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1.妖精姫は妖精に嫌われた

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この国トレアール国は妖精の加護があるといわれている国。
昔は皆が当たり前に妖精の姿が見えたという。そのため文献には妖精が宙を舞う姿がいくつも記されている。緑に住まう妖精、水辺に住まう妖精、土の中に住まう妖精、川緑に住まう妖精、妖精によっても、好むものがそれぞれ異なると言う。でもほとんどの妖精は人に対して友好的であり、人が畑を耕すと土の妖精がその周りを飛び、そこに緑が映えると緑の妖精がその周りに金の粉を撒き成長を促してくれた。

でもいつからか誰もその姿を見ることができなくなってしまった。
でもまれに見える少女が現れる。そしてその娘のことを人はこう呼ぶ『妖精姫』と。

妖精姫とは妖精に愛され、妖精と話し、その娘の周りは絶えず幸せに溢れているという。

でも今代の妖精姫は様子が違った。
いや、12歳頃までは誰もが妖精姫と信じて疑うことすらできないほど、語り継がれている通りだった。妖精と話し、妖精に愛され、その娘の回りはいつも幸福であふれていた。

だが、12歳でトレアール国第1王子の婚約者になってから妖精姫の様子は一変した。

妖精姫と呼ばれた彼女は傲慢で人を見下し、平気で人の物を奪う女性へと変貌していった。その様子に妖精たちは彼女に呆れ、嫌い、見放し、2度と彼女の前に姿を表すことはなかった。



しかし姿を消す前、妖精は妖精姫の一番の被害者である双子の妹シャーロットの前に1度だけ姿を表したという。
双子なのに妖精が見えないと揶揄された彼女だったが、いつからか、姉よりも”妖精姫”と呼ばれるに値すると言われる程、誰からも愛され、彼女の回りはいつでも幸せにあふれていると言われた。
そんな彼女のことを妖精も実は大事に思っている。そんなシャーロットのことをいじめるナターシャが大嫌いだから、ナターシャの前にはもう姿は見せないと伝えたそうだ。
それでも妹シャーロットのことは近くでいつも見守っていると、言葉を残して消えていった。


そして今日、妖精姫と言う名のもとに傲慢な振る舞いを続けたナターシャに、天罰が下る。
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