みつくかも知れない犬が音でパニックするようになったら更に危険そうだ。
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