余命営業

日本で3度目のオリンピックが開催された頃、人の知能を大幅に超えた人工知能によって人の寿命は数値化された。数値化されたことにより、その数値を人の手で変動させることができるようになった。命が金で買える時代が来た。鼓動が止まるその時まで死を受け止めてこなかった多くの人間も、いざ残り時間を目の前にするとその命に縋りつき、執着する。冥界に居ることとなんら変わらないほどに、堕落に生きてきた時間を恨み、暴走、消失、道連れを繰り返す。その醜い人間達がこれまでの文明をこの時の為に建設してきたのではないかという技術が生まれた。生命の再分配、人に残された生命すなわち寿命を取り出して新たに別の人に付与する。生命にも質量というものが存在し、再分配によった時間が伸び縮みすることはない。
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