あまみつつき君

さんといち

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三章 天満月くんの笑顔

16.お手紙

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 変なもやもやを抱えたまま時間は過ぎて…、
 ぼんやりした意識がようやく覚めたのは、お母さんが帰ってきた時だった。

「美紀菜ちゃん、お手紙届いていたわ」
「えっ…!」

 渡されたのは爽やかな空色の封筒。送り主は見なくてもわかる。

 私の文通友だち…「彩羽いろは」。

「うふふっ、目がキラキラしてるわよ」
「そ、そう…?」
「本当に大好きねえ、彩羽さんのこと」
「や、やめてよそういう言い方…」

 からかってくるお母さんから逃げるように、ぱたぱたと二階に移動する。

 彩羽から手紙が届くのは、月に一回か二回。
 多くない頻度だけど、いつ届くのか楽しみで、ポストのチェックは欠かさないんだ……
 けど、よりによって今日は見忘れた。

 ふふっ、だけど思いがけないごほうびをもらった気分。
 寝る前までとっておくべきかな? 
 読みたくて読みたくてたまらないけど、後回しにしたほうがやること頑張れる気がする…!

 すると思惑は当たって、課題も家事も順調にこなせてしまった。
 心に絡みついたもやもやも、手紙を読むワクワクにかき消されていった。
 彩羽パワーすごい。

 あとは寝るだけになり、いよいよ待ちに待った開封のお時間。

「彩羽、何書いてくれたかな…」
『彩羽ッテ誰?』
「私の大切なお友だち」
『付キ合イ長イノ?』
「そうでもないかな。知り合ったのは去年——っ⁉」

 ぐりんと勢いよく首を回した。
 普通に会話しちゃったけど、この声は…!

「烏さん、猫さん⁉」
『ヨッ』
『来チャッタ』

 床に置いた通学カバンの上に、ちょこんと二人が座っている。
 ど、どういうこと⁉

「学校、離れられるんだ……」
『マアナ。他ノ二人ハ残ッテルシ』
『我々ニモ自由行動ハ必要ナノ』

「そうなんだ…でも来るなら来るって言ってくれたらよかったのに」
『タイミング伺ッテタ。美紀菜、チョット元気無サソウダッタカラ』
『デモ、手紙デ元気ニナッタ。益々タイミング見失ッタ』

 心配、してくれたんだ…
 帰りまでいつも通りふるまってたつもりだったけど、妖精さんにはもやもやはお見通しだったのね。

『我ラノコトハ気ニセズ、手紙読ンダライイ』
『ソレカラ話ソ』
「…うん」

 お言葉に甘えて、先に私は手紙に目を通した。

 楽しみにしていた時間に比べて読むのは一瞬。
 最後の便せんから視線を上げた時、『ドウダッタ?』と優しく尋ねられる。

「元気そうでよかった。海外旅行で、美術館を巡ったんだって。私も行きたいなー…って、単純だね」
『…海外カ』
『サスガニ行ッタコトナイネ』

「私もだよ。あ、それから『いつか遊びに来て』とも書いてあった。彩羽の家は星がすごくきれいに見えるんだって…もし行くことになったら、二人もこっそりついてくる?」

 誘ってみたら、二人ともあごに手を添えて考えるポーズをした。息ぴったりだ。

『星空、スゴク魅力的』
『ダガ、嫉妬ガウルサイナ』
「嫉妬? 誰の?」

『『光ダヨ』』
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