あまみつつき君

さんといち

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三章 天満月くんの笑顔

13.新しい目標

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「う~ん、変わりすぎて私はまだ慣れないよ~」
「あ、鈴ちゃん」

 隣には清華ちゃんも。天満月くんと入れ替わるように、二人が傍に来ていた。

「みんな受け入れるの早いね…私はそっくりの双子と入れ替わってる説を捨てきれてないのに。真相が気になる…!」
「現実的に考えてイメチェンなんだろうけど。ほら、地味な眼鏡男子が素顔出して髪型変えて、雰囲気かっこよくなる展開みたいな」

 彼女たちはまだ、天満月くんの急変に理解が追いついていない側にいる。

「見た目は元から満点の花丸だったけどね~。無口な人が喋るようになるってよっぽどのことだよっ。美紀菜ちゃんは、何があったんだと思う?」
「えっ」

 全部わかってるしそれどころか私のせい…。

「もしかして隣席のよしみで何か知ってる…⁉」
「そんなわけっ…!」

 ほわほわした声なのに妙に鋭いところのある鈴ちゃん。「よしみ」って言えるほど長く隣同士じゃないのは置いといて。

 正式に口止めはされてないけど、どう考えても言っちゃダメだ…天満月くんに不思議な力があること。

 …というか私自身も詳しくはない。

 どうしてそんなことができるのか、生まれつきなのか、気にならないって言ったら嘘になる。

 触れる勇気がないから、聞いてないだけ。

 「教えたくない」って断られるのがなんだか不安で…そう思ってしまうのは、まだ天満月くんとの距離が大きいってことなのかな…。

「でも相変わらず、美紀菜ちゃんと一番喋ってる! いいねえ、仲良しさん」

 鈴ちゃんはニコニコ、私の感情とは真反対のことを言う。
 その笑顔の意味はいったい。

「女子たちが『次の席替えは私が隣になりたい』って言ってるけど、私は美紀菜ちゃんだからよく話してる気がするんだよね~、清華ちゃんもそう思うでしょ?」
「まあ、そうね。話すようになったとはいえ、前に比べてってだけで、私なんかは全然雑談できる空気じゃないもの」

「私も私も。昨日更衣室で、『孤高の王子様タイプのイケメン』とかなんとか盛り上がってるのを聞いたな~、わかるようんうん」
「こ、孤高の王子様……」

 かぐや姫似だと思ってる私には新鮮な響きだ…

 あっ、もちろん、天満月くんを美少女だと思ってるわけじゃないよ?

「近いようで遠い人、だよね」
「へえ? 美紀菜ちゃんもそう感じるんだ?」

 清華ちゃんが意外そうに言うと、
 鈴ちゃんがすかさず、
「やっぱり強敵だねえ、でもそういう人程、ギャップにキュンキュンするんだからっ」
 グッ、と親指を立てながら言う。

「ギャップ……驚いたり、照れたり?」
「その二つが初めに出るって、美紀菜ちゃんイジワル俺様タイプの才能あるんじゃない?」
「うぐっ」

 自覚がないようなあるようなー…。

「す、鈴ちゃんと清華ちゃんは、何が初めに出るの?」
「それはー…」

 二人は目配せして息をそろえた。

「「笑顔でしょ!」」

 ……それがあったか。
 言われたその瞬間に、納得させられた。

 天満月くんの笑顔は…一度だけ目にした。
 私に破れない分身を作ってよ…って、つい熱くなってしまった時に。

 でもよく思い出そうとすると、胸の奥がきゅうっとなって、頭に浮かべるのを止めようとしてしまうんだ。
 これって「キュンキュンしてる」…のかな?

「天満月くんは気だるい顔が平常運転っていうか、いつも一歩引いてるっていうかー……だから笑ったら破壊力抜群間違いなし!」

「孤高の王子様がタイプかって聞かれたらそうでもないけど、笑うところは私も見てみたいかも。一応三年以上同じ学校なのに、遭遇回数ゼロってのもね」

「わっ、清華ちゃんも天満月ファンの仲間入りっ⁉」
「どうしてそうなるのよ、ただの興味。まっ、引き出せるとしたら現最有力候補は美紀菜ちゃんでしょうね」
「私⁉」
「そうだよ~、期待してるよ~」

 両肩に二人それぞれ手を置かれてしまった。…謎のプレッシャー。

 だけど影響されてしまったのか、私ももう一度笑顔を見たくなってきた。

 不思議な胸の感覚は、見慣れていないせいかもしれない。
 それとも…別に原因があるのかもしれない。

 元々、彼の表情を動かしたくて嘘の告白までしたんだ。

 びっくりさせる次は、笑わせてみようじゃない——!
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